快晴となったこの日,妻とともに紅葉を愛でに,秋田市北東部,スキー場やキャンプ場などのリゾートパークがある秋田市仁別地区に向かう。
途中,添川地区を過ぎると,左手に白い大きな観音像が置いてある駐車場があった。補陀寺である。亀像山補陀寺は,曹洞宗本山総持寺の直末寺として東北における中本山ともいわれ,東北地方に末寺53カ寺を有する由緒ある寺である。
駐車場から山門に掛けて,右手に樹齢300年を誇る杉並木の上り坂が続く。杉並木といい,山門(写真上)といい,十分に歴史の重みを感じさせてくれる。ただ,寺本体は最近になって改築したのか,妙に新しく山門の古さとミスマッチだった。
補陀寺から車を走らせること10分ほどで,藤倉水源地がある藤倉地区に着く。ここの藤倉水源地(写真右)は,明治44年に竣工した水道専用ダムで,秋田市の近代化を物語る歴史的施設として,国の重要文化財の「近代化遺産」指定第1号となっている。石積みの堰堤を滝のように流れ落ちる水の白さが,回りの紅葉に映えてとても美しい。今日は,堰堤の上の架かる遊歩道の橋を工事していた。ここの難点は,車で行ったときに駐車場がないこと。今日も路上に車を止めて工事中のサイクリング道路を歩いた。こんなに美しい場所なのだから,もっと気軽に行って市民が楽しめるように環境を整備してほしい。
藤倉地区からリゾートパークがある仁別地区を通り過ぎて,太平山の登山口がある森林公園へ向かう。太平山は杉林の山であり,紅葉が杉の緑に負けてしまって全然美しくない。そんな中にあって,途中,忽然と真っ赤な林が目の前に飛び込んできた。とにかくこの紅の鮮やかさはどうだろう。完全に周囲を威圧している。思わず車を止めて,この見事な紅葉をカメラに納めることにした。見ると,同じように途中下車という感じでカメラを手にしているの人が沢山いた。せっかく整備した駐車場ががらがらなのに,路上駐車の車があふれていた。
この後,狭い山道を上り,太平山登山口のある森林公園まで車を走らせた。所々に綺麗に紅葉している木々はあったが,車を止めてまで見るべきものはなかった。帰りは,リゾートパーク内のザ・ブーンで展望露天風呂に入り,韓国人に絶大な人気を誇る添川地区の「涙を流すマリア像」を拝観して帰宅した。韓国から定期直行便を飛ばしてまで見たいという人が沢山いるという「聖体奉仕会」のマリア像だが,どこにそんな力があるのかと思えるほど小さな木造のマリア像だった。30年ほど前に目から涙を流していたという。今はもう涙は流していなかった。