乳頭山から千沼ヶ原へ

2008年7月19日(土)

※写真をクリックすると大きな写真(640*480pix)が見られます。
乳頭山周辺に咲く花々はこちらのページでご覧ください。

 高層湿原に咲く花が見たくなって、乳頭温泉から乳頭山(烏帽子岳)に登った。乳頭山周辺には、田代平や岩手県側に位置する千沼ヶ原などの美しい高層湿原があり、隣接する秋田駒ケ岳とは、また違った花を見ることができる。

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 乳頭温泉の黒湯温泉脇の登山口から登る。しばらく一本松沢沿いに登り、途中で橋桁もない一本橋を渡ると、黄色い花を咲かせるタマガワホトトギスの群落に出会う。初めて見る花で感激した。また、オニシモツケの白い花も登山道脇に咲き乱れ、早くも多くの花に出会えそうな予感。

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 再び、一本松沢を徒渉すると、一本松温泉跡の露天風呂が現れた。至る所に沸々と温泉が湧き出ている。一組のカップルが腰を下ろして休んでいたが、露天風呂に入ったあとだったのだろうか。さすがに、更衣室も目隠しも何もない露天風呂に入る勇気はなかった。
 この後、急な坂道が続くのだが、ブナの林の中をクルマユリ、モミジカラマツ、ギンリョウソウ、オニアザミ、イワオトギリ、ハクサンボウフウ、ヨツバシオガマ、ミヤマトウキ、ガクウラジロヨウラク、タカネアオヤギソウ、ニッコウキスゲ、キンコウカなどなど登山道わきに次から次へと現れる花の写真を撮りながら、ゆっくりゆっくり登る。

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 登り始めて2時間半足らずで乳頭山山頂につく。山頂はガスが少しかかっていたが、決して視界は悪くなかった。山頂の岩間にひっそりと咲くミネウスユキソウが可憐で美しい。また絶壁の岩肌には、小さなコメツツジが沢山花を咲かせていた。

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 乳頭山から千沼ヶ原に向かう。ガスの間から、これから下っていく登山道が見える。絶壁の崖の上に咲くミヤマトウキの花の生命力。山頂周辺にも、トウゲブキ、タテヤマウツボグサ、シロバナニガナ、ハクサンチドリ、オノエラン、ハナニガナなど沢山の花が咲いている。

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 乳頭山から笊森山分岐に向かう登山道は県境の稜線上に作られている。ここにも、ヨツバシオガマ、ハクサンシャジン、マルバシモツケ、ハクサンシャクナゲ、ノリウツギ、クロウスゴなどの花が見られるが、登山道を覆いつくすような小潅木が多くなってくる。

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 笊森山分岐の手前の秋田県側には、人も入り込めないような湿原を見下ろすことができる。あの湿原にはどんな花が咲いているのだろう。鳥だけが知ることのできる世界である。笊森山分岐を左手に曲がり、千沼ヶ原に向かう。高原状になった広い場所にはニッコウキスゲが群生し、岩手山に連なる山々を後方に眺めることができた。さらに進むと、田中澄江が「新・花の百名山」で記したヒナザクラの大群落地に出る。ここは遅くまで雪の残る場所で、ミズバショウやイワカガミなどの花も見ることができた。

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 千沼ヶ原は、岩手県山岳会によって昭和29年に発見された池塘群で、広い場所に無数の池沼が現れる。岩手山も間近に眺められ、景色も良く、イワイチョウ、イワショウブ、トキソウ、ワタスゲ、キンコウカ、モウセンゴケ、ホソバノキソチドリ、サワラン、ツルコケモモなど湿性の花々も沢山咲いている。ここの木道に腰を掛けて昼食を取った。

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 目の前に見えるのは、こんもりとした山容の三角山。昼食を取ったあとは、元来た場所を乳頭山目指して引き返す。岩手山に連なる山々を背景にして、ニッコウキスゲの群生が美しい。ただ、今年は例年に比べて花の数が少ないように感じられた。

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 笊森山分岐は赤土が剥き出しになった場所で少し広くなっている。ここで小休憩。乳頭山に続く稜線上の登山道は、目標となる乳頭山が目の前に見えるので、とても歩きやすい。

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 乳頭山直下の登りは急坂になっていて、一歩一歩足元を確かめながらゆっくりと歩を進める。乳頭山の山頂から朝登ってきた道を戻り、途中、田代平分岐を右に折れ、田代平山荘に向かって下りていく。途中、ゴゼンタチバナが綺麗に咲いていた。田代平山荘付近に水場があるという情報があったので、持参した1.5Lの水分は乳頭山頂ですべて空けてしまったのだが、そこで水場を探し出すことができなかった。それから、下山するまで水無しだったのは、結構きつかった。水分だけは、下山するまで残すようにしておきたい。

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 田沢湖町観光協会が編集した「花の山秋田駒ケ岳・乳頭山を歩く」という本に、コバイケイソウやニッコウキスゲなどの花々が咲き乱れる幻想的な田代平の湿原の写真が掲載されている。このような風景を是非見てみたいと思い、今回初めて田代平に向かったのだが、ニッコウキスゲがチラホラ咲くだけで、ほとんど花はなかった。7月20日前後といえば、花の最盛期のはずなのに、どういうわけだろう。下りは、田代平の孫六温泉分岐から孫六温泉に下りた。途中は鬱蒼としたブナの森で、日もほとんど差さないほど薄暗かったが、とても歩きやすい道だった。帰りは、孫六ではなく、車を駐車していた黒湯温泉に入って帰路についた。

乳頭山周辺に咲く花々


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