大曲花火狂騒曲  2000年8月26日(土)

 「大曲の花火」として全国的に名の知れた「全国花火競技会」が,8月26日に秋田県大曲市で開催された。
 年々,混雑の度合いが激しくなり行く気をそがれていたのだが,今年は昨年まで同じ職場で勤務していた大曲市在住のS氏が桟敷席を確保してくれたので,誘いに甘えて見物に行ってみることにした。
 14時49分秋田駅発の普通列車は,そのほとんどが大曲の花火見物と思われる客であふれかえっていた。大曲駅に到着してさらに人の多さにびっくり。臨時の上りのこまちと下りのこまち,そして僕らが乗った普通列車がほぼ同時に到着したため,駅構内は身動きができないほどの混雑ぶりだった。
 同行人が駅改札口で待っているS氏と携帯で連絡を取ろうと試みたが,回線がパンク状況のため通じない。無理もない。1年分の客が1日で集まった感じだ。


 駅から,花火会場の雄物川河川敷まで10分ほどの道のりだが,ここも人,ひと,ヒトで一杯。約30分掛けて到着。堤防上の道路にまで,レジャーシートを広げた花火見物の客でふさがれていた。
 「堤防上の通路に座っている人は,緊急車両通行の妨げとなりますので移動して下さい」とのアナウンスがむなしく響く。こちらは,座席が確保されているので安心なのだが,通路が見物客でふさがれていて,なかなか座席まで到着しない。「花火ではなく人を見に来たようだ」とは同行人の弁。まさにそのとおりで,この人出は竿灯祭りの比ではないと率直に思った。
 やっとの思いで座席にたどりついたときは,すでに4時半を回っていた。本番の夜花火は7時スタートなので,しばしの間ビールや酒で歓談した。S氏が朝取ったばかりだという枝豆がとても美味しい。本番前にほろ酔い加減でいい気持ちになってきた。


 いよいよ本番の花火がスタート。ドーンという大音響と地をも揺らす振動が身体を襲う。すごい迫力だ。眼前一杯に広がる花火の光景は,とても1枚の写真に納まりきらない。


 光のシャワーが次々と襲ってくる。実際に何かが頬にぶつかってくる皮膚感覚がある。これが火の粉の残滓なのか。大曲の花火は,目,耳,肌,体感と,身体のあらゆる感触で体験できる祭りである。


 9時45分に最後の花火が打ちあがる。スタートから2時間半以上の時間が経過しているのだが,全く時間の経過を感じさせない,あっという間の出来事だ。大曲の花火はリピーター率が高いという。一度,この祭りを体験したら,やみつきになって毎年のように通う人が多いそうだが,それもわかる気がする。
 さて,ここから帰りがまた大変で,大曲駅近くのスナックに人込みを避けるがごとく到着したのが11時頃。途中人波にもまれ,はぐれたグループに携帯で連絡を試みるが,NTTドコモは通じない。セルラーでやっと通じる。大曲の花火に携帯するなら,電話はセルラーでなけりゃ。はぐれ組が10分遅れで到着。11時55分に最終の秋田行き臨時列車が出発するというので,それまでの間ちょっと喉を潤す。
 大曲駅に11時50分頃着いたが,まだものすごい人の数だ。とても,最終列車に納まりきらず,JRは臨時で0時48分発の列車を増発した。我々は,結局その列車に乗り込んで,秋田に到着したのが午前2時だった。大曲の花火の唯一の難点は「人が多すぎる」ってことかな。
(2000/08/27)

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