栗駒山花登山

2004/07/24

※写真をクリックすると大きな写真が見られます。
 岩手県、宮城県、秋田県の県境にある栗駒山は、東北のほぼ中央に位置する独立峰のため、山頂からの眺望は格別である。また、花の名山としても知られ、多くの登山客を集めている。標高1600メートル余りの山だが、1100メートル付近の須川温泉まで車で行けるため、ハイキング感覚で気軽に花登山が楽しめる。須川温泉をベースにして、温泉とトレッキングを同時に楽しむにはもってこいの山ではないだろうか。
 今日は、午後5時から横手で娘の大学の親の会があって、横手泊まりである。せっかくだから、横手に行く前に、栗駒山にでも登ろうかと考えた。朝6時半に秋田市の自宅を出発。湯沢市までは高速道路を利用する。湯沢からは稲川町、皆瀬村、小安温泉を経て、約2時間半で須川温泉の駐車場に到着した。
名残が原 昭和湖 須川分岐から山頂を望む
 須川温泉の脇を登り始めると、程なく名残が原と呼ばれる湿原にたどり着く。今の時期は、キンコウカが咲いていた。名前の如く、金色にピカピカと輝いて咲いている様は見事である。名残が原の木道を歩き終えると、登山道らしき傾斜のある道になってくる。昭和湖から流れ落ちてくる川を渡り、硫気の影響で裸地になった場所を横目に見ながら進むと、まもなく乳白色の水をたたえた昭和湖にたどり着く。ここは、昭和19年に噴火した噴火口に水がたまってできたもの。直径が十数メートルの小さな噴火口だが、硫黄臭が周囲に立ち込めている様子はまさに噴火口そのものである。
 昭和湖から先はきつい登りが続く。途中で何度か休憩しながら1時間ほど登ると、須川分岐という尾根筋にたどり着く。ここからは宮城県側の眺望も開け、ホッとひと息する瞬間である。ここまでくれば、山頂まではあとわずかである。
天狗岩 栗駒山頂 虚空蔵山方向を望む
 須川分岐を左に折れ、まもなくすると天狗岩と呼ばれる奇岩に出会う。どこが天狗なのかよくわからない。どことなく動物にも似ている気がするのだが。天狗岩の上に広がる空がどこまでも青かった。天狗岩を通りすぎ、さらに歩を重ねて登っていくと1627.4メートルの栗駒山山頂に到着する。時計は、ちょうど11時を指していた。登り始めてから2時間の距離である。ここからの眺望は、360度パノラマが開いていて抜群なのだが、空気が霞んでいるせいか、遠くにそびえる山々がよく見えない。これも気温が高かったのが影響したのだろうか。あとで知ったことだが、この日下界は35度近くまで気温が上昇していたそうだ。山頂付近から山形県方向に目を向けると、虚空蔵山のあたりに白く光る残雪が見えた。時間は早いが、ここで昼食にする。周りでも大勢の人が昼食を摂っていた。
展望岩頭から下界を眺めた風景
 再び、須川分岐まで戻り、秣岳方向の縦走路に向かう。このとき、間違って湯浜温泉方向に向かう道に入ってしまい、少し行ってから気がついて慌てて引き返した。ちょっと分かりにくい分岐ではある。須川分岐から30分ほど行くと、展望岩頭という見晴らしの良い場所に出る。ここは、山頂と違い、登山客も誰も居なくて、眼下の素晴らしい眺望を独り占めできる。最高のロケーションである。目の前には険しい山容を見せている剣岳や、いくつかの池塘が垣間見える竜泉が原、乳白色の昭和湖などが見える。本当に、こんな景色を独り占めしていいのだろうかという気持ちになってくる。山頂で少し残しておいたお握りを頬張り、しばしの間、景色に見とれていた。ふと気がついて周囲を見渡すと、ミネズオウやイワウメなどの小さな潅木の葉っぱが岩々にびっしりと張り付いている。花の時期にはさぞかし綺麗だろうなと思った。
展望岩頭から御駒岳付近
 展望岩頭から御駒岳まで歩き、再び須川分岐まで引き返した。時間があれば、このまま高層湿原を通って、秣岳まで縦走し、須川湖に降りるコースを取りたかったのだが残念である。でも、やり残したことがある方が、また山に来るきっかけを作ってくれるものである。御駒岳付近も小潅木の葉っぱがびっしりと張り付いていた。今度は是非6月下旬ころの花の咲く時期に来てみたい。
 帰りは、秋田県側にある須川温泉栗駒山荘で温泉に入った。栗駒山荘の露天風呂は、真正面に大きな山裾を広げる秣岳が見られ、ちょっと目を下に転ずると須川湖や須川高原の湿原地帯が見える。温泉の質もさることながら、その眺望も素晴らしいので、是非一度利用してみることをお薦めする。登山で、びっしょりと汗をかいたので、着ていた服や下着をすべて着替えてさっぱりした。帰路は、須川湖に立ち寄った。須川湖周辺は、夏休みに入って最初の土曜日だったため、大勢のキャンプ客で賑わっていた。
須川湖から秣岳を望む 今回の花登山で出会った花々はこちらから。