栗駒登山

2006年6月24日(土)
 職場の友人N氏から登山に誘われた。今年から登山を始めたN氏は、まずは比較的コースが簡単な栗駒山に登るという。田中澄江の「花の百名山」にも選ばれている栗駒山は、今の時期高山植物の最盛期である。花好きのボクにとって、願ってもない誘いであった。
※写真をクリックすると大きな写真(600×450pix)になります。
ワタスゲの群生(名残ガ原) イワカガミ(名残ガ原)
 栗駒山に秋田県側から登るとすれば、岩手県との県境に位置する須川温泉から登ることになる。登り始めるとすぐにアカモノやツマトリソウ、ウラジロヨウラクなどの高山植物が登山道脇を彩る。マイヅルソウやシロバナニガナなども見える。登山道を10分ほど歩くと、花の豊富な高層湿原、名残が原に出る。今の時期はワタスゲやイワカガミ、イワイチョウなどの群生が見事であった。
雪渓の残る登山道 昭和湖
 名残ガ原を過ぎると、登山道らしい坂道となる。ここから昭和湖までは登山道に雪渓も残っていた。昭和湖から流れる小沢の脇を登るが硫化水素ガスの臭気が辺りを覆う。思わず、泥湯温泉の死亡事故を思い浮かべてしまった。昭和湖は、昭和19年の噴火によって出来た湖で、緑がかった乳白色の水を湛えている。
ミネザクラ ムラサキヤシオ
 昭和湖からの登山道は始めのうち急な坂道が続くが、登山道脇に高山植物が沢山咲いているので、花を愛でながら登ればそれほど苦にはならない。ミツバオウレンやヒナザクラなどが可憐な白い花を咲かせている。目を上に転じれば、ミネザクラやムラサキヤシオも見られる。ムラサキヤシオの鮮やかな紅紫色の花が緑の中でとても良く映えていた。
山頂付近からの眺望
 須川分岐まで登れば、あとは稜線上を山頂に向うだけだ。この稜線上の眺望は本当に素晴らしい。残雪と濃淡様々な緑が見事なコントラストを見せている。
山頂からの下山 タテヤマリンドウ
 標高1627mの山頂で昼食を取る。登山をしていて最も至福のときである。同行したI女史が山頂でラーメンを作ってくれた。山の上で食べるラーメンは最高であった。30分ほど休憩したあと下山し、御駒岳方面へ向う。名残ガ原でも沢山咲いていたタテヤマリンドウが小さな花を咲かせていた。
展望岩頭から昭和湖方面を望む 展望岩頭から龍泉ガ原方面を望む
 須川分岐から15分ほど登ると展望岩頭と呼ばれる眺望の素晴らしいところに出る。ここからの眺めは山頂よりもはるかにいい。頂上と違って人も少ないし、綺麗な景色を独り占めしたような気分になる。なんて贅沢なひと時なのだろう。目の前には、今登ってきた昭和湖が見える。右に目を転じれば、龍泉ガ原と呼ばれる湿原も見える。この湿原には道が通じていないので、目に出来るのはこの山の上だけだ。ここに来ると、鳥になって空を飛んでみたいといつも思う。
イワウメ
 さらに5分ほど登ると御駒岳山頂1573mに出る。ここには、イワウメが岩にビッシリと生えていた。イワウメは、小さな葉っぱから想像も出来ないくらい大振りの花を咲かせる。岩一面に一斉に咲いた様はさぞかし見事だろうと思うが、今回は残念ながらポツリポツリという感じであった。ここから秣岳に縦走するコースは高層湿原を通る美しい山道だが、今回はここで元来た道を引き返すことにした。いつか縦走コースにもチャレンジしたいものだ。
ムシトリスミレ ヒナザクラ
 御駒岳山頂にはムシトリスミレも咲いていた。下りは登り以上に気を遣うが、それでも疲労感は格段に少ない。登山道脇にはヒナザクラが咲いていた。ヒナザクラは東北の高山にだけ咲く花で、ボクの最も好きな花の一つであるが、小さい花なのでなかなかうまく撮影できない。今回も風に揺れていたため、ピントがうまく合わなかった。
今回の登山は、梅雨の最中で天気が心配されたが、山中はガスがかかって靄っていたものの、時折青空も見せてくれて絶好の登山日和であった。帰りは、栗駒山荘の露天風呂に浸かって、登山の疲れを癒す。栗駒山荘の露天風呂からは、目の前に秣岳を目にすることが出来て、最高の眺望である。温泉もいいし、登山のあとには是非立ち寄ってもらいたいスポットである。
下山道から山頂を望む
index