なまはげ柴灯祭り

2007年2月10日(土)

 男鹿の民俗行事「なまはげ」と、真山神社の神事「柴灯(せど)祭り」を組み合わせた観光行事「なまはげ柴灯祭り」が2月9日から3日間の日程で、男鹿の真山神社で開催されている。秋田を代表する冬祭りなのに、これまで一度も見たことがなかった。秋田市内から祭り会場まで車で1時間ほどという手軽さが、いつでも見られるという思いを抱かせ、ついつい見そびれてしまっていたのかもしれない。観光課勤務でもあるし、今年こそは一度見ておこうと思い立った。

 なまはげ入魂の儀式から祭りはスタートする。この儀式では、写真撮影ができる場所が決まっているらしく、一人参道上方に佇んでいたら、男鹿温泉郷組合の上野事務局長に「ここでは写真撮影はできませんよ。」と注意されてしまった。
 始めに山から素顔の若者が下りてくる。社殿横の参道入り口に勢揃いした若者たち。そこに、男鹿市長と男鹿市観光協会会長から神主に渡された赤と青のなまはげの面。それを神主から受け取る若者たち。最初は厳かに行儀良く整列している。

 神主から入魂のお払いを受けると、居並ぶなまはげたちが一斉に雄叫びを上げながら、参道をかけ上っていく。静から動への一瞬の転換が、劇的な演出効果を上げていて面白い。

 このあと、広場には里のなまはげたちが勢揃いしてきた。それにしても男鹿の各地区のなまはげは、いつも見るなまはげとは随分と趣を異にする。実に様々ななまはげの面があるものだ。真山神社の手前にある「なまはげ館」には、常時それが展示されている。

 祭りのクライマックス、先ほど入魂したなまはげたちの下山を迎える。山から下りてきたなまはげたちは、大勢の観光客でごった返す広場の中を、松明を手にして歩き回る。松明の火が燃え移ったらどうしようと不安な気持に駆り立てられるが、そんなことお構いなしに、観光客に半ばもみくちゃにされながらなまはげは歩いていく。

 観光客から離れ、参道に戻ったなまはげは、神主から餅を奪い取るようにして山に戻っていく。「献餅」という儀式である。燃えるように熱い餅を持とうとして、熱くて持てずに踊り狂う様が、何ともユーモラスで観光客の笑いを誘う。

 一通り神事は終了し、神楽殿では、なまはげ郷神楽による「なまはげ太鼓」の再演だ。このなまはげ郷神楽は、毎週土曜日、男鹿温泉郷のホテルでライブを開いていて、観光客には大人気のグループである。最近は海外公演などもこなし、評判をとっている。東京や大阪で開かれる秋田県の観光フェアでも欠かすことのできない演し物となっている。

 なまはげの衣装をまとい、大迫力で太鼓を打ち鳴らすその演奏を一度聞いたら、誰もが虜になること請け合いである。衣装が奇抜なだけではなく、その演奏の実力も大したもの。海外で賞を受けているのも頷ける。

 この夏には、男鹿温泉郷内に、待望の専用ホールが完成する。きっと、男鹿観光の目玉になること間違いない。これからの活躍が楽しみである。

 ふと、広場中央に設けられた「柴灯火」を見ると、なまはげの記念撮影が始まっていた。堂々たる様は、観光ポスターでよく目にするポーズそのものである。最後にパチリと記念写真を撮って家路についた。

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