男鹿本山登山

2008年5月4日(日)

※写真をクリックすると大きな写真(640*480pix)が見られます。

 男鹿半島最高峰の山、標高715.2メートルの男鹿本山。連峰をなしている真山、毛無山と合わせて男鹿三山と呼ばれている。この三山を縦走することを「お山かけ」といって、古くから信仰の山として親しまれている。今回は、門前の五社堂から毛無山を経由して本山まで登ってみた。
 登山道で出会った花の数々については、「男鹿本山登山道に咲く花々」のページに掲載中です。

 秋田の山はどこでもブナ林が見られるが、ここも五社堂から上はブナ林の連続だった。春の柔らかな陽光が新緑のブナの葉を通して、身体に降り注いでくる。急な上り坂も、ブナのグリーンシャワーを浴びていると、あまり疲れを感じさせない。また、ところどころで目に飛び込んでくるヤマツツジの鮮やかなオレンジが目にまぶしい。

 どこまでも、どこまでも続く緑のトンネル。ふと目を足元に転じると、小さくて可憐な花が目にとまる。春に咲くリンドウ、フデリンドウの花だ。1センチにも満たない小さな花で、気がつかずに通り過ぎてしまいそうなほどに目立たない花だが、一度目にすると忘れられなくなる花だ。

 ここ男鹿本山は、古くからの信仰の山らしく、登山道のあちらこちらに石標が目に止まる。この二つの石標には、どちらも安永2年(1774)6月の文字が彫られている。今から200年以上前に立てられたものらしい。

 門前の五社堂駐車場から登り始めて1時間半ほどで本山の分岐にでる。分岐といっても今の季節は1本道で間違いようがないのだが、雪道のときは真っ直ぐのぼると毛無山山頂付近に自衛隊が設置した巨大なパラボラアンテナまで直接行ける。分岐を過ぎてまもなく、新奥の細道の標柱があった。「新奥の細道」とは東北自然歩道の愛称で、東北6県にまたがる長距離自然歩道のことだ。秋田県内には50コースが設定されていて、ここのコースは「なまはげの里をたどる道」となっている。標柱では毛無山まで0.5kmとあるが、毛無山の山頂にはまったく気付かずに通り過ぎてしまった。

 今の季節は、全山至るところに山の花が満載なのだが、特に「オオサクラソウ」は男鹿本山を代表する花である。かつては、男鹿本山のどこにでも咲いていた花だそうだが、今では生息地が限られてしまい、登山者が入りこまないよう厳重に管理されている。それでも、この花を見たときの感動は何物にも変えがたいものがある。念願の恋人に会えた気分で、嬉しくて飛び上がりたいほどだった。

 毛無山を通り過ぎたあたりで見晴らしの良い場所に出る。眼下には加茂青砂海岸が広がり、岬のようになった桜島も見える。山を登ったものだけに与えられる絶景だ。ほどなく、目的の男鹿本山山頂が見えてくる。ドーム型をした自衛隊のレーダー基地が目印だ。ここまでくると、山頂までは自衛隊の取り付け道路を登ってすぐだ。

 振り返ると、通り過ぎてきた毛無山の山頂が見える。巨大なパラボラアンテナが立っている。新緑の緑が目に眩しい。門前からの男鹿本山登山コースは、美しい花々といい、新緑の緑といい、素晴らしい登山コースである。

 今回出会った花の数々は、「男鹿本山登山道に咲く花々」のページでご覧ください。

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