小坂町明治百年通り

2005年11月12日(土)

小坂鉱山事務所(国指定重要文化財)
 娘の大学後援会の秋田県支部役員会を大館雪沢温泉で開くことにしたが、雪沢温泉と小坂町は車で20分ほどの距離にある。小坂町は明治から大正にかけて日本一の鉱産額を誇る鉱山として栄えた町で、明治時代に秋田県で最も早く電気が通ったり、東北大学附属病院などの厚生施設や芝居小屋などの文化施設が立ち並ぶ県内で最も賑やかな文化都市であった。その当時を偲ぶ施設が国指定の二つの重要文化財建造物である。せっかくの機会だから、小坂町に立ち寄らない手はない。

小坂鉱山事務所
 明治38年(1905年)建築の旧小坂鉱山事務所は、日本一の鉱山だった小坂鉱山のシンボル的存在である。平成9年に新事務所建築に伴い、小坂町に譲渡され、平成13年に明治の芝居小屋「康楽館」がたつ現在地に創建時そのままの姿で移築・復元され、往時の華やかさを今に伝えている。

小坂鉱山事務所
 木造3階建てのルネッサンス風の建物は、事務所の建物としてはとてもモダンで、このような建物が小坂町にあったこと自体がすでに驚きであるが、それが平成の世まで使い続けられ、そして今こうして見ることができるというのは、何と素晴らしいことだろう。

旧聖園マリア園「天使館」
 小坂鉱山事務所の向かいに位置するのが、旧聖園マリア園「天使館」である。この聖園マリア園「天使館」は、昭和7年に小坂鉱山の協力を得た聖心愛子会のシスター・テレジアによって、鉱山従業員子弟の幼児教育機関として建てられもので、平成4年まで現役の幼稚園として使用されていた。その後、幼稚園は新築移転されたが、平成14年に創建時の姿に修復され、この地に再建されたものである。

旧聖園マリア園「天使館」
 二つの特徴的な建物の間にあって目立たない存在だが、白壁で統一された外観は、この通りにとてもよくマッチしている。それにしてもこの建物ですら昭和初期の建物だから、もう70年以上の歳月が経過しているのである。小坂町のもつ文化的な深みがひしひしと感じられてくる。

日本最古の芝居小屋 康楽館(国指定重要文化財)
 小坂町でもっとも有名な存在が、この明治の芝居小屋「康楽館」である。ここのすごさは、今もなお現役の芝居小屋として営業を続けているというところだろう。残念なことに、常設芝居の伊東元春一座が今年で幕を閉じるという。私も何回か見学させてもらったが、康楽館の顔が消えてしまうのは淋しいものである。それでも、また来年からは別の興行が行われるというから康楽館の火が消えるわけではない。幕の内弁当をついばみながら、日本最古の芝居小屋で芝居見学をするのは、なかなかおつなものである。

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