2000年2月10日,秋田県地方は晴天に恵まれた。秋田県西木村に伝わる小正月行事「紙風船上げ」は,絶好の天気のもとで行われた。午後4時前に会場入りしたが,ちょうど昼風船が上げられるところだった。天まで届けとばかりに,青空に吸い込まれるようにして打ち上げられる紙風船。巨大な紙風船が見えなくなるまで,ずっと見入っていた。
秋田内陸縦貫鉄道の沿線に設けられた会場を3両編成の列車が通過した。上桧木内駅を出発したばかりの角館駅に向かう上り線。今日は,お祭りのため,車両が増結されている。ただし,上桧木内駅のホームの長さが1両分しかないため,出入り口は先頭車両しか開かないのだそうだ。
紙風船上げの本番が始まる前に,西木村の近隣地域の祭りが紹介されていた。写真は角館の小正月行事の「火振りかまくら」。今月の13日,14日の2日間にわたって角館町の桜の名所,桧木内川堤で開催される。今回は,見学者が自由に参加できるため大人気で,子どもたちも,さかんにカメラのシャッターに収まっていた。
午後6時30分から,いよいよ本番スタート。ケンニチの紙風船は7時,7時30分,8時に打ち上げられる予定だったが,1本目が早まって,テントで暖をとりながら,談笑している内に膨らみ始めていた。
ケンニチの読者が自分たちで打ち上げてもよいということで,皆そろりそろり風船を回しながら,風船の中にガスバーナーで熱い空気を入れていく。中の空気が暖まらないうちに上がると,途中で失速して落ちてきてしまうので,最初が肝心である。
十分にふくらんだ頃合いを見て,灯油を染み込ませた中央の布に点火し,打ち上げる。大きな眼鏡を掛けた伊藤さんが笑顔で,下界の人間に手を振っている。打ち上げた仲間から一斉に「ばんざい」の声があがる。感動の一瞬であった。
「やったね。」「よかった,よかった。」
皆,口々に言い合う。
記念写真を撮ろうよ,みんなで。こうして,撮影された記念写真が,ケンニチのトップページを飾った。
今回の紙風船には,募金した人全員の名前が記入される。一生懸命紙風船上げを手伝っている仲間をよそに,一人,自分の名前がないか,探していたが,3本目に打ち上げられた紙風船に「秋田市 木村雅彦」と記された名前を発見。「あった,あった。」と一人,はしゃいでいた。この風船には,他に土門さんやankouさんなど,ケンニチやあきたNEWSでおなじみの名前もある。
ここでは,圧縮をかけすぎたため,文字が判然としないが,元の写真はもっと鮮明なので,写真を希望の方は,メールでお送りします。
このように,風船の下端をみんなで持ちながら,ゆっくり,ゆっくりと回していく。風船の中の空気を均等に熱するためだ。そろそろ,打ち上げが可能になったので,中央の布にガスバーナーで火を点けたところ。
この直後に紙風船は夜空に打ち上げられる。