2004/10/30
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秋田市、河辺町、五城目町、上小阿仁村の4市町村にまたがる太平山県立自然公園。標高1170mの主峰太平山を始め、馬場目岳、赤倉岳などの1,000m級の山々が連なる野生動物の宝庫である。とりわけ、天然記念物のニホンカモシカは、この山塊に数多く生息しており、登山道にもよく顔を見せてくれる愛嬌者である。また、ツキノワグマもたくさん生息しているようだが、こちらとの面会は、できればご遠慮願いたい。
昨年もこの時期、太平山に紅葉登山をしたが、今年は仁別国民の森の奥にある旭又キャンプ場の登山口から、直接、太平山連峰の主峰奥岳を目指すことにした。太平山奥岳には、高校時代に授業で登ったことがあるだけで、ほぼ30年ぶりということになる。太平山には、昨年来2度ほど登っているが、いずれも標高700m余りの前岳までで、奥岳とは標高が400m以上も違う。それだけ、登りもきつくなるだろうが、晴れていれば山頂からの眺望が素晴らしいという。今年は、台風15号による塩害の影響で、紅葉はあまり期待できないが、せめて山頂からの眺望に期待することにしよう。 |
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杉林の中の旧トロッコ道 |
山の神(御滝神社) |
御手洗 |
旭又キャンプ場からしばらくは、なだらかな坂道が続く。端正に植林されたスギ林に切り拓かれた真っ直ぐな山道は、伐採したスギの運搬用に作られたトロッコの軌道跡である。登り始めて30分ほどで祠のある山の神(御滝神社)に着く。ベンチもあり、ここで一休み。ここからは一転して急坂が続く。周囲の景色に目を向ける余裕もなく、ただひたすら登る。途中、2度ほど休みを入れ、山の神から1時間ほどで、御手洗の清水に着いた。赤い衣装をまとい、寄り添うように並んでいるお地蔵様がなんとも可愛らしい。ここの清水は、本にも紹介されている評判の水である。ここまでの急坂で乱れた呼吸を整え、清水を飲む。ひんやりとしてとても美味しい。 |
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稜線から奥岳山頂を望む |
太平山奥岳山頂 |
同行4人で記念写真 |
御手洗は標高830mの位置にある。ここまで登ると、杉も姿を消し、純然たるブナ林となる。秋田でブナ林というとすぐに白神山地が思い浮かばれるが、どうして太平山のブナ林も見事なものである。ここから、旭岳や笹森と奥岳の分岐になる稜線までの登りはジグザグの急坂で、ここまでの登り以上にきつかった。御手洗までの登りで、すっかり体力を使い切ってしまったようだ。前に進もうにも足が上がらない。次第に左足のふくらはぎに張りを感じるようになってきた。10歩進んでは、立ち止まって息をつくいう風であった。これでは、同行者からドンドン遅れていく。それでも、足が動かないのだから如何ともし難い。何とか、稜線までたどり着き、腰をおろしてしばし休憩する。気温は低いのに、顔が火照って熱くなってきた。ただ、目の前に山頂の小屋が見えてきたこともあって、少しは元気が湧いてきた。あと少しだ。頑張ろう。 |
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山頂からの眺望
馬場目岳、赤倉岳方向 |
山頂からの眺望
岩手山、秋田駒ケ岳方向 |
山頂からの眺望
宝蔵岳、剣岳、中岳方向 |
9時に登り始めて、山頂に着いたのは11時半。ちょうど2時間半の登りだった。天気にも恵まれ、頂上からの眺望はさすがに素晴らしい。360度の大パノラマが広がる。鳥海山、和賀・真昼山系、秋田駒ケ岳・乳頭山、岩手山、岩木山、白神山系、男鹿三山などなど、北東北の名だたる山々がすべて見える。太平山連峰の山々も半円をなすようにして、眼前に稜線をくっきりと見せてくれている。自分の庭のごとく毎週のように太平山に登っているO氏も、休日にこれだけ良い天気に恵まれることは珍しいと話していた。昨年の太平山登山も良い天気だったが、ガスがかかって下界はよく見えなかった。今日は、蛇行して流れる雄物川の様子もよく見える。それにしても、鳥海山の大きさにはビックリしてしまう。他の山との格の違いを見せ付けているようだ。残念ながら、写真ではうまく撮れなかったが。 |
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山頂からの眺望
秋田空港、鳥海山方向 |
落葉したブナ林 |
御手洗清水の黄葉 |
昼食を摂り、1時間ほど休憩して山頂の眺望を満喫してから、下りにかかった。登りとはうって変わって、下りは快適そのもの。下りになると、魔法の杖(ストック)と、膝や足の筋肉を固定する強力サポーターが威力を発揮してくれる。同行のK氏は下りになって膝の筋肉を痛めたようだ。膝を曲げると痛いという。それでは下りるのはつらかろう。K氏の歩行に合わせてゆっくりと下った。登るときには、きつくて景色を見るゆとりすらなかったが、下りになると呼吸が楽になるせいか、周りの景色がよく見える。山頂付近は森林限界を超えているため高木はないが、少し下るとブナ林となる。御手洗の清水までは葉を落としたブナの木が多かった。白身を帯びたブナの幹は、葉を落としても絵になる。 |
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御手洗から山の神にかけての登山道の紅葉 |
御手洗から下は、紅葉真っ盛りであった。急な下り坂が続くが、紅葉が美しく、何度も立ち止まってはシャッターを押した。今年は、台風の影響で、紅葉はよくないと言われているが、確かに茶褐色に枯れた葉も目に付くが、陽光にキラキラと輝く紅葉はとても美しい。しいて難点をあげれば、紅色が少ないことか。 |
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「中高年のための登山学」を著わしている登山家の岩崎元郎氏が、このたび中高年が楽しみながら登れる新・百名山を発表した。いま、朝日新聞の土曜版に連載中であるが、その中に、秋田県からは、秋田駒ケ岳、鳥海山と並んで、この太平山が選ばれている。標高は決して高くはないが、山懐の深さ、登山道のバリエーションの多さ、多くの登山者に愛されていることなどを考えると、あながち不思議な選択ではない。紅葉も素晴らしいが、春のヒメシャガも可憐で綺麗だ。旭又口の登山道には、あやめ坂と呼ばれるヒメシャガの群生地がある。今度は、ヒメシャガの咲くころに再登したい。帰りは、ザ・ブーンに寄って温泉に浸かって帰った。筋肉の疲れをほぐしながら、登山の後に入る温泉は最高である。 |
陽光に輝くモミジの葉 |
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