初秋の鳥海高原(由利町・仁賀保町)

2002年9月14日(土)


 3連休の初日、朝起きると外はよく晴れていた。娘たちは受験生のため、連休も関係なく学校へ模試を受けに行った。さて、せっかくだからどこかに行こうかと思い立ったのが鳥海高原である。先週、本荘市で「環鳥海未来の森林(もり)フォーラム」に出席したり、地元の魁新聞に鳥海高原のコスモス園が紹介されたことも多分に影響しているが、鳥海山の麓で生まれたというボクのルーツがなにかしら行動に影響を与えているような気がする。元来が北に向かうよりは南に向かう方が好きなのである。鳥海山を眺めるとどこかホッとするところがある。出身地というのは侮れない。

コスモス畑とコスモワールド

 秋田市から海岸道路(国道7号)を南下し、本荘の街中に入ると、車のフロントガラス一杯に忽然と鳥海山が現れる場所がある。そこを通過するたびに、鳥海山の雄大さに圧倒され厳粛な気分になるのだが、この日は鳥海山の部分だけ雲がかかって見えなかった。上空はとても良く晴れているのに。鳥海山のような高山にはよくこういうことがある。
 最初に訪れたのは、由利町の南由利原高原。早咲きのコスモスが畑一面に咲いていた。コスモスは、一つ一つを見ると可憐で可愛らしい花なのだが、あたり一面を埋め尽くすように咲いていると、豪華で他を威圧するような美しさとなる。数日前に新聞に紹介されたせいだろう。明日から始まるコスモス祭りを前にして、多くの観光客で賑わっていた。


陽光に輝くススキ

 コスモス畑の脇では、ススキの葉が初秋の陽光にキラキラと輝いていた。コスモスといい、ススキといい秋の風物詩で埋め尽くされている。高原のせいか、半袖の腕に受ける風が冷たかった。


コスモス畑

 正面奥には鳥海山。中間に秋田杉の林。手前一面がコスモス畑となる予定が・・・・・。山の天気ばかりは如何ともしがたい。緑色の杉林までもが、雲の陰になって黒くなってしまった。風景写真は、時と天気、タイミングのすべてを味方につけなければ到底成功は望めない。それでもこんなに綺麗な沢山のコスモスに出迎えてもらえただけでも幸運なのかもしれない。


風力発電と鱗雲

 コスモス畑の南由利原高原をあとにして、次に向かったのは仁賀保高原。ここには15基の風力発電のプロペラが並んでいる。自然景観上疑問視する人も多いが、クリーンエネルギーは21世紀のキーワードでもあり、そのうち自然に溶け込んだ風景になるのではないか。真っ青な空に鱗雲が見える。海の向こうには遠く男鹿半島が望めたのだが写真にするとよくわからない。肉眼がもっとも高性能なカメラなのだ。


眼下に飛島を望む

 目を転じると、眼下に金浦や象潟の田園風景が広がっていた。秋の収穫を前にして黄金色に輝いていた。田んぼの中にこんもりと茂った森が見えるが、ここはかつて島だったところ。海が地震によって2メートル以上も隆起したため、すべて陸続きとなったのである。
 また、日本海の水平線上に見えるのが飛島。飛島がこんなに近い島だったとは新たな発見だった。


ススキと青い空

 ススキ、沼、風力発電、青い空、白い雲。ハッとするような風景とは、意外と身近で単純なもので、その人の心象風景に琴線が触れるかどうかで決まってくるものなのかもしれない。ススキが生い茂る野原には、月見草、ムラサキツメクサ、ツリガネニンジン、ウメバチソウなど可憐な野草が沢山咲いていた。
 帰りは、近くの土田牧場でジャージー&ポークのウィンナー、ジャージー牛のソフト、チーズトーストなどを頬張って高原を後にした。


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