鳥海高原の春

2006年5月4日(木)
鳥海山の山麓には湿生植物が豊富に見られる貴重な湿原が数多く点在している。春になると、雪解けを待つようにして水芭蕉や座禅草などの群生が見られるとあって、連休の休みを利用して出掛けてみることにした。
※写真をクリックすると大きな写真(600×450pix)になります。
南由利原のミズバショウ群生地は、大谷地池のサイクリングターミナルから程近い場所にある東北でも有数のミズバショウの大群落地である。ちょうど雪をかぶった鳥海山を背景にしてみるミズバショウの群生は見事というほかない。惜しむらくは、北側の車道側からしか見ることができず、広い群生地の周囲を散策できないこと。木道でも整備すれば、立派な観光資源になると思うのだが何とももったいないことだ。
朝日に輝く鳥海山は、ほぼ全ての山裾が真白な雪に覆われ、神々しいまでの美しさだった。山の形といい、大きさといい、純白に輝くその美しさはまさに一級品の山である。右の写真は仁賀保高原ひばり荘から撮影した鳥海山だが、山麓に立ち込める煙は野焼きによるものである。
にかほ市の鳥海山麓に広がる冬師湿原は一面のススキ原だが、盛んに野焼きが行われていた。ここは、散在するハンノキ下に広がる湿生植物の群生が県の自然環境保全地域に指定されている。中には、モトクロス場も設けられていて、バイクを積んだ自動車が盛んに行き来するのであった。
冬師湿原に広がるミズバショウの群生。中にはザゼンソウも沢山咲いているのだが、ミズバショウに比べると目立たない存在だ。
エゾノリュウキンカも咲いている。その鮮やかな黄色い花は、遠くからでもよく目立つ。ミズバショウ、ザゼンソウ、エゾノリュウキンカが、箱庭のように3点セットで行儀良く咲いている場所もあった。ここの湿原には、他にキクザキイチゲやミチノクエンゴサクなども咲いていた。突然、ガサガサという音がしたと思ったら、ウサギが跳びはねていったのだった。
平地ではそろそろ終わりかけている桜も、鳥海高原では蕾のままのものが多く、まだまだこれから花見が楽しめる。山を降りていくにつれ、ちょうど満開に咲いている場所もあった。桜の開花は緯度を北上すると同時に、高度も上げながら開花を進めていることがよくわかる。
平地の公園に一斉に咲く桜も見事だが、山の中に点在して咲く桜も、背景の緑の中にポッカリと浮かんだように見える様は、際立ったコントラストを醸し出し、それはそれは息を呑む美しさだ。
由利本荘市西目の望海の丘は、桜がちょうど見ごろを迎えていた。日本海が一望できるこの公園は、桜や椿、ツツジなどの樹木が植生されており、格好のハイキングスポットとなっている。
公園内を散策してみると、ヒトリシズカの群生やオオバタネツケソウなどが見られ、山野草ファンにも十分に楽しめる場所である。さらに、ここにはワラビも生えていた。まだ、時期が早く、期待していなかったワラビに出会えたことは、この日一番の収穫であった。早速、取りたてのワラビはその日の夕食になったのは言うまでもない。
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