鳥海山登山2008年夏

2008年8月10日(日)

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登山道に咲く花々は、「鳥海山鉾立登山道に咲く花」のページをご覧ください。

 秋田県と山形県にまたがる鳥海山には、いくつかの登山口がある。その中で、もっとも良く利用されているのが、象潟の鉾立口登山道だろう。鳥海山5合目の鉾立までは、国道7号から鳥海ブルーラインが通じているので、秋田市内から2時間足らずで行くことができる。このアクセスの容易さも人気のもとになっている。

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 鉾立登山口から舗装整備された歩道を5分ほど登ると、奈曽渓谷や鳥海山山頂が一望できる展望台に出る。ここまでなら、革靴でも登ることができるので、多くの観光客で賑わうが、まだ朝の7時とあっては、その数も少なかった。
 鉾立登山口から登り始めて、1時間半ほどで7合目の御浜小屋に到着する。ここからは、眼下に鳥海湖が見え、最盛期には斜面一面がハクサンイチゲやニッコウキスゲに覆われるお花畑となる場所なのだが、時期が少し遅かったのか、花はあまり見えなかった。その代わり、ハクサンシャジンやオオハナウドなどの花が登山道脇を覆っている。
 御浜小屋から少し登り、扇子森(1759m)付近から鳥海湖方面を振り返ると、鳥海湖越しに、こんもりと盛り上がった鍋森(1652m)や笙ヶ岳(1635m)に向かう尾根道が箱庭のように眺められ、さらにその奥には日本海が広がっていた。

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 八合目の八丁坂付近の登山道は段差の低い石段が敷き詰められていて、登りやすくなっている。登山道脇に咲いているのは、ヤマハハコの群生だ。見上げると、斜面にはニッコウキスゲが咲いていた。青い空に、原色の黄色い花が良く映えている。七五三掛(しめかけ)手前の御苗代にはハクサンイチゲが咲いていた。初見参である。鳥海湖付近では見られなかった念願のハクサンイチゲにやっと会うことができた。

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 七五三掛を過ぎると、登山道は二つのコースに分かれる。今回は、登りに夏もなお雪渓が残る千蛇谷コースのルートを取った。千蛇谷に至る登山道の北側(秋田県側)は切り立った崖になっている。遠くに見えるのは鉾立登山口脇に聳える稲倉岳(1554m)で、その先には日本海が遠望できる。
 千蛇谷の雪渓コースから山頂を望む。外輪山の左手に位置するのが、鳥海山最高峰の新山だ。

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 千蛇谷コースから右上を眺めると、外輪山コースのやせ尾根が見え、歩いている人の姿も眺められる。雪渓を過ぎ、山頂小屋に向かって急な岩場の山道を歩く。立ち止まって後ろを振り返ると、外輪山から扇子森に至る登山道がはるかに見渡すことができる。岩場の登山道脇に、時折顔を見せてくれるのは、イワギキョウの青く可憐な花だ。10時50分、登り始めてから約4時間で山頂直下の頂上御室に到着。新山山頂に登るには、さらに目の前の溶岩ドームを登らないといけない。
 一旦、荷物を頂上御室付近に置き、身軽になって道なき岩山に取り付く。ここからは、両手を使いながらの岩登りとなる。新山山頂は山というより、巨大な岩がいくつも積み重なってできた大きな塊ともいうべきもので、今にも岩が崩れ落ちてきそうで怖い。ここは、1801年の噴火によってできた新しい山で、名の由来もそこからきている。頂上付近では、人一人がやっと通れるほどの岩の裂け目の間を通り抜けていく。岩の裂け目からは、山頂に立つ人の姿も眺められる。

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 鳥海山最高峰の新山山頂(2236m)に到着。狭い山頂には次から次へと人が登ってくるので、感慨に浸る間もなく、荷物を置いてきた御室まで降りて昼食を取る。ここには、大物忌神社が祀られており、新山山頂は目の前に見える。昼食を取ったあと、新山の対面にある七高山に向かう。七高山に取り付く急坂から新山を眺める。雪と岩山、青空と流れる雲。疲れを忘れさせてくれる風景だ。

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 12時ちょうど、一等三角点のある七高山山頂(2229m)に到着。七高山は矢島の祓川口や、鳥海の百宅(ももやけ)口から登ってくるときに目標になる山だ。山頂にある石碑の脇には、まるで植えられたようにイワギキョウが咲いていた。目の前にあるのは新山の溶岩ドームで、山頂には人の姿も確認できた。目を左に転じると、行者岳(ぎょうじゃだけ)、伏拝岳(ふしおがみだけ)、文殊岳(もんじゅだけ)など2000メートル級の外輪山の山々が一列に並んでいる。

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 下りは、登りとはコースを変え、七高山から外輪山コースを辿っていくことにする。登山道脇に咲いている紫の花はイワブクロである。振り返ると、今登ってきた新山(左)と七高山(右)が見える。

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 ほどなく、百宅口登山道の分岐に出る。真っ青な空のもとに、新山と七高山が並び立つ。遥かに続く外輪山の峰々。

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 行者岳を過ぎると、山形県側に巨大な雪渓が見えてくる。心字雪渓と呼ばれる場所だ。新山に取り付くようにして見える赤い屋根の建物が頂上御室だ。このたび、2年がかりの工事で水洗トイレも完成した。よくぞあんな場所に建物を建てたものだと感心する。外輪山登山道には、鳥海山固有種のチョウカイフスマが咲いている。

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 外輪山コースは狭いやせ尾根が続き、右手の千蛇谷側は絶壁が続くので、慎重に歩を進めなければならないが、眺望は抜群で見るべき場所が満載である。今回は下りで使ったが、七五三掛から文殊岳に至る急坂を凌げば、あとは雄大な風景を眺めながら、標高差のあまりない外輪山の3つのピークを通って行くことができるので、むしろ登りに利用する方が楽だったかもしれない。

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 ハクサンシャジン越しに見えるのは荒神ヶ岳から新山の峰々。文殊岳山頂には登山客のグループが見える。ここからの眺めも抜群である。七五三掛で休憩を取りながら、荒神ヶ岳から新山方面を眺める。右側には、文殊岳からの急な下りを降りてくる登山客の姿が見えた。

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 御田ヶ原の広い斜面に咲くニッコウキスゲの花。扇子森から、いま辿ってきた山頂方面を眺めると外輪山に囲まれた鳥海山が一望できる。麓から見る鳥海山とは、また異なった趣きを示していて、とても雄大な眺めである。本当に、鳥海山は神々しいまでに美しい山である。
 朝7時から登り始めて、鉾立登山口に戻ってきたのが、午後3時半過ぎ。約8時間半の登山であった。鉾立登山口近くにある稲倉岳は、どっしりとボリュームがあって存在感のある山である。ここへの登山道は開かれていなくて、眺めるだけの山なのが残念な限りである。

鳥海山鉾立登山道に咲く花


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