早春の三崎公園

2008年3月22日(土)

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 秋田県内でもっとも春の訪れが早いにかほ市象潟地域を訪ねた。場所は、山形県との県境にある三崎公園。ここは、旧街道沿いの日本海に突き出た断崖にそそり立つ三崎山一帯を整備したところである。

 三崎山は鳥海山噴火の際に流れ出た溶岩流が、日本海の荒波によって侵食されてできた奇岩、怪石が多く、古くから新潟から秋田に向かう北国街道の難所として知られていた。ほぼ全山を雪に覆われた真っ白な鳥海山がすぐ目の前まで迫っている。ここから仰ぎ見る鳥海山は、秋田方面からみる鳥海山とは随分と形が違う。秋田側の鳥海山はコニーデ型の綺麗な円錐形をしているのに対し、ここの鳥海山は頂上付近が横に広く連なっており、まるで違う山を見ているようだ。

 目を転じて海を眺めると、日本海は暖かな春の陽光を受け、キラキラと輝いていた。海まで降りる石段があったので降りてみると、漁師だろうか採集した岩のりが無造作に岸壁に置きざりにされたままだった。「岩のりの採取禁止」という立て札が立てられている割に、なんて大らかなことだろう。

 三崎山を通る街道は、慈覚大師円仁が開いたという言い伝えがある。そのためか、大師堂という小さな祠が建立されていた。かつてはこの境内に23もの寺院があったそうだ。今は大師堂がポツンと建つのみである。

 三崎山一帯は暖地性の植物であるタブの原生林に覆われている。野生のヤブツバキも多く群生している。ヤブツバキもまた暖かい地方を代表する植物であり、ここが温暖な気候風土であることを表している。旧街道は、そんなタブの群生林を縫うようにして整備されており、県の史跡にも指定されている。また、ここ一帯は戊辰戦争で秋田・生駒藩連合軍と庄内藩の間で激しい戦争が繰り広げられた場所であり、戦死者を祀る慰霊碑も建てられていた。


 海岸に下りていると、付近を通る羽越線を特急いなほが通過していった。雪をかぶった鳥海山を背景にして、小砂川海岸を疾走するいなほの姿がとても印象的だった。

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