NO8 地域連携雑感  1999年9月26日(日)

 25日,「北東北交流連携倶楽部」という民間団体が主催する「秋田・盛岡・宮古横軸連携フォーラム」が,秋田テルサで開催された。秋田市長,盛岡市長,宮古市長,角館町長,連携倶楽部幹事の賢木新悦氏の5人をパネリストに迎え,秋田大学の清水浩四郎教授がコーディネーターを務めた。

 地域連携とは,限られた資源を地域が共有することによって,地域の活性化を図ることが主目的である。連携と似た言葉に交流というものがある。交流は単に人が交じり合うことだが,連携は協働することが基本である。つまり,互いに協力し合い,力を合わせて一つのことをする,これが連携だ。

 今,県レベルでも,北東北3県は連携がうまくいっている地域である。連携はまず観光から始まった。平成4年,3県が共同で首都圏向けに,「北東北に針路をとれ」というキャッチコピーを使って観光PRを行った。連携が本格化したのが平成9年の北東北知事サミットの開催。このサミットで合意した,3県の福岡合同事務所は,これまでの県という垣根を越えた画期的な試みであったと思う。

 今回は,国道46号,106号沿いの沿線28市町村(一部13号を含み,男鹿市まで)が連携しようという試みである。どちらかと言えば,高規格道路(高速道路)の建設促進という色合いの強いフォーラムだったが,連携の基本はやはり道路だというのが一致して認識するところ。最近は,インターネットの普及によって,必ずしも道路ばかりでもない気もするが,インターネットをしていても,オフ会で交流を深めるのと一緒で,人間の交流連携の基本は face-to-face であるのかもしれない。

 秋田市長がしきりに,今回ここで首長同士が決議すれば,それでモノゴトが決まるのだから,何か連携事業をやりましょうと提言していた。多分に北東北知事サミットを意識した言葉と受け止めた。県の垣根を越えて,市町村が連携するのはいいことだ。県なんて関係ない,県のしばりをはずして頑張りましょうとも言っていた。確かに県知事は来ていなかったが,岩手県と秋田県から多数の幹部職員が来ているのになんと大胆な発言と思ったが,地域づくりの基本は市町村だから,それもまあしょうがないことなのか。秋田市長の頭には,道州制があるのかもしれない。

 それにしても,太平洋と日本海を一本の道で結ぶ,この連携。宮古の浄土が浜で太平洋から昇る朝日を見,男鹿半島で日本海に沈む夕日を見る。この雄大な発想。ボクはずっと太陽は山から昇り,海へ沈むものだと思って暮らしてきた。それが当たり前のことだと思って生きてきた。ところがそうではない暮らしをしている人もいるというのは,頭の中でわかってはいても,どうもしっくりとこない。考え方や人生観も随分違うのではないかと思う。そんな人たちが連携して,何かをやろうとする試み,これからは一つの行政主体でなんでもかんでもフルセットでやるという時代ではないだけに,新たな動きに大いに期待する。

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