NO10 秋田人が酒豪なのは遺伝子のせい  2000年1月10日(月)

 本日付けの朝日新聞の1面に興味深い記事が載った。以下,見出しを引用すると,

「南北に「酒豪」 遺伝子も証明?」「近畿・中部は下位,消費量と同傾向」
「1.秋田,2.鹿児島・岩手,・・・・・・46.愛知,47.三重」

 これは,筑波大学社会医学系の原田勝二助教授らの調査でわかったことだそうだ。
 原田助教授らは,酒に強いとされる遺伝子の型(NN型)を持つ人の割合を調べ,全都道府県を順位付けした結果,第1位が秋田県の77%,最も少ない三重県の40%に比べると倍近い割合である。

 なぜ,NN型の割合に差が出たのか。それは,原田助教授によれば「現在の日本人は縄文人と弥生人の特徴を兼ね備えているが,縄文人には酒に強い体質の遺伝子型を持つ人が多かったと考えている。酒に弱い遺伝子型は,弥生時代に海外から近畿,中部に多く移り住んだとされる北方系の弥生人によってもたらされたのではないか。地域で差が出たのは,この歴史のためだと思う。」ということらしい。

 縄文人・弥生人のくだりの真偽はともかく,酒に強い県,弱い県が遺伝子学的に証明されたというのは,画期的なことだと思う。これまでは,酒類の小売販売量などで,消費量を推し量っていたが,その傾向ともほぼ一致したらしい。秋田の人間が呑ん平だというのは,ずっと経験則で言われてきたことだが,それが科学的にも証明され,しかも日本一だというのだから,喜ばしいことではないか。これで,大手を振って,呑ん平県を自称できる。何事も日本一はいいことだ。

 かつて,清酒の消費量は秋田県がずっと日本一を誇っていたのだが,昭和63年頃に新潟県に抜かれてしまった。ちょうど「越乃寒梅」ブームで新潟の酒が売れた時期であった。きっと,県外からの観光客の消費量の差が出たのだろうと思っていたが,今回の調査を見ると新潟県は15位となっていて,ちょっと溜飲を下げた思いである。なんとささやかな満足感なんだろう。我ながら情けない。

 ただ,振り返って自分を眺めてみると,どうも弥生人の血が色濃く混じっているようで,秋田人には珍しいタイプ(残りの23%)の人間のようである。参考までに上位10県と,下位10県は以下の表のとおり。

秋田県 38 岡山県
鹿児島県 39 奈良県
岩手県 40 大阪府
福岡県 41 広島県
栃木県 42 大分県
埼玉県 43 和歌山県
北海道 44 岐阜県
沖縄県 45 石川県
熊本県 46 愛知県
10 高知県 47 三重県

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