猪苗代・裏磐梯の旅

(平成19年07月08日)


 娘が卒業した日本工業大学には、親の集まりである後援会という組織がある。そして、子どもが卒業したあとも、親たちは「宮代会」という後援会のOB会を作って、定期的に会合を開いている。娘は、この春大学を卒業したばかりだが、早速、その宮代会から福島県磐梯熱海温泉で総会を開くという案内が届いた。せっかくの機会だから、旅行を兼ねて夫婦で参加してみることにした。


磐梯熱海温泉「四季彩 一力」

 宮代会総会の会場となったのは、磐梯熱海温泉の「四季彩 一力」。由緒ある高級旅館らしく、庭園も見事である。その分、会費も相応だったが、たまにはこのような旅館に泊まって、ゆっくりと時を過ごすのもいいものだ。ただ、懇親会では2次会込みの料金ながら、1次会で早々とダウンしてしまったのは、ちょっと残念であった。妻は、しっかりと2次会にも参加したようだが。


野口英世生家

 今回は、周辺の観光も兼ねて自家用車で出掛けた。総会の翌朝、貸切バスで観光に出掛ける宮代会や後援会の人たちを見送ってから、猪苗代湖畔にある野口英世記念館に向かった。ここには、築200年近くになるという野口英世の生家が保存されている。野口英世は1876年(明治9年)に生まれ、上京するまでの19年間をこの家で過ごした。野口英世が火傷した囲炉裏や、上京するときに決意を刻んだ柱が残されている。


生家の床柱に残された文字の複写

 その生家の床柱に刻まれた野口英世の文字。「志を得ざれば、再び此地を踏まず」。この強い決意が、野口英世を世界的な医学者に育てたものだろう。


天鏡閣

 猪苗代湖を見下ろすような高台に建てられた「天鏡閣」。ここは、明治40年に、有栖川宮威仁親王殿下が、猪苗代湖畔を巡遊され、その景色を賞美して建てられた別荘とのこと。中を拝見したが、豪華絢爛な造りは、さすが宮家の別荘である。残念ながら、天鏡湖と呼ばれる猪苗代湖を眺めることは出来なかった。


五色沼

 裏磐梯観光といえば、五色沼をはずすことは出来ない。五色沼とは、桧原湖周辺に点在する大小の湖沼を総称した名前で、代表的なものがこの写真の「毘沙門沼」である。ほかに赤沼、みどろ沼、弁天沼、青沼、るり沼などがあり、それら湖沼を巡る自然探勝路も整備されている。五色沼から見る磐梯山は、猪苗代湖側からみる表の顔とはうって変わり、荒々しい姿である。


吾妻小富士

 裏磐梯から福島に向かう途中、「磐梯吾妻スカイライン」を通った。ここは、晴れていれば眺望抜群の道路で、日本の道100選にも選ばれている。残念ながら、この日は深い霧の中で、下界はおろか、数メートル先も見えないという最悪の状態だった。途中、浄土平と呼ばれるパーキングエリアで駐車し、レストランで昼食を取った。目の前には、こんもりとした吾妻小富士(1707m)が見える。山頂まで、階段が整備されているようなので、軽装ではあったが登ってみることにした。


吾妻小富士山頂火口跡

 山頂は、大きな火口跡が口をあけていた。これだけ大きな穴であれば、雨水が溜まって蔵王のお釜のような湖になっても良さそうなものだが、きっと吸水性のある土で、すべて地下に浸透してしまうのだろう。さすがに1700メートルを超えるとなると夏でも寒く、思わず薄手のセーターを羽織った。


浄土平

 浄土平は、ワタスゲが群生する高層湿原だった。およそ20分あまりで1周する木道のコースを、妻と共にイソツツジ、マルバシモツケ、ミヤマヤナギ、コバイケイソウなどの高山植物を眺めながら散策した。


旅の空から目次