松川温泉

(平成13年10月27日)

 岩手八幡平温泉郷から,曲がりくねった松川渓谷沿いの道路を登り,八幡平山頂に繋がる樹海ラインの入口にひっそりと佇むように3軒の宿が並んでいる。ここが,豊富な湯量と白濁した硫黄泉が特徴の松川温泉だ。
 この日,4年前に自治大学校で同じ政策課題研究を行った仲間が,この松川温泉に集まった。2年半前に高松で会って以来のことである。途中,松川渓谷沿いは紅葉に彩られた木々が美しい様相を見せていた。


 松川は日本で最初に地熱発電所が建設された場所である。この日泊まった松川温泉「峡雲荘」から歩いて数分の場所に,日本重化学工業の松川地熱発電所があった。供用を開始したのが1966年。現在の出力は23500kwだそうだ。21世紀は環境の世紀だという。エネルギーも,地球環境にやさしい,このような自然の力を利用した発電が中心になっていくだろう。日本は火山列島なのだ。


 松川温泉には,それぞれ趣の異なった3軒の宿がある。我々がこの日泊まったのは,一番奥にある「峡雲荘」だ。ここの混浴露天風呂からは,地熱発電所が目の前に見えた。すでにこの辺りの紅葉は盛りを過ぎ,木々の葉っぱが白濁した温泉の底にいっぱい溜まっていた。女性専用の露天風呂も別に用意されているので,この混浴露天風呂は混浴とは名ばかりで男性専用となっていた。


 松川渓谷の綺麗な滝をバックにして紅葉を撮った。ここは紅葉を眺めるスポットとなっていて,盛りを過ぎたこの日も大勢の観光客で賑わっていた。八幡平山頂に向かう樹海ラインは通行止めだったので,いったん八幡平温泉郷に戻り,アスピーテラインから登った。八幡平山頂で再会を約し,盛岡に戻る仲間たちと別れた。


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