西伊豆の旅

(平成17年10月22日〜23日)


 娘が通う大学には、父兄の集まりである後援会という組織がある。今年、縁があってその理事に選ばれたのだが、このたび伊豆下田にある大学の寮で理事会が開催されるというので、参加してみることにした。理事会の翌日には、西伊豆観光もセットされていた。伊豆には何度か行ったことがあるが、熱川や伊東などの東伊豆や修善寺などの中伊豆で、西伊豆に訪れるのは初めてのことである。


伊豆急下田駅前

 秋田新幹線こまちで秋田から東京へ出て、そこから特急踊り子号で伊豆急下田へ。朝7時に秋田駅を出発して、下田に到着したのは午後3時近かった。下田は幕末動乱期にアメリカから黒船が到来した歴史の舞台である。駅前にも黒船の模型が展示されていた。また、下田はとても温暖な地で、秋田とは10度くらいの温度差を感じた。駅前の大きなソテツがそのことを物語っている。思わず上着を脱いで、シャツ1枚になった。


堂ヶ島から南方向の海岸を望む

 理事会の翌日は、下田からバスで西伊豆観光に向かった。最初に訪れたのは、堂ヶ島である。快晴で絶好の天気に恵まれたが、あいにく風が強く、波が荒かったため観光遊覧船は欠航であった。堂ヶ島観光といえば、船で周囲の島巡りをしたり、天窓洞という洞窟を船でくぐったりするのがメインなのだが、まことに残念である。それでも15分ほど散策コースを歩いて、周囲の景色を楽しんだ。


堂ヶ島から三四郎島を望む

 波に削られた岩肌の模様が美しい。青い空と青い海、そして白い岩肌のコントラストが、また絶妙で絵になる景色である。遠くに見えるのが、3つの島(高島、像島、中の島)が並ぶ三四郎島だ。


三四郎島とトンボロ現象

 三四郎島には、干潮時には陸続きになって歩いて渡れるのだという。写真で白く一筋に波立っているところが幅30メートルほどの砂州になる。このような現象をトンボロ現象というそうだ。また、この場所から数分歩いたところに天窓洞(てんそうどう)と呼ばれる天井がポッカリと穴のあいた洞窟の天窓部分を見ることができる。上から見ると、ただの大きな穴で、下が海になっているというのが不思議な感じがするが、船で洞窟を辿ってポッカリ天井から太陽が射してくるという方が感動は大きいかもしれない。


土肥金山の観光施設入口

 堂ヶ島の次に向かったのが土肥金山。ここに向かう途中で初冠雪をかぶった富士山が綺麗に見える絶好のビューポイントがあった。快晴で風が強かったのが幸いしたのか、駿河湾越しに海上から山頂まで雲に邪魔されることなく、前景にも邪魔されることなく、円錐形の綺麗な山姿を余すところなく見せていた。とにかく、下から上まで全部見えるのである。富士山は何度も見たことがあるが、今日見る富士山は思いのほか円錐の角度が急で、あらためて高い山だなぁと感動した。残念ながら、バスで移動中だったことと、私が座った座席が海側ではなかったため、写真を撮ることができなかった。返す返すも残念である。
 さて、土肥金山だが、江戸時代初期に開発された金山で、つい最近まで採掘が続けられていた山だという。


土肥金山の観光施設内

 中は観光坑道が整備され、江戸時代の採掘の様子を知ることができる。また、館内施設である黄金館には、250Kgの巨大金塊も展示されており、その大きさに圧倒されること間違いない。この黄金館には、その他に鉱石が多数展示されているが、その多くが秋田県の鉱山から産出されたものだった。あらためて、秋田県は鉱山県だったのだと再認識させられた。
 土肥金山から三島に向かい、そこから新幹線で東京経由で秋田に帰ってきた。慌しい旅ではあったが、このような機会が得られたのも、娘の大学後援会の理事になったおかげである。


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