大江戸東山温泉

(平成13年10月4日)

 東京には,毎年必ず出張している。かつては,1日だけの会議でも,2泊3日の日程で旅費が支給されたものだが,秋田新幹線こまちが開通してからは,日帰り出張が当たり前となった。
 交通が便利になったのは喜ばしいことだが,東京出張が妙に味気ないものなったのは否めない。こんなご時世の中,今回の出張は珍しく3泊4日という日程だった。「地域保健情報分析研修」という日本公衆衛生協会主催の研修に出席するためだが,健康日本21の地方版作成のため,統計分析を大いに駆使してもらおうという厚生労働省の親心。何ともありがたいものである。そして,会場となったのが,渋谷から東急田園都市線で一つ目の池尻大橋にあるNEC大橋会館。田園都市線は営団地下鉄半蔵門線とつながっていて,池尻大橋まではずっと地下を走る。駅を出て東山商店街を大橋会館向かって歩くとすぐに左手に「天然温泉 大江戸東山温泉」の案内板が見えた。こんな町中に温泉があるとはちょっと驚きだが,思えば麻布十番温泉もここから近い場所にあるのだった。
 宿泊した大橋会館にもユニットバスが付いているのだが,せっかく近くに温泉があるのだから入らない手はないと,10月4日,研修が終わってから,部屋のタオルを借用して温泉に向かった。温泉は2種類あって,入浴料が1260円の「お楽しみの湯」と,630円の「長生きの湯」。1260円とはちょっと高めだが,露天風呂や2種類のサウナ,寝湯,打たせ湯など10種類以上のお風呂が楽しめるというし,めったに来る機会もないから,「お楽しみの湯」に入ることにした。
 泉質は塩分を多量に含んだナトリウム泉。地下1500メートルから直接汲み上げているというから,この場所はかつて海だったのだろう。露天風呂といっても,周りを高層ビルに囲まれているので,実際に開いているのは上方のほんの一部だけである。東京ではやむを得ないことだが,露天風呂の開放感からは程遠い。しかし,東京で天然温泉を味わえるのだから,そう贅沢もいっていられないだろう。難点は値段の高さで,土曜・休日になるとこの「お楽しみの湯」は1830円に値上がりするそうだ。一人ならともかく家族で来るとなると,ちょっと躊躇してしまう値段だ。
 ところで,この温泉のレストランには,富山の地酒,立山の吟醸が置いてあった。地酒というとその地域に行かないと飲めないと思いがちだが,全国の地酒を飲み比べするなら東京が一番である。 

データ:大江戸東山温泉,東京都目黒区東山3丁目1番6号,電話03-3712-0356


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