長瀞夏便り

(平成13年8月17日)

 妻の実家が埼玉にある。今年の夏休みはマイカーで里帰りした。いつもは東京に出掛けたり,義母の実家がある栃木県真岡に出掛けたりするばかりなのだが,今年は1週間以上も滞在できたし,同じ埼玉県にありながら,車でもなければなかなか行くことのない長瀞に行ってみることにした。
 妻の実家は同じ埼玉県でも東部の白岡町にある。そこから長瀞に行くには,一旦北上し,加須,行田,熊谷といった埼玉県の北辺を真横に西進するのが一番近いようだった。途中,延々と田園地帯が続く。妻に言わせれば景色が単調でつまらないという。義母は,この辺は空いている土地が一杯ね,という。僕にすれば,田んぼの風景は結構好きで,道路も真っ直ぐで走りやすく快適なドライブだった。
 熊谷市街を通り抜け,国道140号を南下する。寄居町で渋滞に巻き込まれた。お盆休みのせいだろうか。思いのほか長瀞や秩父方面に向かう車が多いようだ。


宝登山神社

 10時に家を出て,昼過ぎにようやく長瀞の宝登山(ほどさん)神社に到着した。秩父神社,三峯神社とともに秩父三社に数えられているのだそうだ。まずは神社にお参りする。
 この後,ロープウェイで宝登山の山頂へ登る。宝登山は,この地で日本武尊が山火事に遭い,巨大な犬が現れ火を消し止めたという伝説が残る火止山に由来する。山頂駅を降りた瞬間に感じる冷涼な空気がたまらなく新鮮だ。この山は2月から3月に掛けての梅林が見事だそうだ。


長瀞岩畳からライン下りを見る
 山を降りて,遅い食事を取り,次に向かったのはライン下り。長瀞と言えばライン下りと相場は決まっている。乗船までのちょっとした空き時間を使って岩畳の上からライン下りの舟を撮る。

ライン下りの舟の中
 ライン下りは,船頭さんの軽妙な語りがとてもいい。この日は川の水量が少なく,イマイチ迫力に欠ける乗船だったが,途中途中で出会うビキニ姿のお嬢さんたちや,いきなり飛び込んでくる若者たちを見ているだけで楽しいひとときで,あっと云う間の30分だった。船頭さんによれば,台風のあとに来れば,水量も増し流れも急になるので,迫力満点のライン下りが楽しめるのだという。ただ,それはそれでちょっと怖い気もするのだが。
 ライン下りも不景気の影響が出ているようで,今年のお盆休みは客の入りがさっぱりだと嘆いていた。今日は久しぶりの大勢の客でホット一安心といったところなのだろう。ここは,桜の季節もいいそうだ。

 当初,秩父や温泉も計画していたが,予想以上に長瀞まで時間がかかったので,この日はこれで帰宅した。やはり,日帰りでくるには,もう少し朝早く来る必要があるようだ。帰りもまた渋滞に巻き込まれ,長瀞から寄居までのほんの数キロを移動するのに1時間もかかった。関東の行楽地は渋滞があるのが玉に瑕だね。

旅の空から目次