平成24年度 第20回定例会
「大鰐ラウンド」

TOP
定例会
連携ウオッチング
リンク集
参考資料
開催日:平成24年7月7日(土)
場所:青森県大鰐町「鰐come(わにかむ)」「不二やホテル」
参加者名簿  
 第20回となる記念の北東北めぐみネットワーク定例会が、青森県大鰐町で開催された。今回も、昨年に引き続き「東日本大震災」をテーマにしての開催となった。東日本大震災を教訓に、大震災対応、被災者支援、復旧・復興活動などは、北東北に住む我々にとって、これからも大きなテーマになるだろう。
【挨拶】
 めぐみネットワーク会長 佐々木幸弘氏

 本日の講師 越野さんの著書「東日本大地震津波−岩手県防災危機管理監の150日」に「平時から自衛隊とつながることが、有事での自衛隊との円滑な連携に結びつく」とある。私たちの北東北めぐみネットワークのつながりは、ゆるいものだが、これを継続することで北東北の福祉の向上に役立てたい。
【問題提起】
  青森県幹事 中川博行氏


 始めに、自らの震災対応を振り返り、よりよい活動をするためにどう考えるべきか、問題が提起された。
【講演】
東日本大震災における岩手県の対応と教訓
 講師 岩手県総務部総合防災室
      元防災危機管理監 越野修三氏

 東日本大震災における岩手県対応の教訓・反省、自治体に求められる危機管理や、組織におけるリーダーシップ等をお話しいただいた。

(講演要旨)
自治体職員は危機対応の意志決定においても「予算の裏付け」「法的根拠」に縛られる。それでは状況不明時に動けない。「目的の達成」を一番に考え、「可能性からの発想」をやめて「必要性からの発想」に切り替えなくてはならない。
日頃準備していないことは危機発生時では対応できない。
兵は拙速を尊ぶ−迅速に危機に対応できる「仕組みづくり」と、その仕組みの中で「人を動かす」ことを第一に考えた。例として、県は「市町村から連絡が来ない」ときは待つのではなく「連絡員として市町村に入る」ようなことを仕組みに取り入れた。

「津波てんでんこ」は、各自が自主的に避難行動を起こす信頼感があってはじめて、各自が迅速に動ける。「正常化の偏見」(危険を認めようとしない人々の心理傾向)対策の真のターゲットは大人。しかし、大船渡市立綾里小学校では防災教育では子どもを通じて地域の大人へ危機意識共有化する取り組みをしている。

 ◎災害対策本部に勤務する者の心得
  1. 大規模災害は必ず起きると思って準備せよ
  2. 情報は入らないと思って、空振り覚悟で対処せよ 見逃しは許されない
  3. 常に被災者の目線で考えよ
  4. 十分な調整ち実行の確認を忘れずに
  5. 不足事態が起きた時には、目的を達成するために行動せよ
  6. 災害対策本部の組織は柔軟に変えて対応できるようにせよ
  7. 有事はトップダウンで対応を決定し、実行せよ
  8. 予算と規則の呪縛から解放させよ
  9. 普段やっていないことは、災害時には絶対できない 実践的な訓練が不可欠である
  10. 災害対策本部の活動記録は必ず残しておけ
【講演】
ご縁の恩返し・浪江町と宮古市田老地区への支援活動より
 講師 プロジェクトおおわに事業協同組合
     副理事長 相馬康穫氏


地域おこしグループ「OH!!鰐 元気隊」の活動と、町の地域交流センター「鰐come(わにかむ)の指定管理者である「プロジェクトおおわに事業協同組合」の経営についてお話しいただきました。
また、福島県浪江町と岩手県宮古市田老地区への支援活動についても紹介いただきました。

(講演要旨)
 平成19年8月、大鰐町を元気にしていこうと「OH!! 鰐 元気隊」を発足。小学生を含む130名の会員で活動している。町の地域交流センター「鰐come(わにかむ)」(平成16年設立)は、過去2年間でできた5500万円の赤字を、1年で黒字化するという任を負う上、管理費ゼロで指定管理者が募集された。「プロジェクトおおわに事業協同組合」は、これに唯一応募し、日本の田舎町の元気再生のお手本づくり」を目標に掲げて、平成21年6月から指定管理している。

 リッツカールトンホテルやディズニーランド同様に「おもてなし世界一のサービス業」を目指し、社員教育を実施している。年365日、朝礼を一般公開しており、前日の日計表と前年対比の売り場ごとの伸び率を手元に置いて行い、売り場ごとの数値目標を確認、情報を全員で共有するようにしている。

 鰐comeの3つのファンクラブ「産直の会(97軒)」「(業者協力者会)鰐の会(100社)」「(入浴ヘビーユーザー)友の会(400人)」制度で顧客を増やしている。産直の会では、月50万円以上売り上げるおばちゃんがいる。弘南鉄道大鰐線の企画切符も大ヒットで、周辺地区とコラボし、WIN-WINの関係を構築したいと考えている。東日本大震災後、福島県浪江町と岩手県宮古市田老地区への支援活動展開している。コミュニティビジネスの手法を用いて地域づくりを推進しながら、被災地への継続支援をする。

【意見交換:抜粋】

秋田県 渡邊さん「相馬さんへ、若手の人材育成は具体的にどのように展開しているのか。」
相馬さん「一例として、大鰐温泉もやし栽培は、それまで一子相伝だったが、ブランドとして確立するため、意欲のある若手を公募した。現在その公募で選ばれた若い人が頑張っている。こういう取り組みで生産体制を強化した。」

岩手県北自動車株式会社 山中さん「震災当時は、車、運輸関係と言うことで大変お世話になった。弊社としても、今後も地域、関係機関と協力を深められれば良いと思う。」

青森県 中川さん「越野さんへ、自衛隊が県庁内に司令部を置くということだったが、庁内からは何か意見は無かったのか。」
越野さん 「非常事態であったこともあり、特段、声はなかったものと思う。」

岩手県 佐藤守さん「越野さんへ、当時、私は県から大船渡市に出向していたが、県の仕事・市の仕事のスイッチングができないために、県の出先と市の意思疎通がとれないと感じた。しかし、救命のための72時間というタイムリミットもある。この意識のスイッチングのためにはどうしたらよいものか。」
越野さん「「意識」をすぐ変えることは容易ではない。日頃から行っていなければ、震災の混乱の中ではできないだろう。やはり、意識を変えるには訓練しかないと思う。発災の前年、花巻空港の訓練平素からDMAT、自衛隊、消防等と広域医療搬送訓練を実施したことが活きた。普段やっていないことは、災害時には絶対できない。」
【懇親会】
 本日の宿泊場所「不二やホテル」に会場を移して、懇親会が開催された。 各県持ち寄りの自慢の地酒を中心に、講師と膝を突き合わせて議論を交え、交流を深めた。 
今回の参加者名簿
▲ページトップへ戻る