平成24年度 第21回定例会
「浄法寺ラウンド」

TOP
定例会
連携ウオッチング
リンク集
参考資料
開催日:平成24年12月22日(土)
場所:浄法寺町「天台の湯」
参加者名簿  
【講話】
 二戸市浄法寺総合支所
      うるし振興室 中村 景子氏


静岡出身の講師は、東北大学の学部生時代に近世遺跡から出土した漆器に感動し、大学院で出土漆器の保存を専攻して、平成22年度に漆生産日本一の二戸市に就職、今年度から待望の現担当に配属になった。漆器の現状と二戸市のうるし振興活動をお話いただきました。

二戸市浄法寺町は漆の生産量が日本一。日本で生産されている漆の70%強が浄法寺産。浄法寺漆は、日光二社一寺、金閣寺など多くの文化財の修復に使用され、中尊寺金色堂新ご本尊の建立にも使用されている。

しかし、日本で使われている漆の94%が中国産。中国産に比べ、値段が高く、適正な価格で浄法寺漆が売れない。漆掻き職人28人のうち7割が後期高齢者といわれる年齢。後継者が不足している。漆の採取は、一本の木から1年で全ての漆を採りつくし、木を切り倒す「殺し掻き法」で行い、一本の木からコップ一杯分の漆を採る。一般に漆を採取するウルシノキは樹齢15〜20年で、将来漆の採取が困難な状況になることが懸念される。

そこで二戸市では平成22年度から「うるしの里づくり推進事業」として、まずは漆掻き新規就業者支援制度、ウルシノキの植樹補助金制度や浄法寺漆認証制度を創設した。また、漆器に親しみを持ってもらうため、 首都圏での漆器展示販売会を行ったり、地元で「めっせうるしさま」を開催したり、赤ちゃんへの漆器貸出を行ったりしている。

中村氏講話資料(PDF)
【意見・質疑応答:抜粋】
高畠さん
「漆塗りのさじは“お食い初め”のプレゼントとして売り出すことが良いと思う。」

佐々木会長「私も、1本6千円という漆塗りのさじ価格は、“お食い初め”のプレゼント向けと思う」

西堀前会長「私の使う漆器は7か月まって塗り直ししてもらった。記念の品として売り出すのがよいと思う。」

菊地公英さん「漆掻(うるしか)きの道具をつくる人の一人に青森県田子町の中畑文利さんを知っている。小さくて複雑なカタチをした漆カンナは他の道具に比べつくるのが難しいと聞く。中畑さんも70歳以上。人材の確保はどうしているのか。」
講師 中村さん「確かに漆掻き道具をつくる職人の高齢化は進んでいて人材の確保は急務。国選定保存技術として、文化庁の予算で漆掻き道具をつくる弟子をとることができた。」

佐々木淳さん「漆器はその価格から考えて庶民からは少々縁遠い物。ターゲットは“高級品”として、海外にどう売るかがポイントになるのではないか。」
講師 中村さん「大使館へ晩餐会に使ってもらえるように売り込みをかけたい。」

高畠さん「岩手県のアンテナショップは銀座にあり、歌舞伎とのコラボで“日本”を売り込める立地にある。」
【情報交換】
東日本大震災からの復旧復興の状況、課題
 岩手県復興局企画課
       計画担当課長 小野 博氏


岩手県東日本大震災津波復興計画は、平成23年度から30年度までの8年間の計画とし、3つ原則(1)「安全」の確保、(2)「暮らし」の再建(3) 「なりわい」の再生 の取り組み状況と今後について情報提供いただきました。

現状として、
(1)「安全」の確保について、11月末、がれき処理の進捗は24%。平成26年3月完了を目指す。区画整理事業は8割の事業化が図られた。

(2)「暮らし」の再建について、建設予定の災害公営住宅約5,600戸の35%が用地測量を発注した。10月末、沿岸地域の被災医療機関の9割で診療中。11月末、公立学校の54.7%が復旧した。

(3) 「なりわい」の再生について、8月の「被災事業所復興状況調査」の結果、78%の事業者が事業を再開していた。10月末の漁船の整備率は7割強、養殖施設は6割強。県内の魚市場はすべて再開し、水揚量は平年の約6割、冷蔵能力は被災前の約6割まで回復した。 復興事業が本格化するにつれ、課題も浮き彫りになってきたが、長期的な視点を持って「三陸創造プロジェクト」を展開している。

【意見・質疑応答:抜粋】
西堀さん「被災者住宅再建支援事業対象者への補助限度額:複数世帯100万円、単数世帯75万円では少なすぎないか。」
講師 小野さん「国からの財源でもあり、財産形成にあたるものの限度額を上げることはなかなか難しい。」

重信さん(奈良県から岩手県に派遣)「復旧・復興のエンドポイントはどこなのか。行政は、回数を重ねて話を聴けば、被災者の気持ちは収まるのだろうか。行政の限界を感じる。」
講師 小野さん「それぞれの段階で人の気持ちは変わっていく。計画も進むにつれて内容を現状にあわせて変えていくべきものと考える。」

大森さん(岩手県二戸市から岩手県大槌町に派遣)「私は保育所関係の業務をしている。子どもたちの情緒は不安定だったが、最近になってやっとおじいちゃん、おばあちゃんの話をし始めた。寄り添いながら一緒にやって行きたい。」
【懇親会】
 出席者が漆器で酒を酌み交わしながら交流を深めました。
 日計保育園(青森県八戸市)の保育士さん達からサプライズプレゼントがありました。
 彼らは園児が自然体験をさせてもらっている恩返しとして、天台の湯でボランティア的に宿泊客にプレゼントを配ったとのことで、翌日の朝食会場で意気投合しアドレス交換しました。 
今回の参加者名簿
▲ページトップへ戻る