平成27年度 第26回定例会
「奥津軽いまべつラウンド」

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開催日:平成27年9月12日(土)
場所:青森県今別町「今別町公民館」、「海峡の家・ほろづき」
参加者名簿  

 このたびの定例会は、北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」開業をメインテーマに、
〇北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」開業を半年後に控えた今、参加者へ同駅及び今別町の周知拡大を図ること。
〇めぐみネット初の試みとして、域学連携に取り組む「若者」に語ってもらうことにより、行政とは違った視点を共有すること。
〇新幹線新駅開業を通じて、交通、観光、地域振興等について、参加者全員で一緒に考えること。
を目的に、青森県今別町で開催された。
 宿泊場所は、廃校になった中学校校舎を町が宿泊場所に改修した「海峡の家 ほろづき」。このたび新幹線開業に向け、天然岩石を活用し人工温泉が整備された。普段は宿泊のみで食事は取れないそうだが、今回は特別に地域の婦人部の方々に料理を作っていただき、ここで懇親会を開いた。翌朝、その婦人部の方々と撮った記念写真。
【基調講演】
「奥津軽いまべつ駅開業で新たなスタートを切る今別町」、
 今別町長 阿部 義治 氏

 平成28年3月に「奥津軽いまべつ駅」の開業を控える今別町の阿部町長からお話を伺った。

 今別町は人口が2900人余で、新幹線駅がある自治体の中で全国最小である。昭和30年に昭和の大合併で今別村と一本木村が合併した当時は人口が8000人だったというから、著しく過疎化が進んだ町だということができる。今別町の高齢化率は48.4%で10年連続で県内一が続いている。100歳以上のお年寄りも2人いるそうで、「高齢者が元気に暮らせる環境をいかにして整えるか」という観点から、お年寄り安心サポート事業や、ふれあいコミュニティーの"たまり場”づくりなどの事業を行っている。
 一方で、雇用者増のため基幹産業の振興策として、"あわび”や"なまこ”などの育てる漁業を推進し、漁獲の安定を図っているほか、"特産いまべつ牛”の普及に取り組んでいる。さらに地元農産物等を利用した加工品の開発促進のため工場を建設した。
 さらに、若者定着のためのプランを策定し、保育料の無料化や学校給食費の5割補助などの負担軽減を図っているほか、町営住宅を解体し若者住宅を建設した。また、郷土芸能の「今別町の荒馬」行事の継承に努めている。荒馬行事で結婚した若者も多いそうだ。
 今別町は昭和37年からフェンシングに力を入れ始め、今別高校(現:青森北高校今別校舎)では青森県で初めてフェンシング部が創設されたという。阿部町長ご自身も高校からフェンシングを始め、現在でも競技と深い繋がりを持っており、フェンシングを通じた町の活性化を考えていきたいと話されていた。いま、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致に取り組んでおり、モンゴルのフェンシングチームの誘致が決まったそうだ。
 行財政改革にも取り組み、役場職員を126人から61人に削減し、人件費を9億円から5億円に削減したほか、省エネ事業として、LED街路灯を導入し明るい町並みづくりに取り組んでいる。

 平成28年3月に北海道新幹線の「奥津軽いまべつ駅」が今別町に誕生する。 阿部町長は、町長就任前の役場職員だった頃から新幹線事業を担当しており、通算して14年間、新幹線事業と向き合ってきたという。そういった事情もあり、阿部町長の言葉からは、3月の開業に対する特別な思いが感じられた。特に、新駅建築に当たって、昇降塔のエレベーターの増設やプラットホーム屋根の延長設置など、利用する住民の立場にたって国やJRと粘り強く交渉して実現させる町長の強い思いが感じられる講話だった。
【講演】
「平成28年3月 北海道新幹線奥津軽いまべつ駅が今別町に誕生します!」
今別町参事(新幹線対策室長) 小野 成治 氏


 次に、県から今別町へ派遣されている新幹線対策室長から、新幹線開業に向けた今別町の対応について説明をしていただいた。
 小野室長は、新幹線開業に向けて、駅舎建設などのハード事業のほか、町の魅力づくりや二次交通の整備、開業イベントも担当しており、まさに新幹線事業のキーマンである。

 青森県内4番目となる新幹線駅「奥津軽いまべつ駅」が来年3月に開業する。新幹線駅がある自治体として全国で最も人口が少ない。新駅誕生に合わせ、町として屋内駐車場など周辺施設を3億6千万円かけて整備するとともに、奥津軽いまべつ駅の開業を地域活性化の起爆剤とするため、平成24年12月にアクションプランを策定し、対策に取り組んでいる。

1 今別の魅力づくり
 観光施設の整備・充実に関しては、新駅に隣接する「道の駅いまべつ」の面積を1.5倍に拡張し、観光案内所、レストラン、特産品を販売する物販施設を併合した施設に改修し、平成27年4月24日にリニューアル・オープンした。
 全国の撮り鉄集客のため、青函トンネル入口前の公園に撮影台等を整備したほか、廃校の校舎を活用した宿泊施設「海峡の家ほろづき」に人工温泉設備を設置した。
 歴史や文化を活かした地域づくりとして、今別町の伝統芸能である「荒馬(あらま)」のPR用DVDを作成したほか、荒馬をテーマとした恋愛小説「青春の津軽海峡」を阿部誠也氏の執筆により出版。
 今別の食の魅力向上の取組として、今別町の地域資源である「いまべつ牛」のブランド化と販売促進を目指し、道の駅いまべつのレストランでステーキを提供したほか、今別町の特産品・土産品の開発を行う団体に対し補助を行った。

2 町民の意識醸成・人材育成
 まち歩きを行うための観光ガイドの育成やまち歩きマップの作成、荒馬マラソンの開催、町民向けに奥津軽いまべつ駅の見学会を実施

3 開業キャンペーン
 町長が札幌ドームで始球式を行うなど、首都圏、仙台、札幌 函館等におけるJR北海道のキャンペーン・イベントに参加した。さらに、開業500日前イベントなど記念イベントを開催

4 開業記念事業
 奥津軽いまべつ駅の利用促進を図るため、町民が奥津軽いまべつ駅から新幹線を利用した場合、1人1回に限り2000円を助成するほか、今別町の高校生が奥津軽いまべつ駅を利用して通学する場合、通学定期代金の3分の1を助成することとしている。

 一方、 奥津軽いまべつ駅の周辺地域には、津軽海峡冬景色で有名な龍飛崎、ストーブ列車の津軽鉄道、五所川原市の立佞武多の館、シジミが名物の十三湖、太宰治の生家「斜陽館」など魅力的なスポットが多数存在する。そのような施設を周遊する観光ルートの開発が重要であり、町だけでなく、周辺自治体も巻き込んだ「奥津軽いまべつ駅− 津軽半島周遊−新青森駅」という津軽半島全体をフィールドとした観光プランにも力を入れたいと話されていた。
【事例発表】
「地方創生児が青森を元気にするプロジェクト」
青森公立大学 学生有志団体チーム
「A-project」
齋藤 達矢 氏、阿部 元樹 氏、三浦 稜真 氏


 今回はめぐみネット初の試みとして、学生団体に登場してもらい、自身の活動内容を発表してもらった。

 青森公立大学の学生7人が、ゼミで学んだ知識を実践に活かしたいと思い集結した、チーム「A−project」。「A−project」が活動の場に選んだのが、県内で4番目の新幹線駅ができる今別町だった。今別町は、増田寛也氏の日本創生会議で若年女性人口の減少率が全国3位と指摘された町である。そんな若者が少なく人口減少に悩む今別町に新たに新幹線が停車する。これを機に、将来の青森の担い手である自分たち若者が様々なアクションを起こそうと考えた。彼らは、自らを「地方創生児」と呼ぶ。それは、青森の観光資源を活かして、住んでよし、訪れてよし、また帰ってきたくなる青森を作る若者のことだ。
 彼らが最初に行ったのが、課題掘り起こしのためのフィールドワーク。青森北高校今別校舎でのアンケート調査や今別町の人たちとの対談、観光施設等の実地調査などを通して、今別町の良さの再認識の必要性と町の案内看板の作成を思い立つ。
 そこで始めたのが、「流木看板アートキャンプIN今別」である。今年7月に、高校生や今別町民など参加者42人により「荒馬体験」や「案内看板作り」、「いのしし肉を使ったバーベキュー」を行い、高校生や町民に対し町の良さを考える場を提供し、案内看板の作成ができた。
 さらに、全国の学生やOBとの交流を続けている「荒馬」行事に着目し、荒馬をより広く知ってもらうことこそが、新幹線開業の後押しにもつながるのではないかと考え、今後は青森公立大学祭で荒馬をPRするなど、今別町の伝統行事である荒馬をPRすることによって、青森県内はもとより全国に今別を発信しようと考えている。
 取組みを考える際に、現場の声をしっかりと聞き、それを検討材料にすることは重要であるが、実務上なかなか簡単にできることではない。学生のうちから、そういった行動を起こせるA−project の今後の活動を楽しみに思う。
 
懇親会は、会場を宿泊場所のの「海峡の家ほろづき」に移して開催。地元食材と3県持ち寄りの地酒を堪能した。 
 
 翌日は、JR北海道のご協力により開業前の「奥津軽いまべつ駅」と、青函トンネル入口広場を見学した。

 石沢透奥津軽いまべつ開業準備駅長のご案内により、まだ、自動改札機も運賃表もない真新し駅舎を見学した。標準軌(新幹線)と狭軌(在来線)が混在する特殊な駅構造を連絡通路から見た。 JR北海道としては初めての新幹線であるため、石沢駅長をはじめとする開業準備駅員は、東北新幹線新青森駅や八戸駅に派遣され実地で研修、その時の経験を生かし、駅舎内・ホームは、お客さんが極力寒さを感じないような設計に変えてもらったとのこと。3月26日の開業日を無事迎えてほしいと思った。

 青函トンネル入口広場では、ちょうど、特急スーパー白鳥が通過する時刻であったが、ここを北海道新幹線「はやぶさ」が最高時速260Kmで駆け抜ける姿を早く見たいと思った。 北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」の開業がますます楽しみとなった。
今回の参加者名簿
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