【講話2】 「地域福祉の可能性」
藤里町社会福祉協議会
会長 菊池 まゆみ 氏
続いて、ひきこもりの若者の活動拠点として「こみっと」を立ち上げ、ひきこもりの若者支援を行って、全国的に注目を浴びている藤里町社会福祉協議会の菊池会長から話を伺いました。
福祉は、対象者を明確にする必要があったから
「ひきこもり者及び長期不就労者及び在宅障害者等支援事業」という事業名になったが、この「等」に込められた思いがすべてである。
原点は、一人の不幸も見逃さない運動として行ったネットワーク活動事業である。しかしながら、福祉の対象者を明確にしなければならないという弊害があった。そこで、クビになる前になんでもしてやろうと思い、地域福祉トータルケア推進事業へ転換して、「福祉による地域活性化」ではなく「福祉でまちづくり」を目指した。
福祉ニーズには、行政等によるフォーマルサポートだけではなく、福祉対象者をも含む住民全員によるインフォーマルサポートとの両面から支援を行う。支援されるだけではなく、支援する側にもなる。参画の仕方はいろいろある。みんなでやればいろんなことができるという思いがこの事業につながった。
一度駄目でも、何回でもチャレンジできる仕組みが欲しかった。制度と制度の間に落ちてしまった人が、そこから飛べる翼事業といった国の役人がいた。伴奏型支援。こみっとはそんな思いから生まれた事業である。でも国の事業は、生活困窮者自立支援なんて名前になってしまった。これも、予算獲得の苦労なんでしょうね。
ずっと引きこもっている。この「ずっと」の尺度は人によって違う。所属するものがない人への支援が必要。よく言われる「地方創生」という言葉のイメージは、100%頑張れる人をイメージした言葉である。なんらかの支援が必要な人には、「地方創生」は遠く感じる。そこで、福祉の立場からの「地方創生」を考え、町民すべてが生涯現役を目指せるシステムづくりを急ピッチで始めている。過疎化・高齢化が進む藤里町を支える「人づくり事業」、町民全員参加の主産業をつくる「仕事づくり事業」、若者が住みやすい町をつくる「若者支援事業」。これらの事業を、分野の垣根を越えて、町民全てが生涯現役を目指せるシステムづくり事業として、総務省の補助金の交付を受けて実施することとしている。
これらを、町の社会福祉協議会が主体となって行うという。藤里町社会福祉協議会は、とてつもなくすごい組織なのです。
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