平成28年度 第29回定例会
「秋田ラウンド」

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開催日:平成28年12月17日(土)〜18日(日)
場所:秋田県秋田市「ユーランドホテル八橋」
参加者名簿  
 今回は、秋田県五城目町で「シェアビレッジプロジェクト」を展開している3人の中心メンバーに話を聞いた。彼らは、住む人がなく、茅葺の維持費等の課題から解体が検討されていた五城目町町村(まちむら)集落にある古民家を守るため、古民家を「村」に見立てて、多くの人で1つの家を支える仕組みを作った。「年貢」と呼ぶ年会費で「村民」になり、都市部定期開催飲み会「寄合」、村祭り「一揆」、「里帰」、「開墾といった仕掛けで村を盛り上げている。そして、全国の古民家を村に変えていきながら、「100万人の村」を目指している。
【講話】 株式会社kedama
        代表 武田 昌大 氏


 シェアビレッジ町村の村長、武田さんはあいにく欠席。代わりに本人からビデオメッセージを届けてもらった。
 武田さんは、北秋田市出身。若い頃はとにかく地元が嫌いで東京にあこがれていたという。大学卒業後は、上京して働きながら大学院に通いゲーム制作の技術と知識を深め、都内の大手ゲーム会社に就職した。
 ゲーム漬けの毎日を送っていた彼に転機が訪れたのは、年末年始に帰省して見た故郷の景色。なぜかそれまでとは違って見えたそうだ。人通りが少なく、多くの店がシャッターを下ろし、なじみの店も閉店していた。「このままでは街が消えてしまう」。廃れゆく古里の現実が深く胸に突き刺さり、焦燥感に苛まれる日々。そんな時、新宿で見た秋田県のPRイベントで県内の若手農家らが「秋田、最高!」と叫んで必死に商品を売り込んでいる姿に衝撃を受けた。自分も古里のために何かしたい、そんな熱い思いが彼を突き動かした。
 その後、北秋田市と八峰町の若手農家ら4人がコメを生産、出荷するグループ「トラ男」を立ち上げた。「トラクターに乗る男前」の略だという。そして、コメ販売会社「kedama(けだま)」を設立し、「トラ男」が作るあきたこまちをインターネットで全国に販売。消費者と「顔の見える関係」を重視し、きりたんぽ作り体験会やコメのPRイベントも首都圏で毎月のように開催。稲刈り体験ツアーや、フェイスブック、ツイッターを使った情報発信にも熱心に取り組んでいる。
 そんな時、五城目町に残る築133年の茅葺屋根の古民家が、管理する人もなく解体が検討されているという話を聞きつける。五城目町でベンチャー企業を経営する丑田俊輔さん、大潟村の農家、松橋拓郎さんらと「日本の原風景を残したい」と意気投合し、早速行動を開始する。それが、シェアビレッジという発想だ。古民家を村に見立てて、年貢と呼ぶ年会費3000円を払えば誰でも村民になれ、茅葺屋根などの維持・運営費に使う。年貢はインターネット上で出資を募るクラウドファンディングの手法を用いた。平成27年2月に募集を開始し、1か月半で目標を上回る500万円以上を集め、建物を補修して5月に「開村」を迎えた。3000円の年貢を納めて村民になれば、1泊3000円で古民家に宿泊でき、田舎ライフを満喫できる。帰省する田舎を持たない人が、第2の故郷を持ちたいと考えて応募する人も多く、現在村民は1800人近くになる。現地に足を運びにくい村民向けに都市部で寄合と呼ぶ交流会も定期的に開いている。こうした取組が評価され、グッドデザイン賞の特別賞にも選ばれた。今後は、この取組を全国各地に展開したいそうだ。すでに、香川県で第2のシェアビレッジの取組が始まっている。
【講話】 はばたく株式会社
        代表取締役 丑田 俊輔 氏


 シェアビレッジ町村の家主、丑田俊輔さんは、東京育ちの32歳。大学時代、東京都千代田区でまちづくり会社の設立に参画し、千代田区の公共施設をベンチャー企業やNPOのシェアオフィス・ビジネスの拠点として再生。大学卒業後、日本IBMでコンサルタントとしてグローバル戦略を担当しながら、バックパックで世界各国を旅した。そこで、貧しい東南アジアの農村に住む人たちが、とてもイマジネーション(想像力)に溢れ、目の前の暮らしを豊かにし、地域の課題を楽しみながら解決していく姿に驚いたという。その後、全国の高校・大学向けに海外修学旅行や英語学習・起業家教育を提供するハバタク(株)を設立。
 千代田区と姉妹都市を結ぶ五城目町が、丑田さんが学生時代に参画していた千代田区のシェアオフィスに入居してきたことが縁で、五城目町に移住し、廃校の小学校を活用して整備されたインキュベーション・センター(地域活性化支援センター)に入居した。現在は、五城目町をベースにして、田舎発の起業家=土着ベンチャー(ドチャベン)創出や、様々な教育活動を進めている。
 そのオフィスの近くにあったのが、築133年の茅葺古民家だった。この古民家を再生させたい思いから武田さんや松橋さんと「シェアビレッジ・プロジェクト」を立ち上げた。このプロジェクトのポイントは、「村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる」という考えのもと、全国から村民を募って自分たちの村をつくってしまおうということにある。古民家を軸としたネットワーク型の村づくりが目指す姿だ。都市の人々が村民になることで、地域の人や村民同士との間に生まれる新しいコミュニティ、都会の人が田舎をシェアする、田舎の人が都会をシェアする、その相互交流が新たなご縁を生む、という発想がユニークである。
 また、田舎発の起業家支援として、ドチャベン・アクセラレーター・プログラムに取り組んでいる。「セミナー・現地プログラム」、「ビジネスプラン・コンテスト」、選抜されたチームが参加する「起業家育成プログラム」の3部構成で、田舎発の事業創出を全力で支援するプログラムである。
 さらに、想いを起点に社会的インパクトを生み出す人と事業を、お米を育てるようにじっくりと丁寧に支援する「おこめつ部 〜農耕型スタートアップ・プロジェクト」も推進している。いきなり起業するとまではいかないが、ビジネスの力をつけながら自分の想いを少しずつ形にしていくスタイル。ドチャベンが狩猟型だとすれば、おこめつ部は農耕型のビジネス創出のための新しい部活動である。 
【講話】 松橋ファーム 松橋 拓郎 氏

 続いて、シェアビレッジ町村、大名の松橋拓郎さんは大潟村出身の30歳。大潟村松橋ファームの3代目。8月31日の「野菜の日」に生まれたことが誇りだという。
 松橋さんが、シェアビレッジに加わったのは、茅葺古民家に村民を宿泊させるため、農家である松橋さんの力を借りて農家民宿の許可を得る必要があったことが大きかったそうだ。もちろん、武田さんや臼田さんとのつながりが根底にあるのは当然のことだが。
 松橋さんは、もともと教員志望で、大学も教育学部に進学したが、在学中に農業に目覚めて大潟村に戻ったそうだ。
 松橋ファームが目指す農業は、「農業に主体性を持ったコミュニティの形成」で、農家と販売家を中心として食べる人(消費者)とつながりを持つこと、さらに食べる人同士がつながりを持つことだそうだ。
 農業に主体性を持つとは何か?。例えば、自分が知っている農家のものを食べる。自分が食べるものの過程を知っている。自分が食べるものにかかわっている。すなわち、農業が「自分事」になっているコミュニティということ。それを簡単にいうと、酒米が種から日本酒になるまでの過程を通して、皆がつながるプロジェクトだということに気付いた。自分の関わったお酒だという想いを皆で共有したい、そこから生まれたのが、農家がつくる日本酒プロジェクトである。
 このプロジェクトは、酒米が生産され日本酒になる過程の体験、「私たちの酒米」の生育状況の発信、自分たちの日本酒に名前をつける、交流会の開催、自分たちの日本酒を飲むためのお猪口作り、という体験型農業から日本酒作りに至る一連の流れである。
 この流れを、秋田だけではなく、他の地域にも広げていきたい。まずは、お隣岩手県の雫石町から始まっている。 
【情報提供】 ミュージカル新リキノスケ走る
     株式会社わらび座 藤田 達 氏


 今回のめぐみネットでは、翌日の日曜日、エリアなかいちで上演しているわらび座の「新リキノスケ走る」を鑑賞するというメニューも組み込まれている。
 そこで、わらび座の藤田さん(今回初登場)から、ミュージカルのPRをしてもらった。
 集合写真のほかに、全員が秋田犬を表紙に使った、秋田県の観光パンフレットを顔の前に掲げ、写真を撮って、SNSに掲載するというミッション。早速、めぐみネットの皆さんにもやってもらいました。
今回も各県から美味しい日本酒が集まりました。 北東北ネットワークの賢木さんの乾杯の音頭で懇親会が始まりました。
今回の参加者名簿
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