平成29年度 第30回定例会
「紫波町ラウンド」

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開催日:平成29年7月8日(土)〜9日(日)
場所:岩手県紫波町「ラ・フランス温泉館ホテル湯楽々」
参加者名簿  
 岩手県紫波町で開催された、記念すべき第30回定例会。紫波町といえばPPPの成功事例の「オガール・プロジェクト」で全国から視察の絶えないところだが、もちろん今回のテーマは、その「オガール・プロジェクト」。参加者も多く素晴らしい内容の会合でした。
【講演】 「地方を元気に」
 株式会社東北銀行 取締役会長 淺沼 新 氏

 
 今は3万人の町に年間100万人の来客があるオガールだが、銀行内では、初め、このプロジェクトに融資することには反対意見ばかりだった。
 受けた融資は返さなければならない。この緊張感が成功の秘訣である。地元の事情に詳しい地方銀行が地域への想いを持ちつつチェックを行っている。
 紫波町は盛岡市と花巻市に隣接し、半径50キロ圏内の人口が50万人という立地条件の良さも幸いした。
紫波町の駅前には、住宅供給公社が抱える遊休地があった。ここに図書館を整備しようというのが、そもそもの始まり。小さな町には予算がないので、民間の資金を活用しようと考える。大きくて予算が十分あるところは、PPPのような公民連携には乗ってこない。岡崎建設の社長(岡崎正信氏)の既成概念にとらわれない発想が良かった。残念なことに、オガールに続く地域が出てこない。

 東北銀行では、アグリビジネスに力を入れている。周りの銀行の頭取から「銀行が農業に手を出してどうするんだ」と言われる。食は人間の基本であり、食料自給率が低いのは問題。
 地域から学校をなくすと、格差が生じてくる。子供が大学に行けない。地方に、夜間大学、夜間学校を作ってはどうか。北東北から人が減らない工夫を是非考えてもらいたい。
 働き方改革、残業をなくす取組も必要。地方の中小企業を元気にする方策を是非考えてもらいたい。

【話題提供】 「公民連携手法を活用した地域再生オガールプロジェクト」
 紫波町企画総務部企画課長 高橋 堅 氏

 なぜ、PPP(Public Private Partnership)なのか。それは、駅前に10.7haの未利用町有地を抱え、役場庁舎更新や図書館新設という公共施設整備を財政的制約のもとで進めなければならなかったこと。その解決の糸口として、藤原前町長の強いリーダーシップ、岡崎正信氏というPPPエージェントの存在、PFI事業により公共施設整備を行ってきた町の経験、東洋大学大学院との協定があったことがあげられる。
 オガールプロジェクトの合意形成の場として、紫波町PPP推進協議会を設置。そこで、市民の意向調査や市民参画を促し、住民との意見交換会を2年間で100回実施した。また、40社への民間意向調査、市場調査も実施した。それぞれの主体は自由ながらも、つながる町をつくろうと考えた。
 オガールプロジェクトのアーバンデザインの全体像を議論する場として、ランドスケープ、グラフィックデザイン、都市デザイン、マーケティングの専門家による「デザイン会議」を設け、ナレッジの結合がはかられた。これによって、美しい街並みと活気があり豊かで洗練された環境が提供された。
 現在、オガール地区には、PPPの手法により整備した施設として、岩手県フットボールセンター、官民複合施設オガールプラザ、民間複合施設オガールベース、紫波町新庁舎、エネルギーステーション、官民複合施設オガールセンター、民設民営オガール保育園があり、さらに町が直接分譲する住宅地としてオガールタウンが形成されている。
 オガールプロジェクトの取組によって、定住人口400人、交流人口940,000人、雇用者数250人が生まれ、地域産業のの振興にもつながった。さらに、オガールエリアを起点として、オガールと町内をつなぐ民間主導のまちづくりに発展している。
質疑応答
〇岩間氏:なぜ民間として成功したのか。
  淺沼氏:緊張感が必要。融資を受けたら返さなければならない。

〇菊地氏:北東北の中で地域の伸びる芽は。
  淺沼氏:北東北の強みはアグリビジネス。長野高原野菜は、1農家1千万円売り上げている。外国に出荷するには、まとまった量が必要。北東北3県で作っている同じものをまとめるのは良い。西部開発農産(北上市)は、とうぎんアグリビジネスクラブなどを通じて、同業ネットワーク化、大規模化を進め、黒字になった。

〇菊地氏:人を伸ばすとき、伸びる時は。
  淺沼氏:肩書がなくても通じる人間になるよう心掛けると伸びていく。疑問を感じて仕事をしてほしい。上司とぶつかっても疑問を改善につなげてほしい。

〇中村氏:復興事業について
  淺沼氏:復興事業は終わりにかかっているが、ネガティブなことはあえて言わない方がよい。鉄道は観光に良い。三陸鉄道はそこまで行くのが大変なので、ここを改善できると良い。パワーのあるシュッシュッポッポがいいかもしれない。

〇吉田氏:公民連携、勉強と仕事の境目について
  高橋氏:公民連携は、一緒に付き合っている民間人の熱さが伝わって自分たちも熱くなってくる。いつの間にか境目がなくなる。
  淺沼氏:上司がそれも一つの仕事と思うことが大事。やってみたい、という気持ちが必要。区切りはつけない。
 紫波町図書館 内城拓 氏

 紫波町図書館は、オガールプロジェクトの中核施設にして、年20万人の来館者を超えるLibrary of the Year 2016受賞図書館。
 入ってすぐに広範囲な子どもコーナーがあり、奥にも大きな農業支援コーナーがあるが、更に農業支援コーナーは出張図書館も実施している。子どもを大事にするという意思を表し、地域の基幹産業である農業を図書館としても支えていく。
 BGMを流し、音楽コーナーや飲食ゾーンがあり、ビール持ち込みの夜のトークイベントも行っている。
 
オガールエリア内の各施設と芝生が広がるオガール広場。市民が自由にバーベキューなどを楽しんでいる。
今回の参加者名簿
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