令和元年度 第34回定例会
「おがラウンド」

TOP
定例会
連携ウオッチング
リンク集
参考資料
開催日:令和元年7月6日(土)〜7日(日)
場所:秋田県男鹿市「男鹿温泉郷結いの宿別邸つばき」
参加者名簿  

 令和初のめぐみネットワーク定例会は、秋田県男鹿温泉郷の別邸つばきで行われた。今回は、人口減少著しい男鹿で、熱心に地域活性化に取り組んでいる3人の方を講師をお迎えした。どなたも強烈な個性と強いリーダーシップをお持ちの方で、それぞれの方法で男鹿に活力を与えてくれている。これからの男鹿が楽しみである。
「男鹿の地域活性化について」
  地域資源の会秋田代表 加藤 真一 氏

 加藤さんは、神奈川県藤沢市で小学校教員を長年勤められたあと、定年退職後に故郷の男鹿市にUターンした。35年ぶりに見た秋田・男鹿の風景は、少子高齢化の全国トップを走る秋田県、さらにその中でトップを走る男鹿だった。
 そこで地域おこしを行うため、男鹿東海岸協議会を3年前に立ち上げた。男鹿西海岸のゴツゴツとした岩肌の海岸と違い、北浦から浜間口にかけては砂浜が広がる穏やかな海岸線が続く。ここは男鹿の湘南だと気づいて、30年間居た藤沢の人脈と秋田をつなげるプロジェクトを考えた。
 一つは藤沢市の辻堂駅の発車メロディーに「浜辺の歌」を採用させたこと。「浜辺の歌」は、作曲家が秋田県北秋田市出身の成田為三、作詞家が藤沢市の林古径であるが、その縁で秋田と藤沢をつなぎ、辻堂駅の発車メロディーとして採用させた。
 男鹿の地域活性化を考えるとき、基軸となるのが「食」と「観光」である。それは、@その地域の「強み」を活かすことであり、A焦らず出来ることから楽しみながらやることが大事。さらには、Bあくまで主役は地域住民であり、僕らよそ者はサポート役に徹する。そしてC「都会の方がいい」という幻想は捨てることだという。
 最初に、江ノ電の藤沢駅で食と観光の秋田フェアを開催した。この時、ナマハゲと秋田こまちを連れて行った。NHKの取材の効果もあって江ノ電の電話が鳴りやまなかったほどの大好評で、その後毎年開催して今年が六回目の開催となった。
 次に、四つの「そば」をキーワードにして地域活性化に取り組んだ。一つ目は「海のそば」、二つ目は「川のそば」、三つ目は「山のそば」、そして四つ目は「蕎麦のそば」。何事もストーリー性が大事である。
 さらに、皆さんが明日訪れるアジサイ寺、雲昌寺について。この寺の建立は約400年前のこと。ここの住職である古仲家は平泉文化を築いた藤原清衡の代官として北浦に入り、一帯を治めたと伝えられている。八望台近くの「相馬館」跡は、古仲家の支配拠点だった。古仲家24代目・清躬が、1602年秋田入りする佐竹義宜公を院内峠まで出迎えに行き、脇差を拝領。清躬が先祖の居城跡の土地と材木を提供して建てられたのが雲昌寺だそうだ。今は、古仲宗雲副住職が植えた1本のアジサイが1200株まで増え、年間4万人以上の観光客を集める男鹿を代表する観光地として成長した。
 最後に、去年から男鹿のクルーズ船として、男鹿観光をやっている。オガーレと波止場をつないで、海から眺めた男鹿遊覧観光をやろうとして、今年力を入れている。是非、皆さんも海から眺める男鹿も堪能していただきたい。

【質疑応答】
金子:教育で地方自治についてどのようにアプローチしたか。
加藤:学校で教員をやっているときは「お国なまりは最後の地方自治」と生徒に言っていた。
    秋田弁の「うたて」は、英語の「melancholy」の意だが、一言で表す日本語はない。
    このような奥の深い秋田弁を恥ずかしがらずに、大阪人のように堂々と話すことが地方の誇り、     地方自治につながる。
佐藤尚志:江ノ電と秋田のコラボにあわせて、三鉄とのコラボもよろしくお願いする。
「「道の駅おが」について」
  道の駅おが 駅長  山ア 宏幸 氏


 「道の駅おが」は去年(平成30年)7月1日にオープンした。平成30年度の売り上げは、3億1300万円ほどあった。来場してくれたお客様は42万人ほど。私どもの最終的な目標は、県内で一番の売り上げの道の駅になること、そのあとは東北で一番の道の駅を目指すという高い目標を掲げてスタッフに仕事を課している。どちらかというと秋田県人は、「甘え」と「めんどくさい」と、「言い訳」が得意なので、スタッフには「うどん屋のかま」になるなと常に言っている。その意味は、かまは湯ばかりだから、「言うばかり」になるなということ。
 道の駅おがのメインは魚だが、これまで秋田ではその日水揚げされた魚がその日のうちに売り出されず市場に出るのは翌日になっていた。これを、私どもでは、その日水揚げされた魚をその日のうちに売ることにしており、秋田の中でも鮮度は抜群だと自負している。おかげさまで、由利本荘市や北秋田市など遠方の料亭さんが朝買いにくるという流れになっていて、優良な顧客をつかむようになってきた。
 一方、農産物は厳しい状況が続いている。秋田の農家は米中心で野菜を作らない、冬場になると商品がなくなる、農協も金融ばかりやっていて営農をやらないということで、団体も農家も消費者の方を向いていないというのが現状である。
 次に加工品については、男鹿で作ったものを売るようにしていて、一番の売れ筋は「おがどら」。その他、生産が間に合わなくなって工場を増設したところも出てきて、経済的な効果も出ている。それでも、男鹿は加工業者が少ないので、自分たちで加工場を作ることにした。男鹿の漁師の人たちも、これまで漁協に買ってもらえなかった魚を加工することで売れる商品になるということを知ってもらいたいと考えている。
 道の駅おが2年目は、ホップ、ステップのステップの年。1年目で課題を見つけ、2年目で課題解決の取組を行う。そして3年目にジャンプ、飛躍の年にする。課題は、高齢化による担い手確保、農水産物の加工品が少なく、地元の加工業者が少ないということ。しかしながら、一番の問題は、農協や漁協、商工会、観光協会の4団体が自分のことしか考えていなくて、消費者や事業者のことを全く考えていないこと。この4団体との協力体制を確立することが最大の課題になっている。
 道の駅おがを利用する登録者数(平成31年3月末)は、水産品37件、農産品48件、加工品84件、工芸品13件、合計182件で148名の登録となっている。この人たちが年間通してきちんと物が出るようになれば6億円くらいの売り上げになると見込んでいる。6億円の売り上げが達成できれば、県内では一番の道の駅になれる。
 新しい事業として、秋田犬ふれあい処をオープンした。それから、石板焼ハウス33(さんさん)という、バーベキューコーナーをオープンした。ここで、道の駅で買った食材を、その場で焼いて食べられるという場所である。道の駅の食材だけでは足りないので、近くのスーパーから買ってきた食材を持ち込んでバーベキューしてもらってもかまわないということにしている。

【質疑応答】
木村:今後オガーレは、どのように集客していくか。
山ア:下手な鉄砲数打って、当たったものを繰り返していく。
高橋:冬の集客は。
山ア:夏の45%。道の駅6駅グループマーケットなどで面として活動したい。ふるさと納税も活用する。
諸冨:道の駅むねかたでやってきて、道の駅おがで進まないことは。
山ア:4団体との調整。
菊地公英:道の駅おがの対象客エリアは。
山ア:当初圏内としたが、今は人気商品で広域展開したい。
岩間:道の駅おがの鯛の値段は。
山ア:(略)
岩間:それは安い!
「甦れ男鹿!!」〜チャレンジする文化を創る〜
  男鹿市長 菅原 広二 氏


 私の好きな言葉は、「次の選挙のことを考えるのが政治屋で、次の世代のことを考えるのが政治家」ということ。市長になって、市民のためにならなければ、いつでも辞める覚悟で仕事をしている。
 職員に対しても、「世のため人のためにやっているか、人間として恥じないことをやっているか、市民のためにやっているか。」といつもハッパをかけているが、なかなか動いてくれない。

 男鹿市の財政は非常に厳しいが、これまでの市長は市民にこの話をしてこなかった。私は、様々な機会を捉えて市民に話すようにしている。
 男鹿みなと市民病院は、毎年6億円の赤字を抱えている。国から3億、建設費の借金返済に2億、一般財源から1億を補填している。男鹿市民の利用者が16%しかいない。今後、全市民を対象にしたアンケート調査を実施して、今後の病院のあり方を検討する。
 男鹿市は、面的な広がりがなく、細い道に沿うように家が建っているようなところなので、公共下水道ほど効率の悪いものはない。したがって下水道の整備計画は中止する。効率性を考えるとこの地域は合併浄化槽である。
 また、子どもの数が減ってきており、保育園や小学校・中学校の統合もやらなければならない。これは、どこの地域でも同じだが、赤字の公共温泉施設については、廃止を考えている。

 船川地区には、クルーズ船の港(海の駅)、道の駅オガーレ、JRの男鹿駅の3つの駅が集中立地していて、全国的にみてもこのようなところはない。ここで、毎年「男鹿の花火」や「なまはげロックフェスティバル」をやっている。ロックフェスティバルには 1日7千人くらいの観客が集まるが、県外客の40%が秋田市に宿泊している。宿泊施設がないのが、この地区の課題である。
 全額JRの出費で新しい男鹿駅を、100メートルほど道の駅側に移動して建設してもらった。昨年7月1日にJR秋田支社長の鶴の一声で、オガーレと同時オープンした。また、これから男鹿駅前にチャレンジ広場を整備する予定である。
 オガーレは、漁業、農業の後継者をつくるためにやった。稲盛和夫氏に「海に近い人は、意外と地元の魚を食べていない。だから、1割か2割でも地元に卸した方が良い。しかも1割か2割安くしないとダメだ」と言われたことがある。地元に親しまれない産業は発展しない。それは後継者がいないから。オガーレをつくってそれが良くわかった。「近き者喜べば、遠き者来る」である。

  ゴミの減量化については、男鹿市は秋田県で一番家庭ゴミの排出量が多い。住民参加による節税への意識改革が重要だという気持ちで取り組んでいる。
 寒風山の山焼きは、去年は飛び火して大変なことになったが、岐阜大学の津田教授が、寒風山の植生や景観保持のために必要だから是非やろうと言ってくれて、今年はお金をかけないようにボランティアを募集して行った。200人くらいのボランティアが集まった。

 「おもてなしの心」を醸成するイベントとして、サイクリングイベントやメロンマラソンを実施している。観光協会では、「老人から子どもまで笑顔でおもてなし」をキャッチフレーズにして事業に取り組んでいる。
 市役所改革としては、「市役所の壁をなくそう。縦割りではなく横串を通そう。」ということで、職員には「一人一人が経営者、一人一人が営業マン。他の人がやることに口をだす。」ということを話している。 

 なまはげがユネスコに登録されて注目を浴びている。全国のユネスコ登録地で、男鹿半島ほど広域で来訪神行事をやっているところはない。また観光に結び付けているのは男鹿だけ。ユネスコに登録されて良かったのは、なまはげ行事を通じて地域づくりができるようになったこと。これまで途絶えていた地域でも復活させようという動きが出てきた。

 男鹿は一人あたりの保険料も医療費も高い。そこで健康づくりに取り組んでいるが、ドリームリンクの社長が自らのネットワークを活用して、全国から色々な人を呼んできて健康づくりの講演を行っている。
 市長になってから、朝礼やランチミーティング、あいさつ運動を行っている。
 最後に、「龍となれ、雲自ずと集まる」という言葉を皆さんに贈りたい。

      【質疑応答】
岩間:男鹿の患者の受診先は8割が秋田市に行くとのこと。慢性疾患は男鹿市内の医療機関で、急性疾患は高度医療機能の医療機関という機能分化はどうか。
高橋:病院を高齢者中心の施設に機能転化することはどうか。
菅原:地域バスの維持費も多くかかっている。病院も含めて赤字解消は稲盛和夫のコンサル盛和塾メンバーと検討している。彼らの助言を参考にジャブジャブの雑巾を適度に絞るように進めたい。
「ILC(国際リニアコライダー)に関する近況報告とお礼
  岩手県政策地域部 理事 佐々木 淳 氏

 ILCについては、順調に推移しており、年内には方向性が決まる予定となっている。北東北3県の皆様にはご協力いただき、感謝している。今後ともよろしくお願いしたい。
 懇親会では、恒例となっている3県持ち寄りの地酒と、男鹿の名物料理「石焼鍋」がふるまわれた。熱く熱した石で瞬間的に調理する石焼鍋の美味しさは格別である。
 男鹿温泉郷にある「五風」で、なまはげ太鼓の実演を鑑賞する。 
エクスカーション1 雲昌寺

 アジサイ寺として全国から観光客を集めている男鹿市北浦の雲昌寺がエクスカーションの一カ所目。この日も朝早くから多くの見学者でにぎわう境内を古仲住職が案内してくれました。境内にはハート型の石が7つあり、私たちは6つ見つけることができました。あじさいスタンプの御朱印が人気で、住職は腱鞘炎になっているとのこと。見晴らし台からの空、海、あじさいの一面青の眺望に癒やされました。雲昌寺限定のあじさいババヘラアイスをいただきました。
エクスカーション2 なまはげ館・真山伝承館

 伝承館で大晦日の晩のなまはげ行事を見学し、私たち見学者もなまはげさんから「なまけるなよ、山の上で見ているからな。今年一年健康で家の者皆まめ(健康)でれよ。」と声をかけられました。伝承館の武内さんが最後にみんなに御挨拶してくれました。
エクスカーション3 道の駅おが「オガーレ」

 開業1周年を記念した「道の駅おが創業祭33(さんさん)まつり」が行われ、ステージでの演奏、男鹿しょっつる焼きそばなどの出店に大勢のお客さんでにぎわっていました。
 私たちは赤毛のアイドル秋田犬「つばき」ちゃんにお出迎えしてもらいました。
 直売所では地元漁師が出品したサザエやマダイなど新鮮な魚介類が多く、めぐみネット参加者の複数が安価なズワイガニを買っていきました。
今回の参加者名簿
▲ページトップへ戻る