RUMIKOの読書日記

2020年
カウンター設置 2003/02/11

 

12月22日(火)

「AX」 伊坂幸太郎 角川書店 ¥1500+税
ラストちょっと泣いちゃいそうだったよ~、と作者に言いたい家族の物語。それともコロナで心弱くなってるのかしら?私。今までの「グラスホッパー」他の作品のようにセミやクジラと同じく兜も死んでしまうけどこれには家族が色濃く描かれている。伊坂作品の殺し屋たちは死ぬのを受け止めているのが作者の意志なのかな、と思いつつこれも味わう。


「太陽の棘」 原田マハ 文芸春秋 ¥1400
あまりにも純粋な友情の美しさに思わず涙ぐむラストまで一気読み。まず力強く美しい表紙の人物像に興味を惹かれて借り。不勉強で残念だが戦後沖縄に作られた画家集団の村ニシムイアートビレッジの画家玉那覇正吉氏の作品であった。米兵と画家たちの魂の交流を味わいながら沖縄に行く楽しみが増えた。そして消滅してしまった秋田生駒塗の創始者が琉球漆器に影響を与えた、と奥様に伺ったのを思い出しマハさんに作品にしてもらえたらなぁ、と妄想。


「負け犬の遠吠え」 酒井順子 講談社 ¥1400+税
日記に掲載しないほどたくさんの酒井さんのエッセイを読んでて今更ですがやはりこれも読まにゃ、と思って借り。品の良いピンクの表紙はなんと佐藤可士和氏。マルチ!初版2003年35歳から始まるエッセイ。そして2020年現在、「家族終了」というエッセイを出版して両親と兄を亡くしている酒井さん。それでも50代を超えた今、パートナーと暮らし、心強いご様子でありつつ一人も楽しめる力を併せ持ち何より。


「variety」 奥田英朗 講談社 ¥1200
各誌に掲載した短編を講談社でまとめて出版。中に対談もはさみ、タイトル通りバラエティに富んだ一冊。夏休み、本家に集まったいとこと遊ぶシーン(「夏のアルバム」)は懐かしかった。


「100歳の100の知恵」 吉沢久子 中央公論新社 ¥1300+税
吉沢さんのエッセイも掲載しないほど借りているがそれは母用に借りているから、というのもある。しかし今回は彼女のしっかりぶりに感心したので。母用には他に日野原、寂聴、佐藤愛子さんなども借り。料理を始めとした家事や暮らしについての言及の他、心構えが書かれているが、ここが60代の私たちにすごく共感できるのだ。たまたま夫も私もそれぞれの母を介護しているが、本文は夫側の方に合っている感じ。p164吉沢さんそのものは大きな目標を持つというより求められるままに生きた、「大変」と思うとそこで止まってしまうから目の前のことを片付けて暮らすうちに100年たった、というもの。『幸せも不幸も、自分の心が作るもの。「嘆きグセ」「不満グセ」がついてしまい、思考がネガティブな方向に行ってしまうと、人は幸せになれません。』p190『人生が上り阪から下り阪に変わる切り替え時期に、いったん立ち止まってしっかり自分自身を見つめることが大事です。』とおっしゃり、この年齢を50、60代としているのでまさにどんぴしゃ!


「マリコ、カンレキ!」 林真理子 文芸春秋 ¥1200
多忙を極める執筆スケジュールの中、自分を豊かに育むイベントも貪欲に楽しむ林さんのエッセイ。もちろん「カンレキ!」になって美容の悩みは尽きぬとも瑞々しい好奇心いっぱいに文章がはじけている。自分の今年のエンタ上位に入るであろう林さんの「中島ハルコの身の上相談室」のモデルと言われた奥薗さんとの交流も楽しい。

11月27日(金)

コロナでご無沙汰しているうちにこんな時期になりました。図書館もやっと開館して満足の読書量復活です。それでもいまだ感染者減少には至らず。平常心で暮らすことが何よりも大切。地味な日々になってしまうけど。

「BUTTER」 柚木 麻子 新潮社 ¥1600
還暦女子会で暗い介護の話題の果てに「でも私達だってシニア婚活に行けば最年少だからモテまくりなはずだもんね~」と一時話題になった後妻業になぞらえて笑ったものだが、本作もそれを思い出すストーリー。老人~40代までの男に結婚をちらつかせて散財させ不審死を起こさせた現代の毒婦と取材する女性記者を軸に物語が進む。記者の親友、同僚、恋人それぞれが抱える問題を掘り下げながら30代女子が成長してゆく。毒婦
カジマナとの面会を通して料理に縁の無かった主人公が9キロも太りつつ七面鳥を焼いて10人のホームパーティーを開くまでになる料理のシーンも飽きさせぬ長編。


「結婚の嘘」 柴門ふみ 中央公論社 ¥1100+税
柴門さんは同世代である。ゆえに本書は自分の結婚生活と重なるであろう、と思ったらビンゴ。恋愛の教祖とも言われた柴門さんも結婚40年を前に夫婦について考察するように。31歳のときの結婚観を今ふりかえると、というエッセイだが初めの方で当時の結婚観が描かれ、つくづく社会はその通りだった、と共感。


「センス・オブ・シェイム 恥の感覚」 酒井順子 文芸春秋 ¥1400+税
紫式部の時代から千年以上たった今も日本人の行動規範になっている「世間に対して恥ずかしい」という恥の心性について大いに語る一冊。酒井さんのエッセイは殆ど読みすぎてタイトルだけメモってるのもあったが、これもコロナ効果?ガラガラの図書館の酒井さんコーナーで見つけた2019年の新刊。


「男尊女子」 酒井順子 集英社 ¥1400-税
2冊同時に借りながら、同じ値段でも上の本は文春、本作は集英社、住み分けてますな~と感心しつつ読み。男尊女卑という熟語もあるように「男を立てる」女子の姿や心理を描く。酒井さんの良いところはそんな女子の生き方もあるさ、と認め合おうとするバランス感覚。


「音楽の在りて」 萩尾望都 イースト・プレス ¥1700+税
萩尾さんの他の本を探していたら発見、借り。萩尾作品は「スターレッド」で離れてしまったが、1,2章の短編では絵として浮かんでくるからやはり影響力はすごかったのだ。長編「美しの神の伝え」は萩尾版創世記とも言える壮大な物語。それにつけても自分のごみがらくたは残しておくのに地震が怖いと2階の私の漫画(萩尾様・くらもち様他)を捨てる私の親って?つくづく昔から自分の事しか考えてないことを実感。


「ちょっと早めの老い支度」  岸本葉子 オレンジページ ¥1400+税
ずっと探して見つからない酒井順子さんの本を検索にかけて発見、置いてある本棚を探しに行ったら見つけた岸本さんの3冊セットのうちのその1.私より少し年下の岸本さんの2012年のエッセイ集なので50歳当時の気持ちを表したもの。老い支度というより岸本さん曰く「エイジング=年の重ね方」と言った印象が強い。白髪や筋トレもアンチエイジングでなく、50代で書くならエンディングノートでなくエイジングノートと発言されるとこれからの日々がちょっと明るく。


「どうする?団塊男 どうする!団塊女」 吉永みち子 日経新聞社 ¥1500+税
8歳先輩の吉永さんの本書を読むと退職金、年金が目減りして老後汲々としている我々より少し上の団塊の皆さんはやはりハッピーリタイアメントだったんだなーと具体化される。それでも同じ境遇に見える部分はその後の人生の長さと親の問題。今回のコロナだって自粛で無収入になる人と年金が定期的に出る世代では定額給付金の重みも違うはず。必ず定期的に年金が振り込まれると思えばかえって気が大きくなるよ。それでもp121「おそらく団塊の世代は親の老後を考える最後の世代で、子供に看取られない最初の世代になるはずだから。」は次の私たちもだよ!と続いてしまって哀しい。


「地震と独身」 酒井順子 新潮社 ¥1400+税
東日本大震災で独身者が受けた影響や行動を丁寧なインタビューをしてまとめた一冊。絆や震災婚、または離婚などというワードも注目されたが独身者の個性が浮き彫りにされつつ、確かにボランティアや移住がしやすいのは独身者の方だろうと納得。p279で酒井さんは「無常というものを震災は見せつけた」とまとめ、だからこそ、家族でもボランティアでも「絆」の重みを感じたと言うが実感。


「女に生まれてモヤってる!」 ジェーン・スー 中野信子 小学館 ¥1300+税
又しても酒井さんの本があるかもコーナーで見つけ。脳科学者としてTV出演も多い中野さんと作詞、コラム、エッセイ他多才なスーさんとの対談。「女らしく」という枷の歴史や社会的背景を論じる。中野さんの「自分の選択を正解に導く」って力強いお言葉。更に「置かれたで咲きなさい」という言葉に対しても(p214)その場所に自分が合ってない、と感じたなら、私たちはいつでも、どこへでも行ける。私たちは花ではない。と力強く背中を押してくれる部分も斬新な切り口である。


「戦国時代の余談のよだん」 和田竜 kkベストセラーズ ¥1500+税
埼玉県人には「翔んでさいたま」同様ありがたい「のぼうの城」の作者の各作品誕生の裏話や苦労話、第二部では家康、秀吉他武将たちの裏話も。「のぼう」誕生も行田市出身の会社同僚との飲み会の席、と言うから面白い。


「ガンコロリン」 海堂尊 新潮社 ¥1400+税
秋田から戻り即行った図書館ではラッキーにも2冊リストアップしていた本を発見!勢いに乗って海堂さんコーナーに行ったら何?このおかしみのあるタイトル?と思って借り。タイトルは新薬の名前。その発見で製薬会社は大儲け、開発者はノーベル賞、癌は制圧と三方良しの近江商人の様なラストか?と思いきや地球という生命体からしたらガンコロリンに対抗すべく耐性のある腫瘍が出現、という現在のコロナ禍のようなお話。嬉しかったのは久しぶりに読む速水ドクターの物語「被災地の空へ」極北救急救命センターに入るⅮⅯATの要請現場は東日本大震災のみちのく県。だが赴いた現場に運び込まれるのはトリアージ的には黒の津波犠牲のご遺体。黙々と検案書を作成する速水に救護所リーダーみちのく大の岸村が言う。p138「もちろん地震が起こったのは偶然だども、そこで先生が何を学ぶのかは必然だべ」これは全ての人と災害、試練にも当てはまる関係な気がする。


「家族終了」 酒井順子 集英社 ¥1400
やっと見つけました!リストアップの一冊です。「負け犬の遠吠え」で注目デビュー後15年。父母兄を亡くした酒井さん自らを描く思い一冊。酒井さんはその失われた家族を「生育家族」と呼ぶ。たしかに親がいない人はいないし。そして子が独立して結婚で作った家族を「創成家族」と区別しているが、現在酒井さんはご結婚、出産していないので兄の死をもって家族がいなくなったことから本書を展開してゆく。


「『気だてのいいひと』宣言!」 香山リカ 東京書籍 
これからの日本を支えていくのはこれまで人の後ろに隠れていたがつがつしない心優しき「気だてのいい」人だ、と分析した本。ただこれらの人は優しすぎるゆえ鬱的にもなりやすい、と現在の格差社会の生きずらさを問う。ここで香山氏は健康な人格についても言及する。p150等身大の現実を理解している人物。現代はSNSなどで世界は無限に広がっているように見えるが、まず手の届く範囲、目で見える範囲で、会えるひとたちを大切にし、日々の食事や睡眠を楽しむ。面白いテレビ番組や本があれば、ひとときそこに心を奪われ、笑ったり泣いたりする。この「現実感覚」がいかにきちんと保たれているかが、じつは「心の健康」の尺度なのかもしれない。


「ひとりサイズで、気ままに暮らす」 阿部絢子 大和書房 ¥1400
以前阿部さんをTⅤで拝見した時、あれ?前と感じ変わった?と思ったら本作を読んで当たり!服を総入れ替えしなければならぬ程太った、と言うのだ。しかも70歳を迎えてこんなに暮らしが変わるの?と思うほど具体的な一冊。やーん、私もカウントダウン?とつくづく実感。


「ニッポンの名茶碗100原寸大図鑑」 小学館 ¥2800
新刊コーナーに曜変天目の真上から撮った写真の表紙に誘われた借り。すでにそれは小宇宙。原寸大と銘打った100の器の写真集の大きさは18×18センチの各ページで足りる小さな空間だったのだ。小説を味わうのとはまた違う脳の部分を使うのか息遣いまで静まる感じ。目まぐるしく流行が変わる現代と違い、すでに評価の定まった100点だから手元にあっても良いな、と思わせる一冊。茶の湯の歴史も学べるし。唐物、高麗、和もの、楽と作品や時代を追って味わえる。ついでに所蔵する美術館巡りもしたら豪勢だろうな。


「ホリデー・イン」 坂木司 文芸春秋 ¥1250
二度読みしてジャスミンさんの周りのホスト君達の関係を復習しながら味わえる一冊。映像化できそうな各章のキャストだな~と思ったらあとがきに本作はシリーズ2作目で一作目の「ワーキング・ホリデー」はすでに映像化、ジャスミンさんはゴリ、ヤマト役はAKIRAとのこと。こういう視覚化しやすい作品は妄想で役者さんを動かしながらストーリーも追えて二度楽しい。


「クジラアタマの王様」 伊坂幸太郎 NHK出版 ¥1500
書き下ろし、2019初版であるの。のになぜ?今のコロナ禍を予測するかのようなパンデミック阻止の為戦うサラリーマンが入り込むロールプレイングゲーム。時々小説家の予知能力?と感心させられる作品に出会うが本書もまさにこれ。単行本にしては珍しい伊坂氏本人の種明かしがされているあとがきまで読んで更に納得。さてタイトルの意味は?


「ワーキング・ホリデー」 坂木司 文芸春秋 ¥1478+税
「ホリデー・イン」読んだらどうしても読んじゃうよなーと言うことで借り。あたりまえだが面白い。やはりキャラが個性的だから映画化もしやすそうだし、と感心。


「老いに対応できる人 できない人」 町沢静夫 大和出版 ¥1400
分かりやすい文章に親しみを覚えていた町沢さんを見かけて久しぶりに借りたら2001年出版であった!にも関わらずこのテーマは20年たっても色あせるどころか自分の年齢がまさにこの年になってしまっていた。20年前ならそれほど興味はひかれなかったであろう。最初の方は老人が陥りがちな鬱病についての専門的考察を経て、これらの危険を抱えてなお老いとどう向き合うかを後半で展開している。


「ウィンター・ホリデー」 坂木司 文芸春秋 ¥1550
他の2作が面白かったからつい借りちゃうじゃないですか。たとえこの厚さでも、と図書館でにんまり。それにしてもいつも朝一に行くせいもあるのかもしれないが椅子テーブルを撤去した図書館の利用者の少ないこと!(ちなみに11月現在はまた配置、半数ずつ座ってます)本作はホリデーシリーズのうちの一巻で沖田と進の距離ががぐっと縮まり、ホストを辞めて宅配業で働く中での進との関係も描き、登場人物も増えてにぎやか。その中で結婚式に沖田を招待した元ヤン女子桜井って名作「和菓子のアン」の遅番桜井さんなのでびっくり!


「運がいいと言われる人の脳科学」 黒川伊保子 新潮文庫 ¥430
最近では「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」で人気の物理学、脳科学、ことばの感性の専門家の2009年初出の文庫化。執筆中に東日本大震災もあり、この9年でどれだけ世界が目まぐるしく変化しているかを感じられる一冊。p41、ご自分の妊娠期に犬のお産(なぜ犬のお産は軽いと言われるのか)を考察しているがこれも今となってはマインドフルネス論だし。必要な時に助けが入る、もしくは進む道が見える脳の持ち主が運がいい、と言われる人であるが脳は睡眠、メラトニン、セロトニンの力でスジの良い脳になっていくが、そこで相手目線に立てるか、当事者意識を持てるか、嬉しい気持ちでそこに立てるか(これは機嫌が良いとそれを見た人も心がほぐれるというミラー効果)も運を引き寄せるになっている、とわかりやすく説明してくれる。


「暮らしのもやもや整理術」 松尾たい子 扶桑社 ¥1400 
クロワッサン等で美浜に持った3軒目の家の様子が紹介されて興味を持っていたイラストレーターさんの自伝的人整理術。小さなことからこつこつと、ということかな。それにつけても充実の暮らし,的な本や雑誌を見てかえってモヤモヤするのは今までの人生、自分が家に合わせて暮らしていて自分がカスタマイズできるうちがないからだ、と気づいた。こうやってモヤモヤの原因に気づくことで問題を客観視できる。


「『あの絵』のまえで」 原田マハ 幻冬舎 ¥1400
久しぶりに万人受けするに違いない原田さんの名作に触れた幸せ短編集。地方の美術館が所蔵する名品を『あの絵』として各ヒロインと周囲の人との心の交流を描いてどれも読後はほっこり。最後の直島ではベネッセの福武氏かと思われる紳士との交流が描かれている。最初の広島が舞台の作品では16歳娘のママが主人公なのだがその母が63歳!って思いつつ読み。


「コロナ黙示録」 海堂尊 宝島社 ¥1600
新刊コーナーで見つけ即借り。地味な表紙に一瞬スルーしたが作者名がピカッと私を呼んだ。あまりにもタイムリーな本作はフィクションとは言いながら前内閣と今までの海堂作品をクロスさせて特に感染関係は浪速を舞台に書いてらしたからドンピシャの作品。発行は7月24日、初版8月27日の2版が図書館に。なのでフィクションだけどまだ総理は前の方です。


「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」 青柳碧人 双葉社 ¥1350+税
前記「コロナ黙示録」より更に新しい8月23日初版の本作。ストーリー展開は前作「むかしむかしあるところに、死体がありました」のヨーロッパ版かと思いつつ今回も独特の表紙イラストに惹かれて借り。赤ずきんが全編で活躍。


「ホテル ジューシー」 坂木司 角川書店 ¥1400
沖縄のホテルでバイトしながら自分を見つめ直していく女子大生の物語。つい沖縄が舞台、ということで原田マハさんの初期作品達と無意識に比べてしまうが、表現様式の違いを感じながら味わった一冊。


「早稲女、女、男」 柚木麻子 祥伝社 ¥1400+税
女の友情を書かせたら人気の柚木さんの女子大生群像シリーズ。タイムリーな「コロナ黙示録」を読んでいたのに今度は大学時代にワープ?しかもサークルこそ違え私も似た環境だったので登場人物の女子大生に当時の友人をあてはめて妙な納得をしたり。しかも本作は各大学の校風もやんわり取り上げているから次はその違いを味わうために二度読みした一冊。今の20代の女優さんたちを当てはめながらテレビ化を妄想したがおぞらくモラハラになるから実現不可能?


「老後は要領」 和田秀樹 幻冬舎 ¥1200
明快な文章と前向きな姿勢で親しみが持てる和田氏がついにコロナ禍にめげない暮らしをご指南。外に出て太陽を浴びる、たんぱく質やビタミンⅭなどで鬱や認知症を予防。暮らしを気にかけて見直す努力ってことかな?


「常設展示室」 原田マハ 新潮社 ¥1400+税
借りたいリストにはなかったけど、手に取って借りて正解の心温もる短編集。ヒロインはどの作品でも成功した美しい女性に思えるけど、そこに至るまでの努力や家庭の不幸が描かれ、絵とも真摯に向き合う姿が心地よい。


「家族の悪知恵」 西原理恵子 文芸春秋 ¥800+税
家族こそが生きる中でのサバゲーか?と思わせる49の悩みを大胆に解決。そうできるのも自分の力があるから、と学ばせてもらう一冊。


「宇宙飛行士、『ホーキンス博士の宇宙』を旅する」 若田光一 日本実業出版社 ¥1400+税
難解かな、と心配しつつも埼玉出身で活躍中の若田さんのエッセイだし、と思いつつ借り。私がしるようになってからは既に車椅子になってらしたが、21歳でALSを発症、以来76年の生を全うした姿には心打たれる。初版で2020、9、1なので当然若田さんはコロナにも言及。「身体は障害を負っていても、気持ちまで障碍者にならないでください」(本書ではp82)という名言に対し、若田さんは宇宙滞在を引き合いにしつつ「今できることに集中する」ことでコロナの閉塞感を打破しようと語る。もう禅ですね。更にp104「ホーキンス氏の偉大さは逆境の中にあっても自分の可能性を信じる強靭なメンタリティこそが、重要な『才能』だったように感じます。」と述べ、まるでスマップの歌のように「一人一人が異なる種を持っていて、その花を咲かせる方法も道筋も千差万別なのだと思います」としている。あ、もしかしてこちらが先?


「買えない味」 平松洋子 筑摩書房 ¥1700+税
今までの平松さんのエッセイで一番上質で読みごたえある一冊。写真も美しいのは連載が「danchyu」だったからか趣がある。


「明るい覚悟」 落合恵子 朝日新聞出版局 ¥1500
コロナにぶつけて慌ただしく加筆して出版と思われる一冊。本来であれば「一冊の本」2018、1~2020、3までの分を出版予定のようだがまえがきでいきなり緊急事態宣言解除の話題が。ラジオパーソナリティでさっそうと現れたお姉さんも75歳、とのこと。社会活動家としても有名だが本書はクレヨンハウスオーナーとして絵本の紹介も加えて厚みのある一冊に。まえがきp8にある通り、『本書の目次を見ていただくとわかるが、「動詞」がタイトルになっている』その理由は「人生とは動詞」だと思うからだそうで。確かに人は動かないと物になっちゃうもんね。


「大きな音が聞こえるか」 坂木司 角川書店 ¥1900+」税
ポロロッカでサーフィン、という画像をニュースで見たことがあった。この本の主人公は高校生。となれば成長物語になるのはお決まりだが山場がアマゾンだから風景も人もスケールが大きくてドキドキを楽しめる一冊。値段相応600ページの大作だが一気読み。


「寂聴 残された日々」 瀬戸内寂聴 朝日新聞社 ¥1300
存命中に、と焦って出した感のあるタイムリーなエッセイ集で、2020,7,9までの6年分を掲載。秘書という名の周囲の人に支えられて暮らしているが既にどう見ても独居は難しい状態が伺い知れるいっさつ。


「私がオバさんになったよ」 ジェーン・スー 幻冬舎 ¥1400
40代になったスーさんがその心境を軸に各界人と対談。30代は結婚や出産への迷いがあったがふっきれて快適な人生を語る。中野さんと語る日本は新しくなり、「放置」こそ最善解というところが小気味よい。p76「人間は役に立つことのために生きてるわけではない」(中野さん)p79『逸脱者(マイノリティ)がデッドエンドを延ばしてくれたから人類は発展した』の文章に大いに力づけられる。


「女50歳からの100歳人生の生き方」 小島貴子 さくら舎 ¥1400
50歳くらいまでは与えられた環境に自分が合わせる人生だったがこれからは「自分」のテーマ(個性・やりたいこと)を育て、自分の未来へのプレゼントも考えよう、という主張に希望を与えられる人は多いだろう。又、p150『人間は生まれたときに親から脚本を書かれている」(エリック・バーン・・・カナダの精神科医)このシナリオは思春期に自分で書き直せればいいのですが、そのままシナリオにつぶされてしまう人がいます。そういう人にとっては「シナリオの書き直し」のタイミングの一つが、親の死かもしれません』60超えても書き直せてない自分、あーあ・・・


「さざなみの夜」 木皿泉 河出書房新社 ¥1400
読売新聞お薦め読書欄に合ったので」借り。木皿さんのドラマは好きで見てたし、お二人の特集も見てたし。お薦めの通り今年のおすすめ本ランキング入り。最初から心がしんとしてしまうスタート。だって主人公のナスミちゃんは最初で亡くなっちゃうんだよ。タイトルで一瞬よしもとばななさんの「さきちゃんの夜」を想起したが文体や話の進め方も何となく似ているようで次回図書館で「さきちゃん」借りようと思う。木皿さんらしい珠玉のセリフp48「そうじゃなくて、本当に大切なものを失ったときって、泣けないんじゃないかな」(中略)「あれは大切なものだったなぁ、と後から思った時に泣けるんじゃないの?」短編仕立てながら実は70年くらいの壮大な物語

6月21日(日)

そしてついに緊急事態宣言の自粛で図書館も閉館、県をまたぐ移動も×、となっての3か月、食料の買い出し歩いて以外はおうち暮らし、良く頑張りました。そんな時につながれるのは友や親戚ライン、離れていても心の支え。やっと解除、速攻で戻った秋田。読みためた本をアップ。

「EPITAPH東京」 恩田陸 朝日新聞出版 ¥640+税
戯曲の脚本を書く為東京をさまよう主人公kと吸血鬼と自称する吉屋や友人B子の物語。東日本大震災に変貌を遂げてゆく東京とその底に沈む死者と歴史を描こうとしている内容は久しぶりの難解。


「最強の家訓」 斉藤孝 祥伝社 ¥800+税
これも売れてるんだろうな~、と思いながらお勉強させていただきました。たしかに借金を申し込まれたとき「うちの家訓でお金を貸しては駄目なんだ」と言えば円満に断れるし、子供の「みんなが○○(持ってる)から自分も××したい(欲しい)に対してもきっぱりNOと言えるし、家訓は便利かも。家訓を垂れなければならない60代が読むのは今更恥ずかしいが齋藤氏曰く、p12『現代は精神の背骨が失われつつある。』とは共感なのでやはり必要なのかも。またp13で『人間の本能の暴走を抑える一助』というのも頷ける。しかもp14『権威ある存在がないまま育つと自我のない、ただわがままなだけの人間になってしまう』のもわかる。育メンとか友達親子とか言うけど難しいものだ。暮らし方、生きる姿勢、お金、仕事などに分かれていて読み易い一冊。読んでもピンとこない人には何を読んでもただの紙でしかないけど。


「少ないもので贅沢に暮らす」 石黒智子 PHP文庫 ¥740+税
部屋づくりから道具の果てまで自分流にカスタマイズさせて丁寧に快適に暮らす様子を文と写真で紹介。石黒さんのすごいところは金属物もプロに加工を頼んで自分にフィットしたオンリーワンを作ってしまうところ。そこまでは無理でも見習えるヒントはたくさん。


「翔ぶ少女」 原田マハ ポプラ社 ¥1500+税
表紙だけいつも図書館で見ていて美術系なのかなー、だとしたら彫刻知識は浅いしなー、と敬遠してたが、手に取ってみたら、あら!マハさんも住んでた阪神大震災が舞台。しかも読んでた今は東日本大震災と重なったのは何かの因縁か?コロナパニックで図書館が閉館になり、経済への打撃は各震災以上かも、と言われているが、火災や津波で家族の手を離さざるを得なかった生き残った者の深い後悔や喪失感を味わったのが実は阪神大震災で、戦後の日本人の心を変えた、とも言われる。本作もそのような形で親と妻を亡くした子供と医師が大きな愛でつながってゆく愛に満ちた感動の物語。こんな時こそ翼があれば、と思った日本人もたくさんいたはず。


「四角な船」 井上靖 新潮文庫 ¥360
コロナパニックで図書館の休館が4月30日まで延長され(おそらくその後も延びるであろう。4月13日現在)読む雑誌もなくなり、ついに手に取ったうちにある井上靖!しかし読んでみて改めて自分が伊坂幸太郎君の作品を好きなのは、井上氏のこの作品のような「巻き込まれ型主人公」が出てくるからなのかもしれない、と分析できたことは収穫。しかも何気なく手に取った割には本作の主人公となる、又は巻き込まれる張本人の新聞記者丸子東平は井上作品にはまるきっかけになった「しろばんば」の洪作を彷彿させるキャラクターでもある。驚くのは購入したと思われる20歳前後の昭和52年、この厚さでなんと¥360!読売連載として書かれたのは昭和45~46年。オリンピック、万博と日本が戦後の復興を海外にアピールしていたときと重なる。ちょうどそんな時井上氏は詩人としての視点より社会批判としての視点より社会批判としての目線で何作か発行している、とあとがきにあり。それでもノアの方舟を題材にするなど硬派と言うより大人のメルヘンのように仕上げたところが井上さんらしいと思う一冊。こんな経験が出来るのもコロナのおかげ、とポジティブに。


「ピエロの歌」 遠藤周作 新潮文庫 ¥360
今度は遠藤周作に行ってしまった!それもまた¥360。すごいな。昔の文庫の値段。位置づけとしては中間小説。こんなジャンルをつけられる程遠藤氏の顔はたくさんあるのだ。しかしここでも森田ミツという遠藤氏の聖母に当たる女性がさえない姿や境遇で、しかし清い心と人の良さを与えられて登場。そんな彼女を弱い又兵衛が更に踏みにじる。卒論で遠藤氏を取り上げた身には定番ともいえる作品だが読んだ当時の昭和50年の頃の私なら地方から出てきた女子大生に心を寄せて読んだことだろう。


「悲しみの歌」 遠藤周作 新潮社 ¥800
読み返しシリーズ。昭和51年初出で単行本なのにこのお値段。「おバカさん」で登場したガストンがそれこそ宮沢賢治の「アメニモマケズ」のようにおろおろと歌舞伎町を歩く。だが今ガストンがコロナの歌舞伎町を歩いたら人の少なさに驚くことでしょうね(4月27日現在)さまざまな登場人物に関わるガストンだが、62歳の大学教授って私たちと同世代ながらこの当時の日本人男性の平均寿命は73歳と書いてあるから早く死ぬのね~、残り少ないじゃん、と驚く。そしてガストンは今日もどこかを歩く。


「クオレ」 アミーチス 小学館 ¥200
ステイホーム推奨の中、つながれるのはスマホの世界、と言うことで学生時代のグループライン女子会では専門柄か愚痴より楽しい文学談義で盛り上がる。今ハマっている本、ついでに貸し借り応答に加え話題は学生時代にハマっていた本、遡り、子供の頃好きだった本へと話題が広がり下がる気持ちをストップ&アップ。今ハマりは大体メジャー作家に共通なのは分かるが、友達になるはるか昔の子供時代好きだった本も決行共通なのは、昔は今ほど本も少なく、名作集という形で見つけやすかったからかも、とも改めて思う。と言うことで手に取ってしまいました。50年以上ぶりの「クオレ」。そうです、これもライン女子会で話題に。それにつけても2段組み300ページ超えの単行本で¥200っていつの時代?昭和35年(1961年)なんですねー。家を建てる間の仮住まいの近くに住んでたお姉さんがいよいよ引っ越す、というときくれました。これを読んだおちびの自分をほめてやりたい、心から。初めて接したいわさきちひろの挿絵(もちろん当時は知らなかったけど)無彩色のいわさき作品のペンタッチが好きになったんだなー、と分析。デジタル書籍もはやる今、名作全集という形そのものが需要無くなってるのかもしれないけど、編集委員も亀井勝一郎、川端康成、村岡花子氏ほかすごいメンバー。子や孫に読んでほしくて取っておいてるけどスルーされたのは前述したとおり情報過多の今だから他に読む児童書も多くてたどり着けなかったのね。今読むとイタリア独立1870頃が背景なので軍隊礼賛でもあるのが気になるけど太平洋戦争のように他人の土地や資源を侵すのではなく民族独立の戦い(フランス革命1789)からつながるので、同志愛、国家愛が出るのも仕方ないか、と思いつつ主人公のエンリーコと共に個性あふれるクラスメイトとのエピソード、月に一度のお話会(ここには有名な「母を訪ねて三千里」も含まれる)を味わえる一冊。やはり孫には読んでやりたい。湯治は気づかなかったが、もしくは今もそうなのかもしれないがイタリアでは学校の送迎を親、それも父親も普通にやってるのにびっくり!しかも今どき育メンの保育園送迎と違い結構送迎の時間に先生や子供の友達とじっくり話しているので良いなぁ、と思った。


「北の海」 井上靖 新潮文庫 ¥560
昭和55根(1980)刊行、読んだものの再読。「しろばんば」「夏草冬濤」に続く自伝的小説の三部作で時は大正15年。沼津中学は卒業したが高校受験に失敗し、沼津で柔道部の後輩指導をしたりしながら文中曰く「ごくらくとんぼ」な生き方をしている。ただ19~20歳の頃の自分と比べれば身なりこそひどいが食生活はかなりリッチで外食多くて驚く。柔道をやるため四高受験を心に決め、ついに両親のいる台北に行くことになり、あちこちで送別会を開いてもらうが、挨拶に訪れた湯ヶ島のおぬい婆さんの墓でくめ老人に合う。(p177~)その老人が洪作を称して『春の顔』をしている、とほめる。人には四季の顔がある、というところが興味深い。彼は更に、夢中になれるものがあれば死ぬとき悔いはない、親のすねをかじれるのもその人が持った運だ、と深い話をしてくれるシーンが今読むと沁みるー。


「夏草冬濤」 井上靖 新潮社 ¥340
昭和39年~40年、「しろばんば」の洪作少年は17歳。本作では湯ヶ島から三島に移り沼津中学に入学、入学時は一番の成績だったが、次第に成績が下がり、伯母のうちから寺へ住み替えを言い渡され、その直前の友人との旅で終わる。この後の洪作の話は「北の湖」でも言われるように『ごくらくとんぼ』ののどかな学校生活ときらめく友人との出会いが静岡の強い陽射しと共に描かれる一冊。


「いわずにおれない」 まどみちお 集英社 ¥680+税
コロナ自粛で年に数回の貴重なランチ会ができないまま2か月過ぎようとしている中、日文科グループラインでは本の話題が不自由な日常のスパイスになっている。そしてついに仲間内でのおすすめ本の宅配回覧も始まったのであーる!(5月10日現在)そんな友人の一人から発送された一冊。私達には童謡「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」を思い起こされるが、2010年当時96歳のまどさんの本作は詩人としての言葉が満載。なのに初の詩集「てんぷらぴりぴり」を出したのは58歳!って遅咲き、かと思うが96歳まで生きてるならその後40年詩人として生きているのだからターニング。侮れず長生き。でこれまた大好きな谷川俊太郎さんが評して(p179)『自分を消している』というところは適確。p45桜に伝わる言葉で『お礼を言いたい』というところも今年のコロナを考えると大共感。人のパワーが落ちてるせいか今年の花はどれも鮮やか。またp81遠近法や色彩感覚、形状への感性や美意識は祖先が長い時間をかけて育ててくれたものではないか、という遺伝子レベルの話になるのは理系らしい発言で驚き。p96月の光のやさしさも人類共通の感覚ですね。一番感心したのがまどさんの絵!クレーの世界。


「きみのためにできること」 村山由佳 集英社文庫 ¥495+税
娘が貸してくれた一冊。10冊以上送ってきたので古い順に、と思いここから読み。2007年20刷とあるので娘はその頃買ったのだろうがなんと初版は1998年、どうりで携帯もスマホも使わず二人がパソコンメールでやり取りしているわけだ。今や娘も人の親、こんな高校生みたいな恋愛なんて、といったところであろう。ましてや主人公たち若者の心より親の年をも超えてる私、どんなに今は純情を貫こうと思っても作り酒屋の後継ぎ娘と映像音響の世界で一歩を踏み出した男子カップル、男子の親ならそれを貫けと思っちゃうだろうから結局この恋は実らないのが現実だろうなーと思ってしまう。


「三人暮らし」 群ようこ 角川文庫 ¥552+税
友人関係でも二人だと逃げ場のない緊張感があるからどうしても白黒つけないといけない、と言うことになりがちだけど3人だとちょっとグレーの緩い関係を作れると言われているがそれは究極の二人、夫婦でも、と言われペットや子供というワンクッションを加えて3人?で円満に、とモラハラめいた意見もあるが、本書は親子、友人、同僚、初めて会った人たち等々3人が同居を始める10編のお話。あらいやだ、どれも面白い。ガールズトークを覗いてるようだからかな?シェアハウス興味津々だが、「バラの香り」が良かったけど今後の私がシェアハウスするとなると「三人で一人分」の方になっちゃうことでしょう。これまた日文ラインに回覧したい一冊。


「学校のセンセイ」 飛鳥井千砂 ポプラ文庫 ¥640
これも娘から借り。飛鳥井さんと言えば代表作「タイニータイニーハッピー」的な日常の『ハッピー』をすくいとるうまさのある人だなぁ、と感じているのだが、ちょっと疲れた今どき若い人には癒しにもなっているんだろうな、と思いつつ読み。2012購入と言うことは娘も仕事で出張の多かった時期。新幹線や飛行機、ホテルで読んだのかな?と思いを馳せる。熱い使命感があるwけでもなく学校の先生になれてしまった桐原(コロナ禍の今となってはなんと羨ましい限り)はすべてにおいて面倒な人との関わりや現実との関わりに距離を置こうとするタイプ。依存症にはならないが周辺児っぽくはあるよな、と思いながら読み。関口尚さんのあとがきが良くて本作の主人公のつぶやきが実は読者に語り掛けてる二人称的手法であって飛鳥井作品のラストは明るい出口に向かっている(p331)『プレゼントに似ている』(p332)から受けるんだな、と納得。p275『忘れたい、なかったことにしたい、記憶。でもならないんだよな、起こってしまったことは、なかったことに。』という桐原のつぶやきは全ての人が心して受け止めたいひとこと。


「かわいそうだね?」 綿矢りさ 文春文庫 ¥500+税
これも娘から。「蹴りたい背中」以来15年ぶりに読むりささんである。女子大生芥川賞という鮮烈なデビューだったが当時はあまり若くてデビュー作以来はご無沙汰してました。本作はタイトル作と「亜美ちゃんは美人」と2作を掲載。タイトル作の?がミソだと思う。本人は認めたくなくても周囲からは「かわいそう」と思われてしまう奇妙な三角関係。ラストでキレてやっと一歩踏み出す主人公にエール。2作目は私にもあるあるで、高校入学時同級生になり席近だったYちゃんはその後も私が会った女子の中で首位の座を明け渡すことのない美少女だったけど、亜美ちゃん同様、やはり花嫁姿も私の花嫁写真リストでは首位。亜美ちゃんも色あせることなく年を重ねてほしいがその結婚相手が誰にも祝福されない20歳の年下青年。これも50歳過ぎの二人なら既に将来は見えているけど20歳ならどこかで大化けするかもしれないから長い目で見て行こうね、とスピーチっぽく。


「最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室」 林真理子 文春文庫 ¥600+税 
なんでうちの娘これ原価で買ったんだろう?ハルコさん52歳ですよー。あ、結局つるんでいくいづみさん38歳の方に共感?と思いながら読み。林さんについて読書日記を書く時ついいつも書くことだが自分で自分の人生を勝ち取ってきた林さんは好き!と言うこと。そしてハルコさんの自信はまんま林さんぽくて◎これもまた笑顔を取り戻す本として友人への回覧用にキープ、と思った。いづみさんの仲間やハルコさんの友人の悩みを一刀両断してゆくハルコさんのパワーが前回の短編集。そこには恋愛、会社経営等々と各人各様の悩みがあるが回そう!と心に決めた作品はアラフォー上原美樹さんが登場の「ハルコ、母親を割り切る」という短編。美樹さんは私たちの子供世代ちょい上なので母親と言っても70歳なのだが、60代の私達にまで被害は及んでいる超高齢化社会へがつんとハルコ。p138『親子だからこそ割り切らなきゃいけないんじゃないの。(中略)この頃親にひきずられる人を見るといらいらしちゃうのよ。どうして大の大人があんなに自分の人生踏み荒らされちゃうのかってね』p44『昔の親は六十代で死んだけど、今の親は八十代、ヘタをすれば九十代まで生きる。だからややこしいことになってるの。いい、人っていうのは親のめんどうをみるために生まれてきたんじゃないのよ。自分の人生を生きるために生まれてきたのよ』名言。オバハンというタイトルで失礼だがテレビ化するなら米倉涼子さんにかっこよく決めてほしい。あれ?まさかもしかしてもうテレビ化されてる?


「セシルのもくろみ」 唯川恵 光文社文庫 ¥590
これも娘から借り。ドラマ化されたときのヒロインは真木よう子さん。美人で演技力にも定評のある彼女が激やせしていく様をむしろテレ友と心配しながら見ていたものである。平凡な主婦が読モから専属モデルに、と女性誌界という華やかな世界へのシンデレラストーリーかと思いきや、もちろんモデルたちのどろどろの世界、不倫など盛りだくさんな定番を経てヒロインはどのように変わっていくのかを楽しめる一冊。思わず当時のキャストを確認。


「フェイバリット・ワン」 林真理子 集英社文庫 ¥680
祝文芸家協会理事長就任の林さんである。これも娘から借り。2011~「MORE」連載の文庫化は2017年。東日本大震災のことは流れの中で出す程度にすることで作品の方は昇華されたかも。私達の時代林さんがいなければ女性ファッション誌の文学連載は味気ないものであったろう、と実感させられる23歳のヒロインの物語。さて夏帆ちゃんの「大切なもの」とは?


「リーチ先生」 原田マハ 集英社文庫 ¥880
いつかは海外旅行、とささやかな夢を育てて旅行積立を共にする友人Mさんより借り。今回のコロナ自粛で大阪、秋田の往復にこの厚さは嬉しい。しかも共にテーブルウェアに通い続ける陶器好きにバーナードリーチは嬉しい。奇しくも親子2代でリーチと関わりを持つことになった沖親子。ラストのリーチとの再会に光が射すイメージが眩しい。


「サロメ」 原田マハ 文芸春秋 ¥1400
コロナ禍で3か月も閉館していた図書館がやっとオープン、と言うので開館9:00に合わせて行ってみたら雑誌も本も充実の選び放題!で読み終えたのが本作。この表紙がド迫力!夭折の画家ビアズリーとオスカーワイルドの火花を姉の視点で展開していて時空を超えて一気に引き込まれ。オスカーワイルドと言えばp10『19世紀末のイギリスを代表する作家である。(中略)世紀末の頽廃的・耽美的な気配を一身にまとった芸術家」というのが共通するイメージだがちょっとその毒に触れてはみたい。

2月26日(水)

令和になって初の日記です。コロナ蔓延で日本が揺れてますが各自の注意で感染を抑える努力をするくらいしかできませんね。うちでゆっくり読書もね。

「イヤシノウタ」 吉本ばなな 新潮社 ¥1400+税
新装なった実家の図書館の陳列はまだ進化中、といったところ。の為、いくら探しても無かった本書ともう一冊はよしもとさんの「すばらしい日々」共に吉本さんコーナーでなくエッセイコーナーで発見!たくさんの作品にはまってきたが、年を経て離れてしまった吉本作品と自分の解離の理由がエッセイに吐露されてる感じ。偉大な父の喪失、家族つながりその他、ばななさんの心が描かれたエッセイ集。2016出版、書き下ろし。
p78、家を修繕してあげると『家』が喜んでいる、とは共感
。p79は85歳で亡くなった親類の「あつこおばちゃん」の身体の衰えや死への覚悟を超えて伝わってきた「勇気の光」「もう最後だ。よし、笑顔で別れよう、絶対にこの貴重な会っている時間を、元気だったあっこおばちゃんの姿だけで終わらせてやる。なにがなんでも元気と愛情だけを示してみせる。その強い力で私と姉とを抱きしめていることだけが残っていた。」強い。自分の事だけ並べ立てて子供を困らせる高齢者に読んでほしい!あ、もともとこんな本読まないか、自分の事に夢中なんだもんね、困らせ組は。
p84、『今はまだ執行猶予だ。子どもはまだ家に住んでいる。まだまだいっしょに暮らせるし、言葉も交わせる。夫も元気で家の中を動き回っている。でもいつかほんとうにひとりになるときが来る。自分が先に去っても、彼が先でも、そのときにこの家にあの子はもういないだろうし、死ぬときはだれだってひとりきりだ。未来の自分はまだ全然見えない。未来の自分はまた、ある瞬間に「その幸せに気づきなよ」と伝えてくれるだろうか?ほんとうの静けさの中に身を置いたとき、そのときの私が両手にいっぱいの果実を抱えているかどうかは、今、この一瞬をちゃんと生きているかどうかにかかっている。』どれもこの年齢になると心にずしん。


「科学者が解く『老人』のウソ」 武田邦彦 産経新聞出版社 ¥1300+税
さんまさんの番組「ホンマでっかTV』で知った方だが専攻は資源工学とは。閉経後の女性は人のお世話をすることで生き延びる。特に遺伝的に近い人や親しい人ほど延命効果が高いようだ(p26~27)人生を100年と捉えて生物学的に家庭を築き上げる50歳とその後は第二の人生と思えば老後はない、と言い切ってるところが痛快。50過ぎたら今までやってた趣味も仕事と思え、という発想も面白い。TVで拝見していてもいつもポジティブな武田さんの真意ここにあり、という感じ。


「すばらしい日々」 よしもとばなな 幻冬舎 ¥1300+税
ワンタイトルに一枚写真という大人の絵本的エッセイ集。ダブルケアという言葉があるが、子育て期と両親の死を見つめなければならなかったばななさんの心象を繊細に描いている。2016発行の「イヤシノウタ」と2013発行の本作では「イヤシ」の度合いが違うようだ。「時は薬」を感じる一冊」


「氷獄」 海堂尊 角川書店 ¥1600+税
2019、7の初版であり、初出は野生時代2015~である。あー、ついに出してしまったバチスタシリーズのスピンオフ。朝ドラのスピンオフは面白いのに本となると安心感はあっても微妙なのは恩田さんの「祝祭と予感」にも似て。しかも2011も使われてるし。それでも当時の配役をググるほど面白い作品になったのはさすが。


「嗤う淑女」 中山七里 実業之日本社 ¥1600+税
以前本友のSさんから借りた名作「さよならドビュッシー」依頼の七里さん作品である。実智留の哄笑が聞こえるよううな完全犯罪小説は不幸な少女の成長ストーリーとしてもむしろ痛快。


「あの夏、二人のルカ」 誉田哲也 角川書店 ¥1500+税
誉田さんて意外とタイトルロマンチックにするのよねぇ、と思いながら借り。そのくせ結構残酷な内容だったりするから侮れずタイトル。でも本作は表紙通り本田さんお得意の双璧の一つ女子高生青春物、面白くないはずがない。剣道ではなくバンドだけどね。


「トリニティ」 窪美澄 新潮社 ¥1700+税
娘からは別の作品をお薦めされたがいつになっても出てこないので予習と思って借り。タイトル解説が巻頭にあり、「三重、三組、三つの、theをつけると三位一体とのこと」タイトル通り時代の先端を走った若きライター、イラストレーターと関わる出版社OL三人の話であり、母娘三代ライターの話でもあり、育ての母、生みの母とイラストレーター三人の話でもあり、三人の発掘者となった奈帆ちゃん、働くママ、出版社OLだったおばあちゃんの関係であり、と言った「3人」の関係が複雑に絡み合って飽きない一冊。イラストレーターののモデルは大橋歩さんかな?と思って読んだら参考文献が完全にビンゴ!


「フーガはユーガ」 伊坂幸太郎 実業之日本社 ¥1400+税
絵本の様な可愛らしいタイトルでお得意の社会の最小単位である家族を原点にする双子のサバイバルを描く。社会問題にもなっている虐待されて育った子供が正しく生きる姿にラストは涙の物語。文頭の虐待シーンの描き方は主人公は多重人格?と思ったが双子だったのでした。不思議なルールに助けられ、正しく成人していく双子だが、p264『怒りが頭を満たす。が同時に、「何も挽回はできない」と冷静に気づく自分もいた。何をやろうと、あの子は帰ってこない。僕たちをずっと踏み躙ってきたあの男が、事故で死んだところで、人生が戻ってこなかったのと同じだ。』という文中の「あの子」は自分の子供時代へ通じるようで哀しい。サバイバルできた皆さんが幸せになっているのが救いかな?


「花々」 原田マハ 宝島社 ¥1200+税
「カフーを待ちわびて」劇の様なタイトルのデビュー作はラブストーリーと言うので最初に画家物から入った私は敬遠していたが、「花々」を読んだらデビュー作も読みたくなった。キュレーターとしての経歴を生かした作品を追ってきたが、最初に入った関西学院大学日本文学科の方を考えれば「カフー」もありだったのだ!「花々」は「カフー」に出てくる人たちのサイドストーリー的短編集。与那喜島で幸せ、いい知らせ、という意味の犬の名前、本州なら、果報って言葉なのかも、と思った(そしてカフーを読んでそれが正解だった嬉しさ!)。静かに日本の南の島々を味わえる一冊


「いる いない みらい」 窪美澄 角川書店 ¥1400+税
「トリニティ」を借りたばかりだが、こちらの本が娘お薦めの最新刊。年末に借りられラッキー。というのも12月18日に借りたのだが、年末休館がはさまるので返却が1月5日で良いのだ!と言うことで年末に来る娘も読める。出産したばかりの娘も言っていたが本書は子供を持たない女性たちの(男性も一遍あるが)短編集。どの女性もさまざまな理由で一人の、またはパートナーとの人生を考えてゆく。それぞれタイトルが可愛いのだが、唯一男性が主人公の「ほおずきを鳴らす」は赤ちゃんが亡くなったことで離婚してしまった話だが、子供の命日だけは食事をする二人の赤ちゃんの墓が南房総にある、というのを読み(p162)、今年の台風19号大変だったろうな、と現実的なことを思った。第一話の夫婦が仲直りで食べるメロンパン屋のオーナー夫妻がラストで物語を紡ぐが、自分たちのパンが人々の心を明るく照らす光になれば良い、という文章に昔泉在住時代に通った夫婦のパン屋さんを思い出した。人口減少を憂える秋田でもおいしいパン屋さんはずっと健在だからやはりパンの力ってすごいんだ。スーパーに負けるな街のお米屋さん!


「三人寄れば無礼講」 清水ミチコ 中央公論社 ¥1600+税結構図書館で借りてる婦人公論連載の鼎談の書籍化。2017、4~2018、9までの分。先日読んでた窪さんの「トリニティ」ではないが清水さんもあとがきで言っているように三人、というバランスの良さが会話に弾みと広がりを生んで◎清水さんのおっしゃる通り、対だと緊張感が増すシーンもあるが鼎だとパワーバランスがうまく分散されるからかも。


「インディペンデンスデイ」 原田マハ PHP研究所 ¥1500+税
リレー風の短編が24!豪華である。タイトルは独立記念日、という意味でそのタイトルの作品もあり。一編目のキャストが3年たってラストを彩る。3年たった菜摘が父の死をのりこえ、ケンちゃんと結婚すると決めて思う。p365「私たちはこうしてひとりひとりつながっているんだ。ゆるやかなつながりの中で、はればれと凛々しく独立していくんだ。それぞれの人生に潔く向かい合うために。」若者に送りたい名言ですなぁ。


「アノ二ム」 原田マハ 角川書店 ¥1500+税
コロナが流行してもまだ香港は迷走しているのだろうか?世界の注目が移れば変わっているのだろうか?訴えや対話でなく力の行使に変化した香港。が、香港が舞台の本作では無事収束、高校生の英才君ものびやかに大学生活を送っており、読後爽やかでドキドキできるルパン三世的な作品。ここまでお膳立てしたジェットの温かな視線を感じるラストも素敵。


「ランウェイ ☆ ビート」 原田マハ 宝島社 ¥923
卒論ですか?と思わノごめんなさいれるほどの続き読み。久しぶりにアップテンポ、ハッピーエンドの青春物で一気読み。原田作品には画家物から入ったからついつい後回しにしてたけど、「カフーを待ちながら」はもともと宝島社主催の日本ラブストーリー大賞の一回目受賞作。本作もそういえば登場人物それぞれのラブストーリーでもある。なんと言ってもキラッキラのビート(美糸という名前なのだが)が良いし、あー、このパワー高1ならでは!と思う青春がまぶしい。


「ノーマンズランド」 誉田哲也 光文社 ¥1600+税
秋田にいたときは店頭に新刊が出ても文庫になるまで我慢してたから2017初版でも初見でごめんなさい、の久しぶりの姫川シリーズ。しかもオールスター出演だからこの厚さでも一気読み。「ジウ」などで中国との緊迫を描いてはいたが」ついに本書は北朝鮮拉致問題だからアンタッチャブル感ありすぎ。どうしても高村薫の名作「神の火」の哀しさを思い出して比べてしまうが、本作は被害者の長い苦しみをベースに新登場人物の検事武見が今後絡んでいくのかも妄想の一冊。


「カフーを待ちわびて」 原田マハ 宝島社 ¥1400+税

ついに読んでしまいました!2005年第一回日本ラブストーリー大賞受賞作にしてデビュー作。p15でカフーは果報の意味もある、と書いてあるのも嬉し。思った通り南の島を舞台にした豊かで静かな暮らしの中で育まれるミステリアスなラブストーリーはデビュー作とは言えないほどの完成度の高い秀作。正月をはさんで娘家族が集まると去年から犬二匹も家族に増えてのケージご持参での放し飼い。犬の方も時には疲れて何も食べずにひたすら眠る、という日も一日くらいありますが、わが家に来ると一番早起きでご飯担当なのは私と認識して早朝のトイレには起こしに来る賢さにこちらも愛が募ります。p276『カフーは明るい茶色の目で、じっと明青を見つめ返してくる。澄んだ目には、ただ明青だけを信じて生きる強さがあった。』を実感した正月。


「翼をください」 原田マハ 毎日新聞社 ¥1900+税
461ページの大作だが登場人物と空を飛んでいるうちに一気にラスト間違いなし。長い時の流れをものともせずに現代につなげる原田さんの筆力、デビュー3年でこの壮大な物語を紡げる原田さんの才能に感動の一冊。ミステリアスな史実をロマンに昇華させる小説の力を堪能した一冊。原田作品にあまりにもはまってたら、沖縄が、海外が私を呼んでる気になれる。早く収束コロナ、だね。


「切れない糸」 坂木司 創元社 ¥1800+税
引きこもり探偵シリーズは読んでないけれど「和菓子のアン」で知って以来坂木さんは店物もしくは職人物の心を描くのがうまいなー、とつくづく思う。加えるなら本作は新卒男子が同じ商店街で働くことになって、という友情&成長物語だから面白くないはずがないのだ。「糸」とは個人商店ならではの濃密な人間関係「縁」の事だと気づくのに時間は要らない。


「僕と先生」 坂木司 双葉社 ¥1600+税
この人の作品はどれもテレビ化されそうなキャラ立てだなぁ、と言うのが続けて読んでの結論。事件すれすれの日常のささやかなミステリーを中一の僕と家庭教師の大学一年男子がひもとく読みやすい短編集


「シンデレラ・ティース」 坂木司 光文社 ¥1500+税
やはり私は坂木さんのお仕事系ちょっぴり日常ミステリー好きだわー、と思いつつ今回は歯医者さんで起こる患者さんのはてな?と受付バイトデビュー咲ちゃんの恋をからめて爽やかにまとめた一冊。


「幸せになっちゃ、おしまい」 平安寿子 マガジンハウス ¥1300+
図書館を利用するようになったこの二年、ずっとずっと探してました。誰かが返却するのを待ってました。それが2月12日、ふとエッセイコーナーをのぞいたらあったんですねー!真っ赤な表紙のこの本が!ですから読み終わるのがもったいないようなエッセイ集。もちろん返却までに二度読み。2008~2009Hanako連載だったらしいから対象は20~30代女子かな?それでもここで今後自分はおばさん小説に力を入れる(p195)と宣言している通り介護の話を書くようにもなっているから作品への思いを理解しつつ新しい平さんを知った感じの一冊。


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