RUMIKOの読書日記

2011年
カウンター設置 2003/02/11

 

12月8日(木)

久しぶりに日曜出勤したので今日はきちんと休み。なんか嬉しい。友達にビデオテープ(懐かしい!)からDVDにダビングしてもらった双子のミニバス時代の映像を見ながら入力。一心に走る子供達の姿がいいですねぇ・・・

「君の望む死に方」 
石持浅海 講談社文庫 ¥636
この結末はどうなるの〜?と思いながらラストを迎えてしまったわくわくの一冊。女子達がそれぞれに良い雰囲気を醸し出していた。余命いくばくもない社長が昔犯した過ちを償うために被害者の息子に自分を殺させたい、という展開を社長の立場、犯人になるであろう息子の立場で描いてゆくがラストで結論が保留されているからさて?という余韻を残す一冊。石持同好会?のヘルパーさんに読んで読んで、という感じで即貸しの一冊。


「月の扉」
石持浅海 光文社文庫 ¥590
下手すりゃ古本で売られていたかも、の2003年の作品。ごめんなさい、8年も気づかなくて・・・と思ってしまった良品。しかも舞台が沖縄ならこれもあり、と思われる美しい空気感漂う一冊。カリスマとハイジャックと殺人って豪華な設定。「君の望む死に方」でもこの人これから探偵役で出そうじゃん、と思う若い女の子が賢く事件を分析していくが、本作でも座間味君という若者が明るくとばっちりを蹴飛ばして?想定外の殺人事件を解いてゆく。彼もまた他の作品でも活躍しそうな予感。悲しい結末だが座間味君が救いになっているのかも。

11月17日(木)

「桐畑家の縁談」
中島京子 集英社文庫 ¥476
家族小説、かと思いきや、解説で「これは主人公露子さんの就活であり、婚活である」とあり、確かに妹の結婚を契機に動いてくる露子さんの近辺、という意味では解説が正しい。
それにしても今までだったら「小説=他人事」と距離を置いて読んでいたが、今回露子さん27歳ってうちの子と同じ歳じゃん、と思った瞬間から切迫。そう27歳にもなると事件や業績でテレビに出る人たちをちょっと自分にひきつけて見てしまう親心。加害者、被害者ともに親は同じ歳だろうな、とか思うし。
妹と並んでいたはずの人生のレールがいつの間にか離れてしまい、p50「あたしは中途半端に幸せに生きちゃった分、現実を獲得する能力みたいなもんが欠けてる」と考える露子さん。解説でもこの部分を指摘し、「二人の大きな差は『 選択』をしてきたかこないかである」という指摘はおそらく正しい。人生は(それがたとえ賢い選択でなかった、としても)選択の連続で前に進めるからだ。


「マドンナ」
奥田英朗 講談社文庫 ¥590
実は奥田作品をせっせと読んでいて「邪魔」の下巻も途中。ただ今回は埼玉往復があり、こまちでは本書とDr.クロワッサン「100歳までボケないための101のレシピ」を読んでいた。昔風なくくりでいえば山口瞳のサラリーマン小説(短編集だし)といったところだろうか。一作目の表題作はオチがありがちだなぁ、と思ってしまいそのままの印象で読み進んだのだが考えればサラリーマンが主人公で毎日がドラマチックだったら変か・・・と現実に目覚めて読み進めていくとあらまぁ、奥田さん、女性が前に出てくると面白いじゃあ〜りませんか。
「総務は女房」で妻が2週間ドイツに行きたい、と言ったとき反射的にNOと言ってしまい、その理由がp161「だって・・・その間飯とか洗濯とか、どうするんだよ。」と言った夫に修羅場か?と思いつつ妻が「じゃあわたしは、この先ずっと海外旅行に行けないわけだ」(中略)「自分ばっかり好きなように家を空けて、世界を股にかけるビジネスマン気取りで、それでいて女房は家にいろって?(中略)あなたは2ヶ月だって平気で空けてたじゃない」って論理的に迫る場面、世の中の妻はよく言った!その通り!と快哉だろうなぁ・・・かくいう私も娘に「お母さんはきっと海外行きたいって言って行けないで終わると思う」と馬鹿にされてるし(涙)このまま妻独壇場のラストにもつれ込むスピード感は伊良部シリーズに似ている。
そして女子的に?秀作は「ボス」(ってこんなドラマもありましたね)こんな職場環境はやはりいいんじゃね?と思うが。読んだ方の感想はいかに?


「邪魔」(上下)
奥田英朗 講談社文庫 ¥629
Dr.伊良部のスキのない?(全体が面白すぎ、という意味です)ユーモアを楽しんだ読者には散漫な印象を受けるかもしれない。企業・暴力団・警察とありがちパターンのやりとりを結構色々な人間関係から描きつつ家族の切なさを加えられている一冊。つくづくサラリーマンはつらいよ、と思わせられる。さてタイトルの「邪魔」はどこから?途中妻が「私邪魔?」と夫に聞いてはいるが。それを考えながら読むと面白いかも。

10月16日(日)

「平成大家族」
中島京子 集英社文庫 ¥524
集英社文庫が3冊続いた。カバー裏の解説を借りるなら、三十路の引きこもり長男、90歳過ぎた姑(妻の母の家の敷地に家を建てているのでここで言う姑とは男の側から見た姑である)と暮らす緋田夫婦に、破産した長女一家3人、離婚した次女+おなかの子が戻ってきて・・・というお話。解説でもあるが住環境に恵まれているから出来ることだ。確かに不動産を握っているお年よりは強い。一見非現実的だが、住居が広く、年寄りの年金が若い世代の賃金より高くなれば戸建て率の高い秋田では起こりうる、いや実は起こっている未来だ。
p118で要介護になるコツは「「できる」と言わずに「できない」と言うことだ、とは至言だ。例「補助杖を使えば歩けます」ではなく「杖がないと歩けない」同じ体調でも確かになんか違う気がするもの。
昭和の大家族と違うのはラストp314の解説「一昔前の大家族なら家長が一番偉く、彼が何でも知っていたものだ。情報はすべて一ヶ所に集められ、その情報を整理して的確な判断を下すのが家長だった。つまり情報を持っているものが一番なのだ。ところが龍太郎は・・・」も確かにと思わせられる。ヒッキー克郎が結婚への一歩を踏み出しめでたし、といったところか。いや、そこが一番非現実的(ありえねぇ〜)なんだけど。


「死者の学園祭」
赤川次郎 角川文庫 ¥476
何故今赤川次郎?伊坂幸太郎さんお薦めだから。そして出版当時はほとんど読んでないんですね、彼の作品達。改めて読むと時代に負けない作品でさすが。元祖女子高校生探偵小説だそうで。


「マリオネットの罠」
赤川次郎 文春文庫 ¥581
そしてこれもまた伊坂さんお薦めの一冊だから。そして今まで住みませんでした、これもすごーく、いやこれのほうが更に面白怖く読み応えある一冊だったのでした。「死者・・・」が長編第一作だがデビュー後初の長編はこちら、とのこと。どちらも今読んでも古びていないのがすごい。三毛猫ホームズがあまりに有名になっていて今まで読まずにすみませんと言う感じを抱いた一冊。


「熊の敷石」
堀江敏幸 講談社文庫 ¥495
180頁そこそこを読み切るのに何故10月まで引っ張ったの?と思うが、おそらくフランスが舞台と文章展開の不条理さに圧倒されてしまったから。同じ不条理さでも文体の持つアンニュイ感と案山子さんが出てくる伊坂さんの「おはなし」的不条理さとは違う気がする。でも、じゃあどちらが芥川賞?と問われればこちら、と言う結論なのか本作で受賞。じゃあどんな内容?と問われると、うーん?ちなみにタイトルはラ・フォンテーヌの寓話でハエを追ってやろうとして友人の老人の頭に石を投げて老人の頭を割ってしまう、というところから、いらぬおせっかい、無知な友人ほど危険なものはない、とのたとえをじゃあ果たして現在持ちうる若者がいるんだろうか?

9月8日(木)

「『おじさん』的思考」
内田樹 角川文庫 ¥552
文庫で買ってごめんね、と思ったほどの価値ある一冊を『おばさん』である50代が読んで良いのか?と思うが、大人になる、又は大人であるための思考態度が描かれている。特に夏目漱石解読は自分が中学時代に読んだときに?だった部分、きっと今読めば読めばこう味わえるんだ!と思うほど読み応えある。今回の震災でもホリエモン語録「想定外」という言葉があちこちで言われたが、「虞美人草」を引用しながらp208『未来は予測不能である』ことを腹に入れておいたほうが『予測不能』の事態に遭遇したときに生き延びるチャンスが高い(中略)『私』はできるだけ固定せずに未来に向けて半開きにしておいた方がいい。」(ああでなければ、とか自分を縛らず柔軟にってことね)として宗近くんを肯定している。更にp221で「青年にとって一番大事なことは、『何を知っているか』『なにができるか』ではなく、未来に対して、他者に対して、どれほど開放的に、愉快に応接する用意が出来ているかである」とまとめている。確かに昨今得意分野に対してはマシンガンのようにまくし立て、興味ないことには耳ピタで人間関係をうまく結べない人多いからね。


「きのうの世界」上下
恩田陸 講談社文庫 ¥429
劇やエッセイのほうにスライドしてて少しご無沙汰という感のある待望の作品。帯に、ようこそ、ここは、塔と水路の町、とあるが私にとっては、ようこそ久しぶりの恩田陸、という感じ。この2冊は今までの恩田ワールドの集大成、という感じの登場人物や場面設定で皆に受け入れられるような非常に完成度の高い作品だと思う。「エンドゲーム」ではすこし破綻感も感じられたから。定番と言う言葉がぴったりのお薦めしたいミステリー作となった。


「逢はなくも あやし」
坂東真砂子 集英社文庫 ¥429
文庫のための書き下ろしって珍しい。この世とあの世との魂の交流が、奈良、畝傍、藤原京となれば万葉集のせかいともつながってありうる気がするからさすが坂東力。書き下ろし、とあるとおり早々と東日本大震災も話題になっていてそれもまた驚き。


「真夜中のマーチ」
奥田英朗 集英社文庫 ¥571
奇しくも恩田陸さんの本と同額¥571、読み応えなら恩田さんだったがエンタ性ならこちらも負けていません。
どちらもうまいとしか言いようのない皆さんに回覧したい作品。でかいヤマです、と思いながらワクワクと読み進め続編も出来るぞと思わせるラスト。きっとTV化されるに違いない。

8月20日(土)

「日本海から希望が見える」
沼田憲男 情報センター出版局 ¥820
人口減少、高齢化が今の日本だが、視点を変えて東京でなく大坂を中心にしてみたら日本海側が中国などへの貿易経済拠点となる、という意見。橋下知事のもと大阪周辺の府県が広域連合を設立したが、日本海側も東京ばかり向かず別の道を探そう、と強調する一冊。明日の秋田につながればいいですね。


「外科医 須磨久善」
海堂尊 講談社文庫 ¥448
価値ある¥448である。そして超一流の心臓外科医でありながら子供への働きかけを通して確固たるスタイルを確立している姿がさすがである。天才はひとつ所に収まらない、を地で行くような一冊。p202「子供は大人に自分の未来を投影する。大人が明確な未来像を呈示できなければ、子供は迷子になってしまう。(中略)自分が『いいな』と思えるモデルが見つからない不幸な時代、それが現代だ。」


「チヨコ」
宮部みゆき 光文社文庫 ¥476
ホラー&ファンタジー短編集だそうだがホラーの部分はあまり感じられないのはこちらが年を重ねてきたからかしら?宮部さんは長編がいいのかも。一番長い「聖痕」が面白かったから。

7月21日(木)

「日曜日たち」
吉田修一 講談社文庫 ¥448
短編集ながらすべてに登場している小学生がキーポイントとなって大きなひとつのものがたりになっており、ラストの短編「日曜日たち」に出てきた少年達の今を読んで涙が出そうな感動に誘われる一冊。一つ一つに短編を味わいながら無意識に二人の少年を追っている自分に気づく一冊。


「子どもは判ってくれない」 内田樹 文春文庫 ¥629
前半とにかくとっつきやすい書き方で上手に内田ワールドに連れて行ってくれ、後半気づくとヘビーな内容、夏休みにゆっくり読んで、という一冊。「自分らしさ」を選ぶことすら考えられなかったちょっと昔の日本を思えばp91「『自分らしさ』を探せる日本は平和である。」と言い切る。又、p138で自ら子育てをした経験から「家事育児のハードさから父性『愛』という幻想に浸ることで(この子が可愛いから育児大変じゃないもんね、と言うことと思ってくださいbyRUMIKO)イラつくことなく過ごせた」というところは確かに子育てにおける『母性愛』幻想もひとつの救いになっている。p140「(母性愛だけでなく困難な場面では)幻想にすがって問題を片付ける方が生き延びるうえで有利=役に立つ」と言うのも説得力ある。ちょっと古いが「ゴマちゃんの博愛がため」ですね。ただ、p91に通じるがあまり平和でのんびりしているので「しゃきっと」するため戦争待望論が出ていることについてもちろん愚かなことだと書きながらp321「戦時中にノイローゼの人はいない、重篤な精神病患者でさえ、死期が近づくと正気に返る。生態が危機のときに、メンタルな問題で悩んでいられるほど人間はタフな生物ではない」は確かに、である。


「さよなら渓谷」
吉田修一 新潮文庫 ¥400
帯の説明が秋田で起こった幼児殺害事件ぽいな、と思って買ったらビンゴで解説にその話があった。吉田さん早すぎ。解説の柳町氏は(大ヒットの「悪人」や「パレード」よりもかよ?と思うが)本作が一番映画を感じる、というが、確かに自然の美しさ、わかりやすい人物構成は映画化しやすそうだがさすがにまだ生々しいだろう。新聞記者の取材で次第に隣家夫妻の奇妙で歪な関係にシフトが移り、作品が一気に人間の業を感じさせるラストにつながってゆく力はさすが。

7月14日(木)

「アイルランドの薔薇」
石持浅海 光文社文庫 ¥552
「本は友を呼ぶ」のRUMIKO語録通り?最初は4月16日アップの石持作品「Rのつく月には気をつけよう」を貸したことから始まる。この本ヒットで4名に回覧。4番目に借りたAさんがご主人にもお薦めして読んでもらったことから同じ作者の本書をなんとお会いしたことも無いのにご主人から借り、という嬉しいエピソード付きの一冊である。確かに「R・・・」も面白かったがいやはやこれも素晴らしい一冊である。ミステリーを味わえる久しぶりの一冊。もちろんAさんにお願いして我が夫にもお薦めまた貸しさせていただいている一冊となった。たぶん私的には石持さんのキャラ立てが好きなのかも。最初に読んだ「人柱・・・」も似た感じのキャラだったし。


「こっちへお入り」
平安寿子 祥伝社文庫 ¥619
落語が好きっていうとなんか洒脱な大人の雰囲気。だがこれは33歳独身OLが友人の影響で落語のサークルに入り、発表会などをこなしながらどんどんのめりゆくさまを平さんらしい軽妙さで描いた一冊。どうしてもいらいらしがちな自分が落語の世界を演じることでp281「どんなことも見方を変えれば、笑い話になる」と発見したことで確かに主人公江利はひと皮むけた。恋人との関係も然り。


「瑠璃でもなく玻璃でもなく」
唯川恵 集英社文庫 ¥630
娘が買ってぴんと来なかったというのはたぶん経験則の問題かも。でも主人公の年齢(不倫、略奪愛の話、と書くと平板になるが)が娘と同じような年齢なので呼んでいて微妙。解説の初めにあったとおり帯にある「恋愛は不安との戦いであり、結婚は不満との戦いである」とはソクラテスのそうに至言(笑)途中までは略奪愛の26歳美月憎し、離婚を呑んだ英利子さんに同情的だったが、いつのまにか自分の力で輝いていく姿にエールを送っていた。ま、一番ちゃっかりお得は二人にモテのマザコン朔也とどさくさ同居を勝ち取った姑じゃん、と思って読み。美月の同僚で、合コンで相手を射とめ、子育て後の仕事も見据えているマリのせりふp73「女は、負けの恋愛をしちゃいけないと思う」が作品のスパイスになっていると思う。これに続けて「負けの恋愛をすると、何でも我慢する癖がついちゃうの。そういうのって卑屈になるだけだよ。」と不倫中の美月にやんわりと言って大きな一歩を歩ませるきっかけを作ってくれる。おぉ、私も自分が今26歳で友人が不倫とかしていたら言ってやりたいせりふだぞ。ラストで美月が結婚と言う形にゴールしたことで守られる存在になっていた自分が出産を経て子を守る自分、守るべきものの自分の姿に気づく様子も味わい深い一冊である。解説でタイトルを解釈しているが「光を浴びて輝く宝石でなく」がタイトルでその後「自分で輝け」と作者がエールを送っているのでは、と言う解説もいいですねぇ。

6月26日(日)

「冠婚葬祭」
中島京子 ちくま文庫 ¥580
ほう・・・と感心しながら一気読みできた短編集。去年直木賞をもらっているが、受賞作「ちいさいおうち」他の作品も読んでみたくなったほどの佳作。冠では成人式を巡る事件、婚では結婚相手紹介の老女の様子、葬はちょっぴり「まほろ」な感じ、祭ではお盆を描いている。特に面白かったのが、婚の「あの方とこの方」で沢山のカップルを結びつけた主人公の鋭い視点がいい。p76「『決められない』人はだめ。お見合いは恋愛じゃないの。だからなにもかも即断即決しなくちゃならないの」って至言。お見合いに対する心構えよね〜、と感心。だって会ったその晩には進めるかやめるかは間に立ってくれた人に決意表明しなくてはいけないものだからね。p88(夫の仏壇事を毎朝することで)「それが日常であり、人生であるわけで、言ってみれば、亡き夫の「不在の豊かさ」と共に、彼女は暮らしている。」姿が何ともいい。また、結婚に関する見方p128「結婚してもしなくても、人は、年をとれば一人になる確率が高いんですよね。年をとったときに、自分を支えてくれるのは、誰かといるかどうかじゃなくて、それまでどう生きてきたか、なんじゃないか」はシビアだが正しい意見かもしれない。仕事柄その生き方で人がつくかつかないかの現実を見ているもの。


「老いを生きる暮らしの知恵」
南和子 ちくま文庫 ¥660
帯に70代になって見えてきた具体的な40の提案、一日でも長く今の生活を維持するには?とあり2009年末に母に購入したのを借り。だが読み終わって80台で独居、細々と家事を頑張る母には合わない内容だったなぁ・・・と思う。だって南さんは立位、歩行に支障をきたしていてせいぜいやれるのは朝の支度、今の暮らしを維持するには家事を夫にやってもらう、ホーム入居の道を選んでの著書だから。それでも70代の身体の状態、しかも朝ほど筋肉が強張っている様子は勉強になる。

6月21日(火)

「放課後はミステリーとともに」
東川篤哉 実業之日本社 ¥1500
霧ヶ峰涼という(エアコンのような?)さわやかな名前と「僕」という呼称でてっきり男子高校生と思って読み進めそこからだまされている私。高校を舞台にしたミステリアスな短編集は読みやすく、売れているのもわかる一冊。


「赤朽葉家の伝説」
桜庭一樹 創元推理文庫 ¥800
千里眼を持つ、という祖母を持つ孫娘の視点で描いた女三代の物語。とは言うもののその力を持った万葉はもし今も生きていれば十分に生きられる68歳という設定。33歳で他界してしまった孫娘瞳子の母毛毬でさえ生きていれば今年45歳だ私より年下じゃん。もちろんその娘だから瞳子だって今年就職、ぐらいの23歳だし。昔物語のようなタイトルながらとても現代なので逆に驚き。でも昭和ってすでに昔ってことなんだよね。タイトルがおどろおどろしくて読まず嫌いしていたが、実は見返しにあるとおり「ようこそ、ビューティフルワールドへ」というのがぴったりの良作。でも見逃すわけだわ、2005年に恩田陸「蒲公英草紙」読んでるんだもの。そうです「遠目」を描いた恩田さんの作品に似ていたんです。でもこれはこれで自分に近い時代を味わうために楽しく読めた一冊でおすすめ。絶対皆さんに貸し出しだわ。そうそう、個性的、魔力的(魅力的とはまた違うかも)なヒロイン達だけど一番のパワーの源は千里眼にして山の民(山陰ではフィリピン系ということになっているけどたぶんこちら東北ではちょっと違った描き方になるかも。なんたって高橋克彦さんは空から来た、とまで作品で書いてますから)を嫁にと選んだタツさんかな・・・ファミリーに影響を与えるゴッドマザーって存在、いまや憧れ。画像化するなら豊寿のイメージある俳優さんは見つけ。だがヒロイン達がうーん、難しい・・・

5月29日(日)

「まほろ駅前番外地」
三浦しおん 文藝春秋 ¥1500
4月2日付の日記で借りた「まほろ駅前多田便利軒」に続き友人のSさんに借り。前作顧客達の+αの物語である。
p125、施設に入所している認知症の親の面会代行という仕事で息子の代わりに訪れた菊子おばあさんのロマンスを通して、男2人女1人の三角関係と女2人男1人の三角関係では、男2人のほうが女がさっさと現実的に決めるので決着がつきやすい、と断じる呆けたはずの菊子さん、侮れず。
また、バス停見張りこだわりの資産家岡さんの奥さんも初登場。p148、「岡夫人は便利屋だという男を見上げ、『おや』と思った。穏やかそうだが、どことなく倦んだ眼差しをしている。雪の結晶を連想した。微麗に砕かれるのを待つかのように、諦めごと凍りついた目だ。無骨な外見とは裏腹に、男の内部では多くの線と角が繊細な模様を織りなしているにちがいない。」という部分を読んで秋田では公開されていないけど映画化される便利屋多田役の瑛太がどんぴしゃりで浮かんできた。


「美の呪力」
岡田太郎 新潮文庫 ¥590
去年NHKのドラマにもなった岡本太郎。美とは祭祀の場から発生したもの、だからこそ生命力あふれていることが本分だ、と熱く訴える一冊。岡本の特長となる赤、パワフルなタッチの秘密が伝わってくる。あやとりさえも呪術の世界のとば口、というのが新鮮だった。


「殺意は必ず三度ある」
東川篤哉 実業之日本社 ¥819
今年度本屋大賞「謎解きはディナーのあとで」の作者。これまた伊坂同好会Sさんより借り。代わりにお貸ししたのは伊坂さんの「あるキング」震災後仙台在住の伊坂さんどうしてるだろう?貸してくれたSさん曰く「コミック仕立てのミステリー」その通りあっという間に読みきりの楽しい一冊。読みやすさで支持、わかるわぁ!

5月8日(日)

「妻と罰」
土屋憲二 文春文庫 ¥448
タイトルの割りに妻を恐れてはいてもこき使われている様子はあまり伺えないが、どこの夫婦でも退職後の在宅夫の話は結構話のネタになりやすいのでは。ただこのネタたいがい妻のグチが多いが夫側から書いているので注目かも。それでも今回はがははと笑うより、少し言葉遊び的、論理遊び的な部分が多い一冊。


「極北クレイマー」上下
海堂尊 朝日文庫 ¥480
経営破たんした夕張がモデルとは下巻で明かされるが、そこに至るまでの私立病院に赴任した今中医師の奮闘ぶりをテンポ良く描いた作品。今までなんども他の作品で極北市の面々が話されていたので待ってました、という文庫化。姫宮さんが久々に登場。相変わらず天延、だけどキレ者で素敵。このあとの作品にふくらむ予感。

4月16日(土)

「Rのつく月には気をつけよう」
石持浅海 祥伝社文庫 ¥571
帯に「どの作品も間違いナシ」とあるが、酒と食とちょっぴりの謎解き(色恋沙汰が多い)で楽しめる短編集。ラストで3人の登場人物の2人がカップル誕生!となるのだが、私はすっかりだまされて読み進んでおりうれしいどんでん返しを味わうことに。何度もフルネームで出ているのに先行イメージの隙間を狙われた感じでかえって大きな面白さをいただいた感じ。ただし聡明な読者の方ほどこのびっくりは味わえないんだろうなぁ、と一人満足のラスト。


「シンメトリー」
誉田哲也 光文社文庫
「ストロベリーナイト」姫川シリーズの短編集である。解説で「リーダビリティ」(文章の読みやすさ)について語られている通り、誉田さんの文章の読みやすさとまとまりの良さが楽しめるおすすめの一冊。


「武士道セブンティーン」
誉田哲也 文春文庫 ¥629
結構凄絶な事件の描写が多い誉田氏の青春三部作。海堂尊ぼ「ひかりの剣」の女子版、みたいな。おそらく「エイティーン」では18歳になった二人の高校生活の集大成、ということでまとまってゆくのだろう。17歳、というだけで青春、と=になるほどだから、青春真っ只中の二人が別々の学校になって剣道の道に打ち込む姿がさわやかな一冊。

4月2日(土)

「まほろ駅前多田便利軒」
三浦しをん 文春文庫 ¥543
「風が強く吹いている」作者であることは知っていたが、本作で2006年に直木賞をもらったときは読もうとしなかった。「映画化が決まり文庫本の表紙が変わった途端買った!」という友人のSさん(伊坂同好会?会員でもある)から借り。しんみりと力強い一冊である。この本から伝わる強さは、ちょうど解説で書かれている通り(p349)『「歩み寄り」や「癒し」が効かない領域というのが人生の中には確実にある、が「幸福の再生」もまたできる』、と考える点なのだと思う。親子の関係でもp196『愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうのだ』と母親が言う場面にも強いものを感じる。


「春を嫌いになった理由」
誉田哲也 光文社文庫 ¥648
この人の作品はラストで上手にいろいろな場面を収束しつつ、実は最初にかなり重要な複線がぽつんと置かれている、という形が多い。だからラストで感心するとまた最初のほうをパラ読みして納得、という2度味わえるお得感がある。TV局を舞台にしたサイコホラーエンタ。アメリカから招かれた透視能力者エステラがp76で認知療法のような名言を吐くところは皆へのエールだ。『あなたは何か失敗すると、自分が駄目な人間のように思い込む癖があるのではないのかしら。(中略)誰にでも、1つくらいは、失敗しても進むべき道があるはずなの。(中略)でもそういう道を見つける前に、失敗や敗北を怖がるだけの人間になるのは」、とても愚かなことだわ。心を解放して、失敗や敗北は呑み込んでしまうの。そうなったら人間は強いわ。負けを負けとして認めないんだから、あとは勝つしかないでしょう。

3月17日(木)

ひとつ年を取りました。その週末に未曾有の大地震。誕生日がすごく昔に思えるほどこの一週間は緊張して暮らしています。省エネが叫ばれる中でのパソコン利用は気がひけますがストーブ消しているから許して。寒いけど結構頑張れるものです。職場でも廊下やトイレなど高齢者に危険のない程度に節電してます。それでも寒い冬に向かうより暖かい季節になることだけが救いです。ほんの少しの幸運で命あった者達が出来ることはたぶん精一杯今日を生きること。

「3652」
伊坂幸太郎 新潮社 ¥1300
伊坂同好会秋田県支部(会員2名)?のSさんより借りたが、買いたいくらい興味深い一冊。驚きは伊坂君ってペンネームだったこと!そしていきなりp17で登場するお父さんの描写がそのまま伊坂作品で描かれる「正しい父親」像であること。p233でも表紙に使われている三谷龍二さんの作品(新潮社のすべての伊坂作品の表紙に使われているそうです)に対する伊坂君の評価「優しいけど強いし、かわいいけどタフ、とか、地味で平凡な世界の中に、見たことのない物語が浮かび上がってくる、というところが自分が目指すところと同じ」という指摘も納得。そして私が伊坂作品を好きなのもこの姿勢がかつて卒論にするほど傾倒した遠藤周作の作品姿勢につながっているからなのかもなぁ・・・・と思い。


「自分の品格」

渡部昇一 三笠書房 ¥571
「国家」「女性」と読み続けたので細分化された「自分」も読んでみようかと。ポジティブに人生をとらえ、物事を投げ出さず時勢に敏感であること、伝記でなりたいイメージを明確にしていくことで品格は磨かれる、とある。努力なくして・・・ということですね。歴史上の人物や戦争時の指揮官など具体的モデルもわかりやすく使っている。「出来ない」理由を探さずに「やるための意義」を探せとはポジティブ思考に大切なことかもしれませんね。

2月26日(土)

本が本を呼ぶ、という言葉がぴったりの最近、続々と借りた本が集まってきて読んでる最中からそちらに移ったりして充実の2月でした。

「月光」
誉田哲也 徳間文庫 ¥667
「ストロベリーナイト」以来のご愛読。だがこれまで2冊と違い刑事が主役ではなく、妹が姉の死の真相を探るうちに自らも癒しにつながるをテーマに、亡き姉や関係を持った男たちの視点が描かれる。姉の死後再生して行く妹の姿がピアノ曲「月光」でラストを迎える。今の月9に繋がる部分もあり。どうやっておとしまえつけるんじゃ、みたいな・・・


「あなたが認知症になったから。あなたが認知症にならなかったら」
越智須美子・俊二 中央法規 ¥1600
「昨年11月の日記にアップした「私の看護ノート」に続いてK主任より借り。去年職場10周年記念講演会にいらしてくれた方の手記であり映画「明日の記憶」の原作である。2004年京都で行われた「国際アルツハイマー病協会国際会議」でご本人が講演した原稿も併載、ということで共著の形になっている。(ちなみに国際会議といえば1月にアップした「パーソン」・センタード・ケア」の本もこの会議での事例発表である)講演なさったご主人のタイトルは「もう一度、働きたい」57歳の頃のことである。それから5年、本の最後では要介護5になっていてほとんど特養入所状態、とのこと。47歳で発症して10年在宅で頑張ったが夜の徘徊、感情の爆発など若く頑丈な男性相手では対応する奥様も大変だったことだろう。デイケアで絵や陶芸に没頭する姿が映画同様ひとときの救いのように描かれている。今入っている利用者さんも昔スーツを仕立てるほどの洋裁の話を嬉しそうにするが、その力を使える場所があれば良いのに、と訪問でその話をされるたびに思うことである。巻末で障害年金や他の家族の暮らし、受け入れ施設への訴えは今も変わらない課題である。


「買えない味」
平松洋子 ちくま文庫 ¥680
この方の食に関するエッセイがなんか暮らしを大切にしていてすきであり、うらやましいです。お金では買えない味、と言い切る作者の後ろには「ものより思い出」という車のCMのキャッチコピー(ちなみに私は「そうだ、京都行こう」の次に好きなCMコピーです)につながる心があるような気がする。

2月11日(金)

「えびす聖子」
高橋克彦 文春文庫 ¥724
「アテルイ(火怨)」以来、おっ、これも舞台になりそう、と思われる「古事記」こじきをベースにしたロードムービー作品。そしてもちろんダイナミックヒストリーと思うのは「竜の柩」系の『地球外生命体は地中に潜む、地下帝国、空を飛ぶ、水棲である』ことなどを盛り込みながら一気にラストへ!舞台になりそう、って思うってことは人物のエッジが立ってるってことなんだろう。


「ハリーポッターと死の秘宝(上下)
JKローリング 松岡佑子訳 静山社 各¥3800
今さら、の感があるかもしれないが最終なのでやはり読まないと・・・なだけに3人の冒険も苦難続き。とくにハーマイオニーがぼろぼろで気の毒なほど。多くの悲しい犠牲を払いながらのヴォルデモードとの最終総力戦の中で最後一人立ち上がるハリーが輝きを持って描かれる。映画ではあるのかわからないかけど、ありがちなラストがかえって子供たちに安心感を与えるので、と私は好感だった。

1月26日(水)

「パーソン・センタード・ケア」
スー・ベンソン トム・キッドウッド編 稲谷ふみえ・石崎淳一訳 かもがわ出版 ¥1500
先日このテーマで事例発表させていただいたら、な、な、なんと最上司がこの本を片手に「木村さん,この本まだ読んでなかったら貸すから皆さんで読んで」と貸してくださった!
13人の認知症の方のケア実践報告でとても読みやすかった。そして帯にあった「きみに読む13の物語」という言葉はまさに私たちが利用者さんに対するときの心構えだな、と思う。やはりその人の背景を知ることがその人を主体とした介護につながると思うから。
p66(エンシーア・イーネス著)でもG夫人との関わりのところで「その人を知ることが、現在の行動(たとえ問題行動と思われても)の手がかりとなる」と言っている。トータルで支える、という視点ではp82(ジャッキー・プール著)フレッドのケースでの作業療法アシスタントの力でやりたいことを見つけ、社会集団に参加、同p84役割を持つ重要性、p99(デビー・クリスティン著)のルビーのケースで問題行動に対してリフレーミング(違う視点で見直すこと)の部分が勉強になった。所々に惹かれた所持者の方の赤線に目をとめながら、ポイントは個別化と柔軟さだな、とつくづく思った。


「ソウルケイジ」
誉田哲也 光文社 ¥686
「ストロべりーナイト」を貸してくれた友人にこれも併せて借り。登場人物が同じだからよ。快楽殺人の「ストロベリー・ナイト」もセンセーショナルだったが、今回のテーマは本書でも繰り返されているように「父性」の保険金詐欺だから残虐だがしんみりとした読後感。命を賭して守る、は読む者の心を打つ一冊になった。

1月15日(土)

「マリアビートル」
伊坂幸太郎 角川書店 ¥1600
「グラスホッパー」の続編とも言える。今回の「マリアビートル」とは「天道虫」のことである。不運な?殺し屋七尾を天道虫になぞらえ(七というところもナナホシテントウ、ってことらしい)、てんとう虫が皆の悲しみを背負って飛び立つ(p436)という姿が可憐。タフな親像を見せ、「長く生きることは未来を見られる」と言い切って中学生の巨悪「王子」に立ち向かう木村父が良い。「鈴木」「槿」が再登場でスパイシー。そりゃあこれは問題作と言われてしまうかもしれないけど、東北新幹線を早速使いうまく収束させてゆく巧みさは仙台在住伊坂君らしくてますます好感の一冊。里帰りエンタ、ですね。


「伊坂幸太郎」
文藝別冊 河出書房新社 ¥1200
自称伊坂同好会秋田支部(私を含めて会員2名、わはは)のSさんより借り。この10年で20冊出している伊坂作品を思いつめたように味わう私たち。読んでないのは「モダンタイムス」と「鴨とアヒルのコインロッカー」だった。作品裏話やキーワードで解説を試みた他に巻末の全作品相関図がわかりやすくなっていて最高。伊坂ファン必携の一冊。


「ストロベリーナイト」
誉田哲也 光文社文庫 ¥667
ドラマ化時友人とはまり、さらに「文庫シリーズも購入してしまった」友人より借り。竹内結子ちゃん、西島君、桐谷君、武田鉄矢のキャスティングは覚えていたけど、読み直すともっと真剣にキャスティング覚えていたらなぁ、と後悔しきり。犯人役の林遣都君と女の子もぴったりだった(ゴメンナサイ、名前ど忘れして)。解説の人も同じようにキャスティングしていたけど殺される部下の大塚役(桐谷君のところ)と犯人北見を妻夫木君とオダジョーのどちらをやっても、というところは少し年齢に無理があるが豪華すぎるキャスティングだわぁ、と思いながら満足。ネット社会の怖さを体感する一冊。


1999年の日記 2000年の日記 2001年の日記 2002年の日記 2003年の日記
2004年の日記 2005年の日記 2006年の日記 2007年の日記 2008年の日記
2009年の日記 2010年の日記 2011年の日記 2012年の日記 2013年の日記
2014年の日記 2015年の日記 2016年の日記 2017年の日記