RUMIKOの読書日記

2021年
カウンター設置 2003/02/11

 

9月7日(火)

「氷獄」 海堂尊 角川文庫 ¥720+税
日高正義弁護士のなりたての頃関わった、バチスタ、毒物混入、医療ミスを多層的に描いた一冊。相変わらず田口、白鳥氏は絡みながら、さらりと登場する彦根の今後の活躍に期待。3人殺した、と言い切る氷室に毒舌白鳥氏は3食出す税金だってもったいないからちゃっちゃと死刑に、と言い張るが、なんと!死刑判決後の移送先は2011仙台!そして3.11が訪れる。氷室の生きてるってことが天の答え、というワードがかなり深い。

9月6日(月)

「かがみの孤城」 上下 辻村深月 ポプラ文庫 ¥780+税
本屋大賞受賞、100万部突破!とはいえ、主人公は中学生だし、上下巻だし、と躊躇していた。上巻は確かにさまざまな理由で学校に行けなくなった中学生が特別な空間で出会い、関係を深めていく物語だった。しかし、子どもたちが自分たちの存在の不思議を解明してゆく後半のラストで大きな輪が完成し、私たちを嬉しい感動へと導く大作。


「ハグとナガラ」 原田マハ 文春文庫 ¥570+税
コロナで旅がしにくい今にあちこちに掲載した短編をまとめたもの。6月27日に読んだ「さいはての彼女」の中の一作もかぶってます。実際にも学友との旅の思い出をエッセイに書いてるマハさんだが、本作品集は共に要介護の母を抱えつつの張りつめた日常からのひとときを切り取ってる。そうそう、そういうときこそ日常をちょっと離れて旅に出たいんだよね~、と大いに共感。


「#9」 原田マハ 宝島文庫 \476+税
あれ、この文庫お安くないですか?と思いながら才能あふれる女性ののシンデレラストーリーを味わえる一冊。激しい美術コレクションへの情熱とハイソな恋、その後の深い愛が上海を舞台に繰り広げられる。こんな状況は普通の女子には起こらないと思いつつも一気読みの一冊。


「an・anの嘘」 酒井順子 マガジンハウス ¥800+税
1970創刊から2016年2000号を迎えた「an・an」への総括をエッセイストの酒井順子さんが紐解く。とんがってたファッション誌が時代の流れに沿って生き方、暮らし方の提案する雑誌へと迷走、いや変貌する歴史を味わえる。話題の都度手に取ってはいた「an・an」ではあるが自分の年齢が上がるとともに次第に「クロワッサン」派になってしまった今の私は暮らしというものの現実に気付いたせいか?

6月30日(水)

「女の子は明日も」 飛鳥井千砂 幻冬舎 ¥1500
いやー、自分が夢中で走って来ちゃったから気づかなかったけど、今の30代前半女子の心境、体調なんだろうなー、と思うと繊細かつリアルに描かれていて切実。やはり女子4人の友情を描いた「あまからカルテット」は立場が違うけど、これは4人が結婚はしているけどそのおかげで?(せいで、とは同じ女として言いたくはない)立ち位置が変わっている物語。「どうして私より先に、あなたが〝それ”を持っていく?」という帯のセリフが迫る。


「さいはての彼女」 原田マハ 角川文庫 ¥520
母が亡くなり葬儀や事務手続きの連絡先を全てスマホにしたのに落として破損、慌ててコロナ怖いよ、の大宮ビックカメラに走り選ぶどころではなくとにかくすぐ電話使えるように、と機種変。その手続き中の待ち時間に行ったそごう三省堂には珍しく何冊も原田さんの文庫があり購入の中の一冊。「ハグ」と「ナガラ」に先立つ一編と北海道が舞台の2編の中に出てくる凪ちゃんのお母さんが主役の4編で構成。どれも読後感にほろり&希望、という名作。短編集とは侮れぬ佳品集。


「モネのあしあと」 原田マハ 幻冬舎文庫 ¥550
一週間もたたないうちにマハさんの同じ作品を読むとは。ちなみに同じ本を買ってしまったわけではなく、6月23日「さいはての彼女」「モネのあしあと」のあとに読み始めた「ハグとナガラ」に「さいはて・・・」の一作が所収されていたから。本作の感想が後になってしまったが本作はモネの足跡を丁寧に辿りながらご自分のモネ愛、画家愛も披露して好感。ついでにパリにもおうちを持っていらっしゃるマハさん、去年のコロナ禍の時にはパリ在住だったらしく封鎖の様子を描いてるのもリアル。憧れます、パリ、軽井沢?蓼科?、東京3拠点生活。

6月2日(木) 

「本日は大安なり」 辻村深月 角川文庫 ¥640+税
挙式を控えた4組が抱えるそれぞれの秘密とウエディングプランナー多香子の成長をからませ巧みに描いたエンタメミステリー。娘から借りたが自分は「かがみの孤城」実は買ってます。


「ボーダレス」 誉田哲也 光文社文庫 ¥720+税
表紙ですでに光TVオリジナルドラマ3月配信予定の青春ミステリー、とあってそれぞれ坂のアイドルが写ってたら若い子達買うよねー、と思いつつ読み。亡くなってしまった竹内結子ちゃんが誉田作品で演じてた名作姫川玲子シリーズに続く新しい女性警官奈緒ちゃん誕生の布石か?とまで深読み。誉田さんの青春物はスプラッタな事件物とは一線を画し、どのヒロインも小さく一歩を踏み出す光が描かれていてどれも爽やかな読後感。

3月10日(水)

「れんげ荘」 群ようこ ハルキ文庫 ¥533
年明けてから3月下旬までの緊急事態宣言にまたしても図書館が閉館。いつ行っても密になんかなった事ないのに困ったもんだ。でもストイックな去年とは違い今年からは雑誌購入で対抗。併せて夕方の再放送朝ドラが村岡花子さんの「花子とアン」になったので赤毛のアンと村岡訳モンゴメリー作品を読み返していたが、ついに!娘がくれた文庫本の最後の一冊を読んでしまった!そしてしまった!今の状況でこれを読むのはきつい、息苦しさから始まった。高収入と華やかな暮らしを捨て、10万円で暮らす、と仕事も辞め、題名のアパートに住み始める女性が主人公。だが、では「凪のおいとま」ですか?と言うとそうじゃなくて主人公は45歳。むしろマンション買ってバリバリ、が世の流れ的な年齢だし、仮に自分の45歳頃を比べると結婚して子供は高校生、主人公の友人マユちゃんの立場だ、と思うとヒロインの煩悶はちと幼く見える?それでも今読んじゃいけない、と言うのは2年を過ぎた閉塞的な母との同居。高齢だから夫と別居してまで実家で支えているのに本作を読むとまんま若い時の母がヒロインのお母さんとして君臨し続けていて、p220「家庭内母子断絶」という言葉がぴったり。加えて更にエキセントリックな姑に対し義妹が感じていたp209「子供のとき、母の兄と自分の扱いに違いがあるのはわかっていた」まで哀しい。それでも少しずつ近隣の人との関係が築かれ、ほのぼのとした結末にひと安心。


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