RUMIKOの読書日記

2016年
カウンター設置 2003/02/11

 

12月24日(土)

メリークリスマス、でも秋田に雪はありません。ありがたや。このまま夜に降らなければ明日のコミセン雪寄せは中止、まっすぐヨガに行けるけど。

「夢を与える」 綿矢りさ 河出文庫 ¥590+税
うーむ・・・新聞書評のお勧めで買ったがこの一年の芸能界の解散、結婚、薬などなどの現実を見てると現実の方がもっとハラドキなので読後感としてはむしろさらっと。ま、芥川賞受賞後第一作だったし。赤ちゃんの頃から芸能界と言う大人の世界にいた夕子が初めて自分の意志で見つけた居場所の彼が夕子の将来の扉を閉じることになる。でもむしろ長い芸歴、と言われても年齢を考えたらこれからの人生の方がずっと長いんだけどね。


「燃えつきるまで」 唯川恵 幻冬舎文庫 ¥533+税
なんか女性作家の本をたーくさん義妹が貸してくれた。見事に持ってるものとかぶらず、本は人なり、を実感。これからはしばらくこの本たちを読むことに。うーむ、ここでも婚約破棄されたOLが登場。ただし31歳。前回日記の「太陽のパスタ、豆のスープ」に続く。珍しく破棄物が続くのって偶然?「太陽・・・」の方は20代だし(失恋と違い婚約破棄となると結構年齢重要)周囲に支えてくれる個性的でいい登場人物がいるが、本作は30代だし、仕事的にもチーフだし、なかなか別れを他人に話せず壊れていくヒロインのお決まり再生物語ではある。若い子がこれを読んだら一緒に共感できるだろうが、親の世代の私が読むと「くよくよなんかする時間ないからちゃっちゃと次に行っちゃいな」なんて無茶苦茶シビアな言い方をしてしまいそう。でも人生立ち止まるより進む事だったり、振った男より幸せになれ、だの思ってしまうのはそれだけタフになってるってことか?果たして女子としてそれはいいことなのか?振った理由もなんかあいまいだし、こんな男もういいんじゃね?と言ってやりたい親心。

11月29日(火)

本日強風とわずかながら積雪、なんか本格的な感じが来てます。雪国の皆さんさすがに冬タイヤに交換してますよね?あれ、今月書き込んでないの?一冊しか読んでない?と思ったら単に書き忘れ。ということで3冊。

「太陽のパスタ、豆のスープ」 宮下奈都 集英社文庫 ¥500+税
突如婚約破棄されたヒロイン明日羽が再生する中で仕事や暮らしに自分の立ち位置を取り戻していくお話。20代OLしながら自宅通勤で貯めた結婚資金200万円を手に一人暮らしを始め、姉のように距離感の近い叔母ロッカ(六花)さんの勧めで「やりたいことリスト」を作ってみたけど幼馴染の紹介で訪れたエステサロンでは(しかもこれもやりたいことの一つだったのに)「『やりたいことロスト』って結局今まで自分がやれてないことの証明じゃないかしら?」と言われて更に深く自分の生き方を問い直してゆく一冊。脇を固める人々のキャラも際立っていてすぐテレビドラマ化されそうな(今やってる『逃げ恥』のキャラにも似てたりして)。アラ還でも買えてない(って私だけ?)高級鍋ル・クルーゼで作る日々の料理で体の中からもエネチャージ。p266「こうありたいと願うことこそが私をつくっていく。」ことに気づく事が大切なんです。


「疾風ロンド」 東野圭吾 実業之日本社文庫 ¥648+税
「白銀ジャック」同様雪山を舞台にしたミステリー。しかも更に娯楽性が増しており、なんとただいま映画で公開中。阿部寛、大倉君、大島ちゃん他。阿部ちゃんはエベレストを舞台にした映画でも主役をしており、東野作品と言えば阿部ちゃんだし、ということでパトロール役でも上司の顔色をうかがうとほほな研究員でもどちらでもやれそう。と思って初日に見に行ったらもちろん年齢的にも研究員の方でした。しかも初日一本目は舞台挨拶の中継付きでラッキーな一冊となりました。


「果つる底なき」 池井戸潤 講談社文庫 ¥660+税
ひとつの銀行内でこれだけ人が死んでも(殺されても)いいの?と思いつつ読了。しかもその原因は小説やドラマにありがちな企業間の黒い闇だが今回直接手を下すのがプロの殺し屋となればたとえ初出が1998年、新人ながら江戸川乱歩賞を受賞した作品だとしても古さを感じないので映像化されそうなドキハラ作品。もうされてるかも。その頃に読書日記始めたんだ・・・と一人感慨。ブレイクしたのは皆さんの記憶には新しいが「空飛ぶタイヤ」以来ファンの池井戸さんを今も注目できて嬉しい。驚きは主人公と良い感じの菜緒ちゃんがまだ大学院生ということ。なんか読んでるともっと大人っぽいなぁ・・・・ま、個人的に好きな若者番組「日本のジレンマ」の出演者達も皆さんしっかりしていて同年代のはずの娘達よりしっかり大人に見える私だから・・・

10月26日(水)

やっと今月は2回書き込めました。やはり好きな作家さんのは集中できるのかしら?

「夜の国のクーパー」 伊坂幸太郎 創元推理文庫 ¥780+税
あとがきで本人曰く、(たぶん)10作目となる書き下ろし長編、2年半の著作期間を経ての本作、そして加えて曰く『どうせ小説を読むのであれば、聞いたこともないような「とんでもないホラ話」がいい。しかも、現実社会とどこか地続きのものがいい』とのことで、ずばり、本書を読み終えて思う事は「ガリバー旅行記」。「グラスホッパー」系のようにまたしても鈴木的なまきこまれ型主人公が出た~、という印象。本人の目指した「ホラ話」を「大人の童話」と解釈すると、明るめの恩田陸さんワールドだな、と思う。創元推理文庫の中では異色な小説かもしれないが楽しんで読める年末とかお勧めの一冊。


「Qrosの女」 誉田哲也 講談社文庫+税
スプラッタな殺人も泥臭い刑事の追跡も出てきません。が、本作では確実にネットで壊される人生、リークを執拗に追う芸能記者が謎のCM美女を巡ってストーリーをっ引っ張ります。うーん、あの企業かな?たぶんあの芸能事務所だな?などと頭の中で置き換え読み。TV大好き私にとっては「あ、この人誰?」とか「この人きっとこれから売れる!」とかの妄想CMチェックは欠かせないからすごく共感できる一冊。

10月5日(水)

「ドンナ ビアンカ」 誉田哲也 新潮文庫 ¥670+税
誉田さんの作品は残忍なシーンもあるが加害者の背景には哀しいものが多い。本作は犯人の背景の哀しさはそのままに読後ほんのり心温まる作品に仕上がっていて万人受けしやすい長編となっている。ドラマ化もされた「ドルチェ」のヒロイン刑事魚住久江が持ち味を発揮して事件の解決に迫る。なんかタイトルもロマンチック、と意味を想像しつつ読了の一冊。ちなみに夫は今さらながら誉田さんにはまり、既に貸したり売ったりした誉田作品文庫を全て買い揃えているからすごいよ。


「アクアマリンの神殿」 海堂尊 角川文庫 ¥760+税
今さら「ジウ」や「武士道・・・」集めてる夫を横目にしつつ、これを読んだら「モルフェウス・・・」再読欲がむらむら、何処に行ったの?モルフェウス・・・貸してるのは確かだから買うのは悔しいモルフェウス・・・図書館に行こうかな?とまで思うほどの一冊に仕上がっている。このところ大好きな作家さん達の文庫化が増えているので夫と競い合うようにドはまってる伊坂・誉田・海堂氏。本書は前述したとおり「モルフェウス・・・」の前の「ナイチンゲール・・・」から続く患者であり主人公にもなるアツシの「目覚め」後の成長物語。そして誉田氏お得意の高校生時代の物語。すっかり偉くなってしまった田口センセもラストで登場するのを懐かしがりつつ、Aiに関してはぶれない海堂作品を楽しんで味わえるお勧めの一冊。

9月8日(木)

「仇敵」 池井戸潤 実業之日本社 ¥593+税
エリート銀行員が悪と戦ううちに出世していくストーリーではない。悪を正す社内闘争に敗れ、正義でありながら片隅に追いやられた恋窪が若い行員と協力して自ら戦ってきた巨悪も粉砕していくストーリー。いつもながら構内の専門用語を平易に描いてくれて読みやすい。2003年に書かれていたのねー、と反省しつつ読むおすすめの一冊。


「死神の浮力」 伊坂幸太郎 文春文庫 ¥780+税
「死神の精度」の長編版。変わらず飄々とした千葉が登場。娘を殺された作家の元に現れる、ということは・・・娘を殺したサイコパスへの復讐を企てる山之辺夫妻は奇妙な千葉の出現を機に日常を取り戻してゆく姿を時にハラハラ、時にユーモラスに描く。音楽大好き千葉の姿は伊坂君の今までの作品に通じる。

8月18日(木)

一ヶ月のご無沙汰ですがお盆埼玉で「村上海賊の娘」4巻を読みました。

「ランクAの病院の愉悦」 海堂尊 新潮文庫 \490+税
帯にある本人のあとがき引用で「ここに書かれた物語はフィクションだが絵空事ではない。」というところが本作の説明になっていると思う。ユーモラスだがちょっぴりブラックな医療短編集。ただなつかしいのは東日本大震災と思しき舞台にドクターヘリ&救急救命医の速水氏がナイスタイミングで登場する作品が「バチスタ」を彷彿して良かった。


「村上海賊の娘」1~4 和田竜 新潮文庫 1,2巻¥590+税 3,4巻¥630+税
木津川合戦不勉強のため歴史背景をきちんと理解してないまま全4巻に挑んだから敵味方、人物のつながりがわからなくてしまった~、という感じであっという間に読了。それでも景の熱い気持ちのままに突っ走る姿が読者をぐいぐいひきつけること請け合いの4巻。泉州侍の眞鍋一族達が中場利一の「岸和田少年愚連隊」系を思い出すような勢いだ。あぁ、むしろ泉州侍が彼らのルーツだったか!と思い至っておかしい。

7月21日(木))

「増山超能力師事務所」 誉田哲也 文春文庫 ¥640+税
出ましたね!新境地!と言うより今までの犯罪的なほどの多重人格&初期の超能力の作品との融合した作品。事務所員がそれぞれ主人公となる短編群なので時系列を整理するのも脳トレだが、個性的な人物設定で面白い一冊。これはシリーズになりそうだなぁ、と楽しみに読み。


「八月の六日間」 北村薫 角川文庫 ¥640+税
山と出合ったことで日常の閉塞感から立ち直ってゆく主人公のそれぞれの登山の様子を各月毎に「〇〇月の△△日間」(×山に登るのに費やした日数)として旅日記風につづった作品。映画化企画進行中と帯にあるが、映像化されるとなると山ガールと美しい自然は背景になってしまって恋の顛末の方に描写が割かれるかなぁ、もしかすると主人公とか若く設定されたりして、とか考えながら読み。山好きの夫に買ってみたが、いざ自分が読むと単独行が多いし、装備的にも体力的にも危険が一杯で(というより、もうここまで登るのか!という驚きでいっぱい)むしろ登山が不安になる一冊。でもたためるユニクロダウンは必要ね、と考えたりして。
孫を持って共感したのはp303中島敦が死ぬ一年前に子供に宛てた手紙に対して「わたしには、中島の、子に向ける目には、自分という存在が消えた後も、この世にあってくれるものへの思いがあるように思える。人は、無限のときの一瞬を生きる。自分だけでは、およそ何事もなし得ない。だが後から同じ道を歩いてくれる人がいる。それは大きな―慰めとはいわない。それ以上の救いだ。」と言う部分。

6月23日(木)

駆け込み書き込みででなんとか今月は2回書き込むことが出来ました。今回はハウツー系になってしまった感ありです。

「考え方のコツ」 松浦弥太郎 朝日文庫 ¥580+税
今朝ドラヒロインが関係してくる「暮らしの手帖」の現編集長松浦氏の豊かで丁寧な生き方の極意をひも解く一冊。彼の「コツ」系の本は今までにも読んでいるけどあえて自分の時間を作る柔らかな意志に感心。意志と言ってもゆるやかだからかえって反感を買わないのかも。だってマイペースを貫く」、「ってことはそれを支える(従う)周囲の人もいるはずだからね。「仕事術」に続いて手に取ったらどこからでも読んで参考になる一冊。

「親の計らい」曽野綾子 扶桑社文庫 ¥680+税
曽野さんの本は「太郎物語」が好きだったが本書はやはりこの作品の部分も引用されている。子供との関係作りに役立つのでは、と期待しつつふらふらと購入。この年で今さら子育て?の私より若者が読んで将来の子育ての参考に、という目論見の本なのかも。思春期以降の親子関係にも参考になる一冊。子供に関する考え方(自分的には子供は社会の預かり物、という意識で子育てしてきたつもり)が似ているので共感の一冊。

6月6日(月)

今回は法事埼玉のこまちで溜め読。新緑の山々を仰ぎながらのこまちは空気まで気持ちいい東北の季節を実感。そして法事後の熱海泊。往年の名所貫一お宮の銅像と松は周辺が整備され散策の観光客でいい感じ。そこで初めてジャガランダという紫の花の咲いた木立に遭遇。葉はねむの木っぽい独特の葉だが紫と言う所が珍しい。

「生きるぼくら」 原田マハ 徳間文庫 ¥690+税
共にマハさんファンになった本友Sさんより借り。ドラマ化された「ナポレオンの村」(実話である「ローマ法王に米を食べさせた男」、神子原米を一躍世界に売り出した高野城鮮さん)から続き、農業女子を描いた誉田哲也さんの異色作「幸せの条件」からつながる農業男子の物語。世の中は若者を農業へ、と言う流れになっているのかと思うほどのブーム。だってこれもマハさんにしては異色作と言えるから。実際に増えているのか?マハさんらしく読みやすくまとめられた一冊。自然の持つ力を若者の奮闘と対比させて描いている。昔なら当たり前だった自然との共生(なんて言葉も昔はなかったほど自然と共に生きてたし)や(認知症になった)老人との暮らしも、じゃあ今の若い人がやれるか?と言われればそれを押し付ける権利は我々世代にはないな~、とも思いつつ読み。


「京都ぎらい」 井上章一 朝日選書 ¥760
売れてる話題作を夫が購入。私達から見れば同じ京都の人、と思うが、嵯峨出身の作家が洛中京都人の中華思想を語りつつ京都の歴史を学べる一冊。でも下々の私には読むほどに「いやぁ、いたし方ございません」とひれ伏してしまう京都人の歴史の奥深さ。いけずじゃございません、文化なんです、きっと。嫌いと謳いながら京を歴史ごと愛する著者同様、私達も京都大好きでございます。たとえ田舎者とそしられようと行けるならやはり行きたい京都なんです。

5月17日(火)

前回の日記からすぐ姪の結婚式で娘達5人来秋、その後GWは私が埼玉入りしてまた娘家族と遊び・・・遊び真っ盛りの孫の外遊びとまかないに追われた嬉しい怒涛週間でした。2番目の孫は今回人生初花火も体験。5月なのにもう売ってる関東もさすがです。売ってればやります。今年から朝6時半には夫を見送って夜7時過ぎまで静かな暮らしが始まった身には、喧騒の中であっという間に一日が過ぎるのってすごく新鮮。彼らのためにも健康で筋肉つけておかないと、と実感したGWでした。

「あなたが愛した記憶」 誉田哲也 集英社文庫 ¥640
いやー、最近読んだ「幸せの条件」の農業女子を楽しんだかと思いきや、ぐるりと方向を変えた、しかし彼の得意分野でもある久々のサスペンスホラーを堪能できる一冊。ちょっぴり種を明かせばよく言われる「赤ちゃんは2歳ごろまでは前世の記憶を持ってる」を発展させれば本書になるのかな?孫が生まれてから「生物は遺伝子の舟」をつくづく実感するようになった私には興味深い一冊。子供を生んだときは子育てに追われてそんなことを考える余裕さえなかったのに。いや、多分子育て以上にその頃は死が遠かったが子育てが一段落すると死にも対面する事が増えてきたからかもしれない。そして未来、その遺伝子医学の結果を推察するのはもう一人の好きな作家に任せよう。


「噂の女」 奥田英朗 新潮文庫 ¥630
女の間では目立たないけど男受けは良いって女はどこにもいつの時代にもいるもんだと言う作品。帯にある「毒婦」という昔めいた言葉だが、主人公は実は27歳。ラストで主人公の短大時代の友人たちは保険金殺人容疑のヒロインに対してp392「こんなときになんやけど、わたし、糸井さん尊敬するわ。(中略)」「平凡な結婚をして子供二人産んで、小さな建売住宅を買って、家事と育児とローンに追われて、田舎の女はそういう人生の船にしか乗れんやん。でも糸井さんは、女の細腕で自分の舟を漕ぎ出し、大海原を航行しとるんやもん。金持ちの愛人を一人殺すぐらい、女には正当防衛やと思う。」とまで言う。正当防衛云々はともかく、現代版「黒革の手帖」ですかね。美幸はほとんど出てこず、周囲の人たちの気持ちと辛味を書いていてどろどろではない面白さを堪能できる一冊。

4月21日(木)

「境遇」 湊かなえ 双葉文庫 ¥630+税
30年近くのつきあいになるママ友Mさんより借り。当時ママ友なる言葉は無かったが、人の縁とは不思議なもの。だってママ友と言いつつ幼稚園における子供の学年は違うんですから。園で作っていたこめつがなる発行物の担当委員という縁で今まで。時には同じ場所で働き、時には同じジムに通い、そして細々と続けた旅行積み立て・・・海外に行く前に海外が危険に・・・(涙)おっと、つい個人的な話を・・・あとがきによると2011年テレ朝60周年の記念ドラマの脚本、とのことで解説者の方同様読んだ印象は「告白」に似ている、だ。犯人(とここで呼んで良いのかは?)は早くから察しがつくと思うが、そこに至るまでの流れが友情の美しさを彩っていて感動を呼ぶに違いない一冊。


「永遠をさがしに」 原田マハ 河出文庫 ¥600+税
原田さんの魅力を教えてくれた本友Sさんより借り。今回奇しくも2冊とも友人から借りた本感想と言う事で張るという出会いの季節柄本当に友のありがたさを感じる。感謝と言う言葉は友にあり。原田さんというと絵画が題材、というイメージだがこちらはすぐTV化、もしくは映画化されそうな音楽が題材のガールズ小説。ただちょっと配役の顔がうまくイメージできないんだよね。やっぱり青春=恋と違って配役は難しい。世界的な指揮者の娘でお手伝いさんもいるお嬢様のヒロインもいいが、真弓さん、かっこええなぁ。強くて。クライマックスでは在宅で亡くなった義祖母さんの最期の微笑を思い出してきゅん。でもそういう思い出は良いもんだ。

4月5日(水)

「隅の風景」 恩田陸 新潮文庫 ¥520+税
前回読書日記「猫と針」に続く新潮社からの文庫である。恩田ファンなら必ず読みたい旅先でのエピソード。彼女の筆力のおかげでチェコが行きたい国の一つになったのも大きいぞ。p34でチェコのプラハの駅に降り立ちながらふと思い浮かべたカフカについて『先日、辻原登さんのエッセイを読んでいたら、面白いことが書いてあった。『変身』は「四十九日」の物語である、というのである』成仏までの四十九日とか、彼岸とか、恩田さんの好む世界だなぁ、と感心しつつ読み。恩田さんは『変身』は依存だと思う、とのこと。また、p46周辺の郡上八幡も恩田さんの好きな水路の街、こちらならいつか私も行けるかも、と思いつつ味わう。ファンにとって嬉しいのはp214からの作品と舞台になった土地との説明である。「幽霊もUFOも見たことはないが、土地の力、場所の力は信じている」って私もいつも友人とのメールのやりとりで言ってたことじゃん、と大いに共感。「夜ピク」が水戸だと思っていたが「六番目」もなのか、と驚いたり、ご実家のアル仙台は今や伊坂君に任せるなどなど嬉しいコーナー。


「さきちゃんたちの夜」 よしもとばなな 新潮文庫 ¥490+税
新潮文庫が三冊!頑張ってるぞ!しばらく不思議ワールドに行ってた観の作風にちょっと距離を取ってたよしもとさんだったが、ご本人もあとがきでこれを期に10年ほど休筆、学びの時期に入る、とのことで記念碑的な短編集。そしてどれも地に足がついてきた作品でじんとくる。執筆中に父である隆明さんが亡くなったことも人の成長の中で(大人に成長というのも失礼だが)影響あるのだろうか?ばななさんも一番好きだという「鬼っ子」が私も一番好きで励まされる作品。作品に流れるp63『誰にも認められない仕事だけど、人として大きな仕事だったんだよ。(後略)』という温かな視線に平凡な自分は大いに救われたなぁ・・・まだ四月だがこれは今年のベストに入る!あまりの感動に本友Sさんに即貸し。

3月24日(木)

「猫と針」 恩田陸 新潮文庫 ¥324
久しぶりの恩田陸さん、脚本である。タイトルの意味は不明のままで読み終えてしまったが劇ですから。高校時代の友人達、毒などなど今までの恩田さん作品にあるある設定を使っての得意な分野の脚本で一気読み。


「玉村警部補の災難」 海堂尊 宝島社文庫 ¥650
まさかこれ読んでないよな、と心配しつつ購入。バチスタシリーズで大人気、田口・白鳥名コンビに続く玉村・加納コンビのいわばバチスタスピンオフ的な一冊。と言うより桜宮シリーズと考えたほうが収まりが良いか?軽快な短編ミステリーを楽しめる一冊。30代後半なのにもう中年に見える玉村氏のイメージ俳優さんはちょっと思い浮かばなかったが、ベンツのカブリオレで暴走?なさる加納警視正様は具体的な描写のあるp140を待つでもなく天海祐希さんとの番組「ボス」に出ていた竹之内豊君が良いなぁと妄想しながら読了。

3月9日(水)

「悲しみのイレーヌ」 P・ルメートル 文春文庫 ¥860
日本では先に「その女アレックス」が出たようですが、文庫化を待ってた私にデビュー作であるこちらから読むように勧め、購入したのは夫です。さぁ、これで「その女・・・」に進めます。巨悪でもなく、西島君ほどカッコ良い主人公でもないけれど日本版「MOZU」のようですな~、と最後の方はむしろクールに結末まで持ってった感じ。そしてこの個性的な同僚像は誉田哲也的でもありますな~、などと味わいながらの一気読み。確かに殺人現場の残酷さは誉田さん的な・・・


「その女アレックス」 P・ルメートル 文春文庫 ¥860
話題作の文庫化。そしてイレーヌへの思いをちりばめながら物語りはめまぐるしく進んでいく。過去が現代に復讐ってあり。2作ともに浮かんでくるフランスのイメージは青い空ばかりでは決してなく、かつて遠藤周作が留学を経て描いたフランスの重く低い空のようである。事件の残酷さやアレックスの過去を探りつつ、今回はカミーユと部下のルイとアルマンとの関係がとてもいい。でも映画化すると・・・?イレーヌも悲しいけどアレックスも。

2月15日(月)

今回は奇しくも3冊とも学生や若者の成長譚みたいな作品です。読みながら自分の時代と重ね合わせ・・・楽しみました。

「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」 村上春樹 文春文庫 ¥730+税
いや~、意外に早く文庫化されましたな~、と思ってたら早速夫が購入。しかも早々と読了。今回は読みやすかったのかと思いながら借り。そして終わってすぐハルキストYさんに貸し。確かに読みやすい、主人公の自己再生の物語。目標の大学進学が各自の共通項だったとしても、具体的な職業意識が芽生えてなかった(のは私だけ?)私にも高校時代は守られたお祭り騒ぎだったが、いかんせん女子高だったせいかつくる君達の独特な絆やフィンランドで再会したクロがつくる君を「君」と呼ぶことに違和感。西高だったら理解できたのかも。意外に埼玉男女別学多し。進学、就職、結婚等々自ら選んだ人生の選択肢の結果二度と会わない友人て結構いるわけで、それも別の意味で断絶だと考えれば閉じた友人関係の中であまりにも依存しすぎた結果の傷とも言えるわけで。ただこう考えながら読み進めてる中で自分より娘の年齢に近いつくる君、今実際ここまで娘達の人間関係って濃密なのかな?とも思ったりして。それより最近の週刊文春のすっぱ抜き度の多さの方が下世話だが驚き。


「幸せの条件」 誉田哲也 中公文庫 ¥640+税
はい、今度は社会人とは言うもののまだひよっこですねん。いやぁ、就職はしたもののこの会社本当に私を必要としてくれてるのかなぁ、自信ないなぁ・・・と思ってる女子のお話。これからの日本の展望になってくれたらな~、と皆に読んで欲しい農業女子の物語。でももちろん誉田さんのこと、意欲に燃えて地方に移住、とかではありません。あくまでも巻き込まれ型というか、ヒロインの輪郭は「武士道」シリーズの方なのでこれまた親近感。ひょんなことから長野で農業をするはめになった梢恵に社長が「会社に必要とされてるか、じゃなくて自分に必要なことに向かって進め」と言ってくれる(p428)シーンが力強い。なんかTV化化されそうな予感。早速Sさんたちに読んでもらってドラマ化されたときのメンバーを話し合いたいくらい。主役でなくて悪いけど行人役はキムタクにやってほしーなー。


「王妃の帰還」 柚木麻子 実業之日本社 ¥556+税
いや~、これも舞台を女子高にしてドラマ化されそうですなぁ、などと考えながら一気読み。読む前から面白いと思ってました。なんせ「ランチのアッコちゃん」の著者ですから。そして読む前からSさんに面白いから読んで宣言してます。本作の登場人物は中学生。そして思い出します自分の中学時代。今ほどスクールカーストなんて無かったけど修学旅行のグループも、お弁当もトイレもつるんでましたなぁ・・・女子って。それなのに自分もそうですが結婚とともに女子は散り散り、唯一年賀状のやり取りをしていたお互い地方に嫁いだ中学時代の友人が一昨年急逝しました。何十年も会ってなかったのに本当に偶然大宮駅でばったり、新幹線待ちの一瞬だけ交わした会話、あれは天がくれた別れだったのかと思うほどその後すぐの逝去でした。還暦近くなって喪中ハガキの中に親でなく同世代を生きた人のハガキは心乱されます。さて私事はさておき、美少女王妃はどこへ着地するのか?素敵なラストにVサインです。

1月29日(金)

「ジヴェルニーの食卓」 原田マハ 集英社文庫 ¥560+税
去年はモネ展で「印象日の出」に再会する事ができた。そしたら原田さんの本作が文庫化され、本友Sさんが貸してくれた。次代を越えて愛される芸術の力ってすごい!と痛感。マティス、ピカソ、セザンヌ、モネの周囲を支えた男女が画家達の暮らしや制作の様子を温かく描く。「タンギー爺さん」が特に良かった!


「疾走」上下 重松清 角川文庫 ¥590+税
こちらはYさんより借り。「家族」という子どもの力ではどうにもできない関係の中で追い詰められ、どこまでも救いの無い日々を送り、哀しい結末を迎えてしまうシュウジの、そしてそれでも最後に故郷に戻って来てしまった若い二人、死刑囚の弟を持つ町に赴任してきた神父、アカネ、学校の友人達との関係を描いた物語。p353で「おまえは、おまえの物語を、もう充分に生きた。」という神父様の言葉は大きな赦しの言葉としてこの世界の人々を救うと思った。長生きできてる人も事情があって早世してしまった人も「自分の人生を充分に生きた」と思えれば長さは関係ないんだな、と思う。「充分に生きた」と思って死を迎えたいものですね。

1月5日(火)

明けましておめでとうございまする。何と!去年の読書日記は11月30日で終了!私とした事が・・・大抵2冊読んだところでアップするようにしていたのですが、その2冊目がなかなか読み終わらなかったんですね・・・反省。でも正月こまちで読みためましたので今回の日記には2冊以上のアップです。細々と続けている自己満足ですが今年もよろしくお願いいたしまする。

「星々の舟」 村山由佳 文春文庫 ¥590
なんともロマンチックなタイトルの本書は読書仲間Yさんより借り。亡くなった方の出棺の様子を船出にたとえたところってすごい。一つの家族のそれぞれの恋愛模様や心情を各章ごとに細やかに描いてゆくが前篇に漂う寂しさや孤独をひっそり味わえる一冊。


「庭を森のようにしたい」 銀色夏生 角川文庫 ¥552
Yさんより借り。つれづれノート13である。私にとって銀色さんはNHKみんなのうたの作詞じゃないかな?という印象があるが、今回調べてみたら宮崎出身埼大教養学部卒、なんですね。なにか意味あるのか?とつっこまれると確かに無いんでしょうけど、11月末に行った金沢で金沢大学跡地をそぞろ歩きながら、学生時代を渋谷で過ごした落ち着きの無い自分も金沢で過ごせば又違う自分になったかな?とふと思ったからで・・・銀色さんも埼玉で学生時代を送ったってことはなにかその人自身に埼玉と言う土地が何か影響あるのかな?と思った次第。そして大沢誉志幸の名曲「そして僕は途方にくれる」の作詞者でもあったんですね。今回は家を建て、造成中の庭と並行する日常を書いているが長女さんとの折り合いの悪さもやがて解決の方向が見つかる事を祈るばかり。親子関係ってこじれると長引くからね。


「どこから行っても遠い町」 川上弘美 新潮文庫 ¥514+税
町の魚屋魚春を中心に周囲数キロの人間模様を描いた短編集。なんか似たタイプを重松清で読んだような?これがもっと複雑&現実離れすると伊坂君?と考えながら読み。これもまたYさんより。どこにでもあるような、でもどこにあるかわからない、と言う意味で「遠い」町のお話なんだと思う。読んでると人間て哀しい、と思うが、小さな救いがあるからやってられるんだよな、とも思いながら読了。


「気ままな娘、わがままな母」 藤堂志津子 集英社文庫 ¥650
本友Sさんから「娘でも母でもある自分達の今にどんぴしゃ!」と強い推薦あり借り。お互い藤堂さんデビューである。彼女のこの強い推挙は原田マハさん以来。そして自分も読んで納得。Sさんは自分を娘の方になぞらえて読んだそうだが、私は両方の役になりつつ楽しく読了。自分的には巻末の香山リカさんの解説にある「支配的、過干渉な母」の元で育ったが私が60歳を目前に高齢の母のパワーはダウン。心密かに人生下克上を謳っている。当の母にはその自覚は無いみたいだけど。でも集英社の出版と言う事で女性誌連載のようなのでリカさんのおっしゃるとおり「現代的な母娘像なのが救いとなっている」のかな。新春早々皆々様におすすめの一冊。


「カレイドスコープの箱庭」 海堂尊 宝島文庫 ¥650
これで田口&白鳥最後の事件という根拠は無いままに、え~、終わっちゃうの?と思いながら帰りこまちで一気読み。もう海堂さんの手法に慣れたのか犯人は最初の登場で当てられました。あ、だから終わるのか?これまでの東城医大を巡る作品と年表も掲載、震災をまたいでの」ご本人の言葉も海堂尊という小説家が誕生してから5歳から10歳までの日記風に描かれ、これお正月にこたつでまったり読書にぴったりだったなぁ、と思った一冊。あまりにもドラマ化されてラスト近くの伊藤君、仲村君、西島君、伊原君が鮮やか過ぎるくらい小説の世界で動く動く。


1999年の日記 2000年の日記 2001年の日記 2002年の日記 2003年の日記
2004年の日記 2005年の日記 2006年の日記 2007年の日記 2008年の日記
2009年の日記 2010年の日記 2011年の日記 2012年の日記 2013年の日記
2014年の日記 2015年の日記 2016年の日記 2017年の日記