1999年

12月19日(日)
「思考のレッスン」 丸谷才一 文藝春秋 ¥1238
 この人も私たちが若い時からいたからかなりのお年なのですが,文体(今回はしゃべり口)がとても若い!!
 いかにも彼らしいフレーズは
「謎を自分の心に銘記(この言葉が丸谷よね〜)して,常になぜだろう,と問い続けることで謎を明確化,意識化することが大事。そのために自分の中に『他者』を作ってその自分に謎をつきつけてゆく」ことで丸谷さんも50年来の疑問が解けたらしい。
 これってあるよね。いつも意識の片隅においておくと或る日突然「あ〜なるほど〜」みたいな瞬間。
 そしてもうひとつのフレーズ「仮説は大胆に,あっと驚くようなものを立てるという芸術的奔放さが大事」じゃなきゃ新発見ってありえないものね・・・この芸術的奔放さって言葉もいいね〜。

「煩悩カフェ」 酒井順子 幻冬舎 ¥1400
 文体がかとさんでした。この人は「ど制服」でもおもしろいものを書いてました。
 でもどうして丸谷さんから「煩悩・・・」なんだろう?頭が奔放過ぎ?今は「サッカーという至福」を読んでますが,これはとくに書きません。趣味すぎて・・・でも天皇杯,マリノス勝ってよかったっす。

12月9日(木)
「無印結婚物語」 群ようこ ¥1,100 角川
 あ〜これあるある,の結婚話が短編で軽妙な語り口と共に展開。結婚15年の今だから笑って共感。

「半パン・デイズ」 重松清 ¥1,700 講談社
 私の本棚,図書館が休館の間に用意してくれてオープンとともに貸してくれたレアもの。重松さんでなじみがなくても,「エイジ」「ナイフ」の作者だ,と言えば大体内容はおわかりかと・・・
 でも私こういう「少年もの」も好きなんでっす!!きっと子供時代に読んだ「天使で大地はいっぱいだ」や「大地の冬の仲間たち」あたりが原点でしょう。同じ年でも夫は子供時代「勉強ばかりしてたのか?」と思うくらい子供本を読んでません。結婚してから「岩波世界児童文学全集」を買ってましたが何故?
 「アルジャーノン・・・」もとっくとっくに読んでたと思ったから「眠り姫」などの話をしていたのに。TVの劇でも教育でやったのを見たのに・・・それもず〜っと前。
 イチローが結婚会見で「年の差」について,「アニメや歌を知ってる量が違うくらい」(というほど福島さんが若くて綺麗なのよね)と言ってましたが,同時代に生まれても興味のあるところで子供時代や青春時代はぐ〜んと違ってしまうものよね。

「スーパーおやじの痛快まちづくり」 安井潤一郎 ¥1,600 講談社  これは「五体不満足」を読んでた人ならきっと手に取る一冊です。(ちなみに珍しく買った「五体不満足」かなりの人に貸したのに,夫は読んでなかった!!ここでも・・・また・・・)
 乙武君活躍の一歩を作った人の本で,もちろん早稲田出身のひとなら「エコサマー」も知ってるかと思ったら夫は知らなかった・・・
 さびれゆく某市町村商店街必読!かも。やりかたとしての「エコ」は見習えたらいいな。

11月30日(火)
 「口コミ時代の到来」 船井総研 経済界 ¥1,500
 客商売という仕事柄?興味深く読みました。
 口コミの伝わりかたと影響力について,消費者をスインギー(すぐ飛び付く人),フォロワー(今売れてるから買う人),イノベーター(納得して購入し,愛着し,リピーターになる人)と分類し,一過性の流行はフォロワーが対象となるが,定番化し,長く愛されるためには情報の取捨選択ができ,価値観を持った消費者の5パーセントのイノベーターに指示されればよい,というところはわかりやすい内容でした。
 そして女性ファン獲得の条件はオシャレがキーワードということでした。う〜んなるほどペペも見習うぞ。

 「16の性格」 ポール・D・ティーガー 主婦の友社 ¥1,600
 これをくわしく書くと著作権に触れそうなので割愛しますが,
1最初に感覚的か直感的かで分類,
2それをさらに決断,柔軟,思考,情緒と8つに分類,
3最後にその8つを外交か内向かで16に分類する,というものです。
 返却の前にしっかり分類の仕方,各性格,つきあいかたなどなどのポイントはノートしたわたしです。興味のあるかたはどうぞお読み下さい。ここで公開したい誘惑をぐぐっと抑え・・・

 「優柔不断術」 赤瀬川源平 毎日新聞社 ¥1,400
 トマソン,新解さん,老人力と,どこまでこの人はおもしろいことを日がな一日考えているんだろう・・・?そしてそれが商売だからすごい,と尊敬してしまうほどのこれもわははの本でした。久しぶりの爆笑です。夫の好きな「とりあえず」,日本地図と世界地図の激似,農耕民族と優柔不断について等々,最強の爆笑はP47,48でしたね。

11月7日(日)
 前回「未来への助走」堺屋太一 PHP出版 の感想で書いた『リスクの社会化と相撲の関係』での回答です。「なぜ力士は引退が早いのか?」について・・・
 堺屋さんは相撲をプロレスと比較しています。そういえば亡くなったジャイアント馬場さんも「60までリングに・・・」と言ってました。
 お待たせしました。力士の引退が早いのはずばり,
 相撲が国技で,相撲協会やタニマチの皆様,TVの巨額放映権料に守られ,管理されている独占企業だから,
 逆に試合時間(勝負時間のことです)も短く,引退して親方になるなどのいわゆる30代以降の身の振り方も決められていて安心(ちゃんこやをやる,も含む?)ということらしいのです。
 きちんと型にはめられた姿,人事は『コストを無視した様式美の追求』ということになるそうです。う〜ん,保護されてれば早く引退もできるわな〜,ってことですね。
 堺屋さんはそれが,リスクを個人が負わず,社会(協会他)で丸抱え,ということだ,としているのです。プロレスは違うな,と。
 柔道家でも,素人でも,誰でも参加でき,団体も作り放題,服もポーズも自由。お客を呼ぶため,互いに競争し,地方興行にも積極的に参加,でも一見激しそうでも,怪我には細心の注意,試合時間も長いので案外小人数での興行が可能。
 そしてこれからの日本は経済もこちらの形に移行していこう,というのが趣旨のようです。リスクは社会でなく,個人で・・・ということでしょうか。まさかそれって,国はもう面倒見切れないってこと・・・?でもたしかにいままでの日本が責任を分散化,曖昧化してたとは思うところもありますけどね。
 ということで「力士の引退なぜ早い?」はお分かりいただけたでしょうか?詳しくは本の127ページで!!

 そして今週は「青木雄二の天下とったる」ですから,本当に自由な読書とは言え,わたしもいい加減なものです。こちらは真っ向から堺屋さんご指名で対抗してます。そして日本はゆるやかに共産主義になる・・と言ってますがどうでしょう。結構極論を言ってる内容です。
 でも「なにわ金融道」が1000万部売れて,漫画家はやらなくても一生食べていけるようになった,と豪語できる青木はん,すごい勢いでっせ!!これで商工ローンの取り立てのひとが真似した,とTVでもちょっと行ってましたが,結構説得力あると思ってはる人いるんとちゃいまっか?(と青木さんにあわせて関西)

11月1日(月)
「未来への助走」 堺屋太一 PHP ¥1400
 23日に新聞で紹介され,「リクエスト・・・」と思ってたら,偶然図書館に行ったその日に購入されて並んでいたのをすばやく借りてきました。(実はもう一冊偶然の購入で並んでいた「青木雄二の天下取ったる!」も借りてます。こちらは未だ読んでないので後日。)

 1,なぜ戦後に関西から新業種業態が育ったか?(プレハブ住宅,消費者金融,引っ越しセンターなどなど)
 実はそれが堺屋さん考えるに,冒険的な企業家の輩出にあわせ,消費者が進取の気性に富んでいたから,だそうです。「あたらしものずき」あれ?このせりふ,どこかの県の県民性にも・・・?
 でもさすが堺屋さん,そこで終わらず,「最大限の自由を認めつつも,そこから落ちこぼれる人,失敗する人への安全ネットを張ってやることが行政の姿勢,としてます。県民性の話で終わるRUMIKOと経済企画庁長官の大きな?差です。

 2リスクの社会化。
 一番おもしろかったのが,これを国技の相撲で表したこと!!
 「相撲ってプロスポーツの中で最も選手寿命が短いんだって。どうしてだと思う?」と聞くと,MASAHIKOは「はげるとおおいちょうが結えないからじゃない?」と言い,私もこれを読んでなければ,「太ってるから成人病になるんじゃない?」あたりで納得してましたが,なんと!・・・・・
 続きは本の中からお探し下さい。そうか,それですぐ引退できるのか〜!!・・・と一体どこを読んだのかヒンシュクをかいそうな紹介でしたが,もし,時間が無くて読めない!早く教えろ!!と言う方がいたら次回!!

10月23日(土)
 山根一真著「モバイル書斎の遊戯術」小学館。
 わたしにはあまりにハイテクすぎて付いていけない部分もありますが,ハイテクになりすぎてこんなに移動して仕事しまくってからだ大丈夫かな〜と思います。時間短縮,という名の飛行機,新幹線移動は距離はたくさん移動してるので疲労度は高いそうです。
 自転車で店と家とを移動してる程度の私にはぴんときませんが,出張の多い人はどうなんでしょうかね?やはりその疲れを皆さんお酒で紛らわせ・・・?
 もう一冊は柳美里「女学生の友」文春です。
 表題は女子高生,もうひとつの短編は小6男子が出てきますが,どちらもその年代特有のイライラ感がよく伝わってきます。

10月4日(月)
 さて今回の面白かった本は「ちょっと町へ」 常盤新平 経済界¥1400 東京下町行ってみたいと思わせるうまい店と人情がたっぷりでっせ!!
 もう一冊は「吉村順三 住宅作法」 吉村順三,中村好文 世界文化社¥1900 表紙の色合いの美しさでひかれ,内容は建築家による住宅のありかたでありつつ,トータルにインテリア,家具まで考えていこうというまだマイホームを持たぬKIMURA夫妻があこがれてしまう建築家の家でした。これは単なる個人趣味になってしまうか?いやきっと他の人が読んでも「たためる椅子」などうれしくなるはず・・・
 「ねえ,理系にすすむなら建築家になりつつ家具のデザイン,製作もトータルにこなすといいかも。設計事務所に勤めつつ,家具を作るのって,あまり建築家ほど締め切りに追われないんだって・・・」と作文,絵等いつも締め切りに追われている双子に指導?したほど・・・

 偶然ですが私が読むと映画化される,というのが密かなこのごろの自慢です。「催眠」しかり,「秘密」しかり・・・etc映画化ならまだ自慢ですみますが,「神の火」原発もの系の今回の東海村は新聞,TVでわかるほどに「人災」という言葉があてはまりすぎて,あまりにも科学を過信しすぎた人間の「このくらい」気質がくやしいです。
 以前朝日新聞の日曜版でキュリー夫妻の特集だった時「初めて原子力の存在や力を世界にもたらした」(言い方は違ったかもしれないけど)キュリー婦人の死因は白血病だったこと,そして死後何十年もたっているのに彼女が使っていたノートは未だに微量の放射能を出し続けているすさまじさ。これを考えたら素人だって,いや素人だからこそ「原子力エネルギー」のすごさとこわさが感じられます。

9月26日(日)
 自分がひとりっこなので「一人っ子たちのつぶやき」陳丹燕という本(てらいんく¥1429)を借り,共感するところはありましたが何せ手記をよせたのが中高校生ぐらいの文なので,これからの彼女(彼)たちの行く末はいろいろ変わるだろうけど,私に影響はないよな・・・と思ってしまい・・・
 岸田秀の「性的唯言論序説」(文春新書¥770+税)は少しおもしろかったかな〜?
 私の今年のお勧めは松岡圭介の「千里眼」ダニエルキイスの「眠り姫」,スティーブン・キングの「消えた少年」(今年出版の本ではないかも・・・)です。
 私も図書館通いをして,大いに税金を有効に?使わせてもらっています。新しい本はリクエストしてしまうからです。ごめんなさい,しばらく新刊はサッカー物以外買ってません。全部図書館に預けて?います。

9月18日(土)
 昨日「パンドラの箱の悪魔」広瀬隆著NHK出版を読みました。以前高村薫の「神の火」を読んでいたので少し原発の仕組みを覚えていたのですが,(専門的に突っ込まれると全然ですが)この本でもまたどうやって発電するのかまたわかってよかったです。
 というだけの本ではなくて,ワールドカップのチケット事件に始まって世界経済の話から遺伝子組換,環境ホルモンなどなど多彩な話が載っていて興味深く読みました。今日ちょうど朝日新聞でもちょっと載っていて(遺伝子組換),やはりちょっとでも知っていると興味をもって記事も読めるからいいです。もちろん高村薫も読んで楽しいですよね〜
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