RUMIKOの読書日記

2014年
カウンター設置 2003/02/11

 

12月8日(月)

お久しぶりです。娘第二子出産ヘルパーのため埼玉入りしてました。もちろん本を読む時間なんて確保できません。珈琲タイムも貴重。夜の時間は殆ど無くなりましたね。でもそんな中、今年ベスト入りする本に出会いました!言葉獲得の途中でおねえちゃんにならざるを得なかった第一子の心中はもう破裂寸前。だって赤ちゃんもお姉ちゃんの自分も理解の範疇を超えてるんですから。ママ退院してすぐ「甘えたいの」という心中を「あまよちゃん」と赤ちゃん風な言語で教え、赤ちゃんの次には自分も甘えて良いんだという事を自然に理解させて落ち着くことができました。若夫婦と子どもの暮らしを支えるのはへとへとでしたが、笑い声もたくさんあって子どものパワーを満喫の一ヶ月でした。ちなみに「あまよちゃん」は双子だった娘達にも教えていました。ふふふ。

「楽園のカンヴァス」 原田マハ 新潮文庫 ¥670+税
目下原田さんにはまっている友人のSさんより借り。日本版ダヴィンチコードの如く名画を巡るミステリーでありつつ素敵なロマンスもあって秀逸。構成もしっかりしていて読みやすい。ラスト近くで最後に2人でルソーの作品の前に立つシーンは涙が出そうなほど良いシーン。元キュレーターだったという経歴を惜しげなく披露してくれる作品。山本周五郎賞受賞作、ということだが、文庫の後ろの方の最新刊の広告を見ると同時代に伊坂君「ゴールデンスランバー」恩田陸「中庭にできごと」があり、どちらも読んでいるのでマハさんだけ今頃読んでごめんなさい、の一冊。そしてこれが今年のベストに入る一冊です。友に感謝!


「花桃実桃」 中島京子 中公文庫 ¥580+税
43歳シングル女子、リストラに遭うも父の遺したアパートを相続したおかげで・・・というちょっと羨ましい境遇のヒロインが住民との交流を通して自らの方向も探っていく物語。尾木君との未来はいかに?40台の関係も率直に描かれている小説。


「東京物語」 奥田英朗 集英社文庫 ¥619+税
あまり自叙伝風のものは誰の作品でも読みたくないなぁ、と思っているが自分と一歳違いの奥田氏と共に時代をなつかしみながら読了。キャンディーズ解散時のできごと・・・?うーん、そういえばサークルの男子がファイナル行ってたなぁ、ジョン・レノン殺害・・・就職したばかりで右往左往しながら卒業文集作りと評価に追われてたなぁ。校内暴力真っ盛り、荒れる中学、でも毎日何か起こるか生徒にはお祭りみたいな日々、意外に登校拒否は少なかったかも・・・などと思い出しつつ、ベルリンの壁崩壊、バブルと主人公が大人になってゆく。あまりに昔だがもしこれがドラマ化したら?主人公の久雄はちょいダサにするか?流行にのったスマート系にするか?スタイル抜群の見合い相手が長澤まさみちゃんがぴったり!とは思う。


「カラスの親指」 道尾秀介 講談社文庫 ¥743+税
新聞でおすすめ文庫として掲載されていたので買い。初めての道尾さん。文体が伊坂君ぽくて読みやすい。ラストでタケさんが気づいた感動の結末とは?すみません、もっとタイトルを気にかけていたらラストに行く前に仕掛けに気づいたかもしれません。唯一ヒントになりそうな記憶は「親指だけが皆のことを見ることができる」です。詐欺師の話といえばそうですが、ラスト失望させません。


「PK」 伊坂幸太郎 講談社文庫 ¥530
待ってました~という感じで文庫本化を知り購入。でも一回読んだだけでは理解できず再読。あとがきを読むとちょうど震災前に脱稿はしてたらしく、仙台に住んでた伊坂君が心配だったがやはり日々の暮らしを維持するのに大変だったようで東北人として共感。また、参考文献に「アドラーに学ぶ 生きる勇気とは何か」があるが、伊坂作品に感じられる生きる光はやはりアドラーだったか、と納得。¥530は安い!安すぎる!


10月15日(水)

彼岸埼玉に続いてすぐの埼玉は孫の七五三。娘達の着物をお下がりしましたが被布は色褪せていて新規購入。増田の後にいくと全てが家族の歴史、お宝と思えてしまうから不思議。お宮参りの赤ちゃんに混じってのご祈祷、そうだ、前にこの神社に来たのはこの子のお宮参りだったなぁ、お返事が出来るほど成長したのねぇ、と感慨。神主さんの決めせりふ、成長までに必要な親の仕事は変わりませんがそれでも節目のお参りで心新たに。肌を離すな、手を離すな、目を離すな、心を離すな、です。孫もこれから手を離すな、の時期に入ります。

「本日はお日柄もよく」 原田マハ 徳間文庫 ¥648
これもSさんから借り。帯に「大切なあの人に送りたい文庫№1」とあったが、確かに「人生はワンチャンス」と並び、贈りたい顔が浮かぶ心地よい読後感を与えてくれるプレゼントにも最適な一冊。スピーチが世界を動かす、のテーマ通り、平凡なOLが幼馴染で初恋の相手の結婚式に招かれて聞いたスピーチに心動かされ、やがてそれを仕事にするに至る成長物語だが、会社名や政党名がタイムリーで一気読み。巻末の東えりかさんの書評もマハさんの良さを的確に言い当てており秀逸。p378「仕事が人を作る」とは聞き慣れた言葉ではあるが、それが40代ではなく20代女子の事だとするとますます気持ち良い。話題は飛ぶが、前回掲載「旅屋 おかえり」でえりちゃんが訪れた2箇所目の愛媛県内子町、埼玉に行った10月9日TV東京のカンブリヤ宮殿の感動経営スペシャルランキング2位で「女性達が20年かけて育てた道の駅」としてちょうど取り上げられており、角館とは違った注目のされ方が良かった。


「処女連禱」 有吉佐和子 集英社文庫 ¥520+税
没後30年記念、痛快な負け犬小説を60年前に書き上げた、と帯にあり。以前新聞でお奨め文庫に取り上げられていたので買い。30歳を目前にかつての女子大同期達の悩みを書いているが、やはり今ならアラサーでここまで悩むか、と思うと時代を感じる。しかも悶々しているし。没後30年、戦争があって女子余りという登場人物は私より少し上の団塊の世代くらいを描いているのかと思う。当時の女性の職業観の悲壮さの方が際立っていて少し哀しい。今の女子たちの方が伸び伸び働き、人生を選んでいるかな?


「満ちたりぬ月」 林真理子 文春文庫 ¥560+税
このタイトルを見てユーミンの名曲にして初めてユーミンのLP(懐かしい言葉!死語か?)を買うきっかけになった「14番目の月」を思い出したが、タイトルだけでも「14番目の月」はこれからの希望、「満ちたりぬ月」の方は「不機嫌な果実」に似た語感で、現状への不安、不満をかぎとってしまう。タイトル通り、幸せな家庭を持ったはずの絵美子と決して独身主義ではなかったのに仕事で注目・活躍で独身という2人の女友達の日常が描かれている。別居、離婚に至る夫が何故口をきかなくなったかは不明のままだが、人妻絵美ちゃんは別居後も子どもを実家に預けて自分探しと称して年下の専門学校生、仕事もさせてくれている友人圭ちゃんの彼氏とも関係を持てるからすごい?圭ちゃんに「欲ばり」と罵られても仕方ないが、p277「家庭というのは一時期、欲も自分の存在もいっさい捨てるときがあります。子どもを育てるときがそうでした。姑のからだの具合が悪くなったこともあります。」って圭ちゃんに手紙を書いた絵美ちゃん、34歳でこのせりふかよ!子育てはこれからじゃん!これは50代後半の女性のせりふなら説得力があるけど・・・そして気づいたのは孫を預けられて苦情たらたらで体調不良をくどく絵美ちゃん母って私と同世代なはずじゃん・・・・(怖)なんでこんなに婆くさく書くんだろう?

10月6日(月)

始まりました、国文祭、行ってきました増田蔵の日。駐車場も他県の車がたくさん、町の活気が嬉しくなります。距離としてはすごく短い間に蔵が右にも左にも。公開の印に誘われてあちこち回ると半日かかりますが、雨でもつらくない町内巡りなので観光バスにはありがたいスポットになりそう。前日行った鳥海山では天気の急変に観光バスも右往左往、私たちの足取りにあわせて?元滝でも、中島台でも一緒になりましたから・・・

「マスカレード・イブ」 東野圭吾 集英社文庫 ¥600+税
「ホテル」の2人が出会うべくして出会ったことを暗示する短編集。もちろん「ホテル」だけでも、こちら先に読んでも楽しめるがミステリーとして味わえるつい買いの一冊。夫は今年一番、とこのシリーズを絶賛です。


「旅屋 おかえり」 原田マハ 集英社 ¥1470
新聞でエッセイなどは読んでいたが作品は初めてですみませんでした!と思う一冊。これも映画&本好きSさんより借り。彼女も友人の薦めで読んではまった、という背景で借り。増殖する読書の輪!ヒロイン愛称「おかえり」が村上春樹の「IQ84」のふかえりちゃんを思い出してしまうじゃありませんか。旅番組を持っていた元アイドルが打ち切りになってしまい、窮余の作で旅に行けない人に代わって旅をする「旅の代行」業を始める。嬉しいことに記念すべき一回目の依頼が角館と近くの温泉。続いては四国の・・・各地のディープな良さと人とのふれあいを描いてシリーズ化されそうなさわやかな一冊。ファンが多いのもうなづけてお奨め。

9月24日(水)

「マスカレード・ホテル」 東野圭吾 集英社文庫 ¥760+税
夫が先に読み、あまりの面白さに感激していたが、彼岸埼玉往復で後追いした私もひそかにテレビ化を妄想。新田より少し年上だが精悍な刑事役と言うことで竹之内豊を勝手にキャスティング。瑛太とかにそろそろやってほしいが、少し線が細くなってしまうかな?どうしても見たいの、瑛太の「アンフェア」以来の刑事役。相方は六車さんでは少し年長さん?丸顔眼鏡の俳優さんが思い浮かぶんだけど名前が分からず残念。彼が適役なんだけどな、とどこまでも妄想が膨らむ。でも相方を勝手に女子に変更はしないで・・・とそれこそ勝手に思いながら読了。こうなると頭の中で俳優さんが動いてくれるからますます加速度。ラストで仮面をつけているのは客だけではない、とヒロインが思うところで更に深みが。でもヒロインは誰に・・・?と考えるのも楽しかった一冊。さぁ、即、イブ行きます!


「屋上のあるアパート」 阿川佐和子 講談社 ¥1500
と言いつつ途中まで読んでいた本を先に読了。こちらも世之介同様映画&本好きの友人Sさんより借り。しかも世之介同様キャスティングメモ付きで。こちらも2011.3.21に単発スペシャルドラマになったらしい。主演は「モテキ」で似た感じのヒロインをやった長澤まさみちゃん。この本でもいい感じにモテている。ストーリーは親友の離婚騒ぎをめぐるどたばたを中心に進み、ラストで決着がつくのだが、いい感じで距離が知縮まってゆく男性との間で揺れるヒロインとアパート住人との関係がうまく使われ、つくづく場の持つ力を思わされる楽しい一冊。アパートの上でパーティーなんて、波に乗れたら楽しくてひきこもれないよね。

9月14日(日)

今回はすごくいい本を有人Sさんより借りました!今さら読んでごめんなさい、ですが長い感想書きます

「横道世之介」 吉田修一 文春文庫 ¥714+税
高良君と今の朝ドラヒロイン吉高ちゃんで映画化されていたのは知ってました。読書&映画好きの友人Sさんより登場人物と俳優さんの手書きリスト付きで借り。
これって昔駅で転落した女性を助けて男性2名死亡というニュースの話が母体じゃん、と知ったのは主人公世之介が死んでしまった時、というのは不勉強ですみません。
報道写真家という硬派な職業を想像するが、彼のキャラクターは平凡でいて清々しい。それこそ悪人の妻夫木君でも良いくらい。高良君とお嬢様キャラのヒロイン吉高ちゃんが頭の中でふわふわ踊って読了。考えてみれば吉田さんと言えば「悪人」「さよなら渓谷」だもの、事件がないはずはないんだ。
50歳を超え、人々を見送ることが多くなると、ふとした瞬間に亡くなった人が迫ってくるのを感じるときがある。「思い出す」というよりもう少しインパクトある質量で。だから結婚に至らず離れた祥子ちゃんがふと世之介を思い出して連絡を取ったら亡くなっていた事を知る、というところになんか共感した。
母親である友人はp402に付箋を貼っていた。お嬢さんだったはずの祥子ちゃんが国連でバリバリ働いており、帰国して専業主婦になっている睦美ちゃんと食事するシーン。娘の将来を案ずる睦美を見ながら祥子は思う。p402「大切に育てるということは『大切なもの』を与えてやるのではなく、その『大切なもの』を失ったときにどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることなのではないかと思う」私もつくづく親として共感。


「タルト・タタンの夢」 近藤史恵 創元推理文庫 ¥700+税
たとえて言うなら「和菓子のアン」。舞台はビストロだが、人間同士の?をシェフたちが料理を通してひもといてゆく。短編集だがどれも美味しい時間が流れていて人気があるということで取り上げられたのも分かる一冊。

8月18日(月)

「我が家の問題」 奥田英朗 集英社文庫 ¥560
いや~、¥560でこんなに楽しませていただけるとは!評判も良いが我が家でも今年のベストに入る一冊。推せます。「家日和」と対になるのでそちらに先行登場した家族も再登場、ということで今度は「家日和」ももちろん再読する予定。どの短編も、うーん、ありそう、ありそうと思う夫婦の関係を描いていてうまい。話の流れ方が大好き平安寿子さんに似ているところも益々の親近感。『里帰り』も『妻とマラソン』もそれこそ我が家の話?と思うほど。共感を呼ぶのもうなづける一冊。


「海賊とよばれた男」 百田尚樹 講談社文庫 各¥750
帯にある「ページをめくるごとに、溢れる涙」と言うことはついにないまま読了だったのは、私が帯にある「すべてのビジネスマンに捧ぐ」というビジネスマンでなく専業主婦だったからかしらん?映画「永遠の0」も大ヒットし、本書も話題になった。馘首も定年もタイムカードも無い石油会社ってどこ?と戦前背後はこういう会社が多かったんじゃないかしら?などと思っていたら、追いかけて読んでいた夫が「出光」とのこと。下巻で確かに出光美術館らしきものも出てきたし。「永遠・・・」は戦争中の話のようだが本書は戦後の復興期を駆け抜ける出光氏の物語。解説堺屋氏ではないが面白くないはずが無い。時代が下り自分が生まれた頃のことも出てくると確かに感極まる部分もある。それにつけても家や別荘を売ってまで彼の草創期を資金面で支えた恩師日田先生はすごい。良き人との出会いの大切さをつくづく考える。それもその人の運なのか?又、ラスト近く退職の挨拶に行った東雲が40年近くも苦楽を共にしつつ「儲けよ」と言われたことは一度も無かった(p430)と言うところが彼の全てだと思う。

7月24日(木)

「ナニワ・モンスター」 海堂尊 新潮文庫 ¥670+税
やはりAiである。やはり東城大も出てくるが、今回活躍するのは彦根新吾。彼が動くと医療と政治が交わってゆく。実在する人物を思い浮かべそうな自治体の登場人物と彦根の関わりが面白く味わえる。そしてそれが今の日本の現状も表しているのでますます面白い。架空の万台市にいる青葉県知事は道州制を提唱してるし。でも実は時間の流れが理解しきれず2度読みしたのでした・・・


「彼女が追ってくる」 石持浅海 祥伝社文庫 ¥600
人を呪わば穴ふたつ、ということわざを思わせる本。殺したはずの友人にラストで殺されちゃうんだから・・・そしてそこまで読んでいて彼女を告発しなかったとしたら素人探偵碓氷優佳ちゃんの立ち位置もかなり微妙。ストーリー運びのうまさで飽きさせない一冊。

7月9日(水)

「小布施 まちづくりの奇跡」 川向正人 新潮新書 ¥720
「大人の休日」を利用して初めて行って来ました小布施!栗好きの身としては昔から知っていたが、景観を修復してからますます行きたかったので、満を持して、という感じ。そして行く前にも再読、行ってから改めて読み返したこの本。やはり一度訪れ手から読むと景色が目に浮かんで更にいい。立派なメタセコイアも本より実物の存在感はすごいし。それに負けずに目に浮かんだのは大館桂城公園のシロヤナギ。お近くでまだ見てない方には是非見て欲しい安らぐ大樹。もし秋田で「修景」するなら可能性を秘めた増田かな?やはり?著者も既に角館は完成しているとほめてるしね。実は駅に降りてすぐが現場だと思ったら違うので少しがっかりしたら、p200でも同じことが言われている。最後のほうで小学生が土壁体験や瓦作りをしているが良いことを伝えているなぁ、と感心。まちづくりの意識の高さがまぶしい一冊。


「『命の値段』はいくらなのか?」 真野俊樹 角川新書 ¥781+税
財政難の原因も医療保険崩壊の理由も分かっている、では本書のタイトルになっている命の値段は?ガン治療で生き長らえると年に400万、というところから展開されている。それでもそういった疾病対応の医療費はともかく、それ以外の加齢によるADLの低下予防のためにはとにかく動くこと、と述べている。そして人生の最後で死を受け入れる秘訣は「その人の人生の良き聞き手との出会い」というところ(p183~p184)では確かに年取ると人の話聞くより自分のことを繰り返し語るよな・・・と周囲を見て思い、家族が一緒でも孤立している高齢者、独居でも地域や介護職の人たちに支えられて声をかけてもらえる高齢者、最期はいろいろ、ということね。

6月25日(水)

「里山資本主義」 藻谷浩介 角川書店 ¥781
少子高齢化を憂える日本の自治体に一石を投じる読みごたえある一冊。経済力=幸せという従来の発展の形をあえて小さな自治体ごとの経済システムへとシフトチェンジを唱える。そして森林大国日本の森林力を生かしたエネルギーや集成材利用は既に始めている自治体もある、ということで、(p92)奇しくも娘が前の職場で携わっていた東北某市の特養の暖房システムもそうだった、とのこと。同じ建物を建てても進んでいるところはあるもんだ、と感心。p290『人はお金では買えない。人の存在価値も、稼いだ金銭の金額で決まるのではない。人間の価値は、誰かに「あなたはかけがえのない人だ」と言ってもらえるかどうかで決まる。』は力強いお言葉。大変な日本が来る、と言う頃にはこの本の読者は(死んでいて)いない、というのもごもっとも。今年お薦めの一冊になる事間違いなし。


「パラドックス13」 東野圭吾 講談社文庫 ¥830
文庫なのに結構なお値段だが、相当の面白い一冊。一気読みももちろんだが映像化したくなる一冊。風景は今ならCGでクリア?以前読書日記でも絶賛した「白銀ジャック」もなぜか真夏の八月にTV放映とのことなのでもしかしてこの本も?と期待。最初でからくりがわかってしまうので安心して読めるのかもしれないが、パラドックスワールドに生き残った(というべきか?)人々は老若男女13人。一人欠け、二人欠けしていくのだが、p194~p195で山西老人が言うのが「いやあ、それにしてもつくづく情けなくなった。(中略)高齢化社会なんて言ってたけど、あれは嘘の世界だな。ごまかしだったんだ。自然の摂理に反してたってことだな。(中略)当たり前のことだが、自然の土地にバリアフリーなんてことはない。(後略)」ここを読むと昔を思うね。

6月17日(火)

またまた往復こまちでページ数を稼いできました。最近は夫が買ったハードカバーを読んでます。中央公論も読んでました。消滅する市町村・・・

「金融探偵」 池井戸潤 徳間文庫 ¥590+税
池井戸銀行シリーズもついに銀行をリストラされた主人公登場。そして短編からなる本作は既にTV化を視野に?と思われるほどの面白さ。しかも解説によれば「誰のノート?」には続編がある、とのことで更に期待。しかも解説で「下町ロケット」ほめてくれいるのも嬉しい。


「街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか」 町田樹編 晶文社 ¥1600
憂国という言葉で連想するのはやはり三島。小田嶋隆、中野晃一、想田和弘、平川克美、高橋源一郎、孫崎享、中島岳志、鷲田清一諸氏によるタイムリーな意見集。ちょうど並行して読んでいた「里山資本主義」にもあるように森林について言及し、江戸幕府は世界初森林率を引き上げたことを展開する人、またp164海軍に入隊させられ体罰を目撃して「こんなバカバカしい軍隊の一員として戦争で死んでは犬死」なので、p174で、『問われているのは、戦時中に竹槍戦術が施行されているとき、「それはB29にはとどかない」と言えるかどうかである。いつの時代も、醒めた人間の常識こそが、水を差すと力となる。』等々今を読み解く一冊。


「嫌われる勇気」 岸見一郎 古賀史健 ダイヤモンド社 ¥1500
簡単にまとめてしまえば対話形式で書かれたアドラー哲学のわかりやすい解説書である。夫が買い、帯に伊坂幸太郎君のお薦めが書いてあるので興味深く読み。でも彼曰く「最後にはなぜか泣いてました」の箇所は発見できず。それだけ私は年を取ってるせいね、きっと。
奇しくも先月身をもって体験した旧交を温める会。30年前は縦の関係だったが今になると横の関係になれるところが嬉しい、というのと同じだと思った。
そして年を取ったからこそわかる「過去は変えられないけど未来は変えられる」(私はまだ未来まで実感してないので棺桶のふたを閉めるまで?未来のフレーズは謙虚に小声になるけどね)最近流行りの、そして最近夫が好きな「いまここ自分」と言う言葉がこの本のキモだと思った。そして伊坂君の作品の中の男たちを思い出した。すぐ浮かんだのはただいま上映中で先日見に行った「オーファーザー」
本書で「トラウマは存在しない」と言い切った著者の勇気を感じた。
しかも実家で読み返した「女の子の育て方」でもアドラー哲学を引用、本書p109から展開される人生のタスク(課題)①自立すること②社会と調和して暮らせること③わたしには能力がある、という意識④人々は私の仲間である、という意識を達成しよう、と書いていた。自己肯定感をもてる子育てをすることで子供の今後の成長の糧にしよう、というテーマの本だった。併読して2冊読了。
でもこの本読み方を間違えると♪私と子供は横並び~♪俺と上司は横並び~と勘違いする人いるよなー

5月19日(月)

侮れず秋田、やはり五月でも朝晩ストーブをつける肌寒さが残っています。昨日までいた埼玉周辺は半そでに日傘、今が一番気温差があったかな。でも往復こまちの車窓から見る新緑の美しさは東北ならでは。

「輝天炎上」 海堂尊 角川文庫 ¥760
なんかアップするの忘れてたみたいでスケジュール帳にノーマークで記載されてました。読んだのはおそらく娘引越し手伝い埼玉の車中?
映画化への導入として前クールでやっていた「螺鈿迷宮」の真相とその後、そして「ケルベロスの肖像」との表裏として描かれた一冊。先に「ケルベロス・・・」を読んだ身としてはラストでようやく「ケルベロス・・・」での謎が解けた感じ。田口の視点で展開された「ケルベロス・・・」だが、本作は天馬君の視点で描かれているので流れは同じだが十分楽しめる。


「ルーズヴェルトゲーム」 池井戸潤 講談社 ¥800
大人気池井戸作品で現在TV放映中。
昨年話題になった半澤銀行シリーズとはまた違い、どちらかというと、「七つの会議」+「下町ロケット」に野球をからめることで一発逆転、形勢逆転を盛り上げる凝った作品。
TV化しているので登場人物と役者さんを比べながら読み進めることができる。
一番の落差は笹井専務。p337で笹井専務の入社(しかも途中入社で前職は自動車販売の営業だった!)が昭和55年って私たちの就職時期と重なってるじゃん!っ手ことは社会人の経験あり、と言うことは更に年上?とわかったところ。しかもその後p340でそのいきさつを知った総務部長で野球部監督の三上に「強面を一枚剥がせば、屈託のない老人だ」と思われるところ。TVでは江口洋介君が演じているのに。

5月12日(月)

一ヶ月のご無沙汰でした。娘の引越し、甥の結婚式と若い人との交流で過ぎたひと月でした。一番若い?孫の服作りに追われ、本の方がご無沙汰でした。反省反省。

「最終退行」 池井戸潤 小学館文庫 ¥657+税
支店長、頭取へと不正を暴く蓮沼の強さは話題になった半澤シリーズにも通じるが、形勢逆転、出向先から本部に戻ることが決まっても振りない手と切れぬまま、というのは今後どうなるのか?とかくとセクハラになるの?今の時代?ラストで妻も勤め先の支店長と不倫、と分かり、イマドキ夫婦像なのかもしれないが、ちょっと男目線の描きかただなぁ・・・と思うのはセクハラ?きっとイマドキ女子なら自立した関係、と言うんでしょうか?一番得したのは労せずして久遠を蹴落とした横尾専務かな?げに宮仕えは大変である。退行と言うと心理学的に赤ちゃんがえり?と思ったのは私だけ、でしょうね・・・


「ボーナストラック」 越谷オサム 創元推理文庫 ¥840
「陽だまりの彼女」の映画化で昨年話題をさらった越谷さんのデビュー作。ファンタジーノベル大賞の優秀作受賞、との通り、大人のファンタジーとして楽しめる一冊。Sさんより借り。突然落命してしまった亮太君、故郷へ帰って自分の葬式も見る事になるが、そこですごく感じた落胆している親への申し訳なさと同時に、帰る道々考えたことが印象的で長いけど引用して紹介したい。p147「やっぱり里帰りはいい。首都圏の外れの二流半の大学に通っている俺はどこの誰とも知れないただの二十歳のアンチャンだが、ここでは横井さんとこの亮太君なのだ。俺はこの土地を知っているし、この土地も俺を知っている。こういうのも悪くない。」って生きてる二十歳は思わないだろうなぁ・・・・ここではないどこかへ、というのも若者の特権だし。でも故郷についてうまい言い回しで感心。見えないはずの彼を巡ってさてどういう展開になっていくのか?最後まで楽しく読める一冊。

4月10日(木)

今日だけ雨で寒いみたいです。今年は去年より薄着で大丈夫だなぁ、と思っていたらやはり、今日はぶるぶる・・・でも良書に接して心はホット!!

「レイジ」 誉田哲也 文春文庫 ¥600+税
やはり「BECK」を髣髴させてしまう青春ロックイメージ。レイジのイメージも「BECK]同様健くんでね・・・と妄想しながら?読み。でも大きな違いは「BECK]が割りと短い時間を切り取ったのに対し、これは中学から30代を描いている。才能を育てることの難しさと現実とのせめぎあいを美少女りおちゃん(当然彼女も30代になってゆくわけであるが)を使って自然に描いていてうまい。ワタル・友哉・キンちゃんのレイジ仲間も良くて名作。以前から読みたくて買いたいメモに載せてたが、文庫化されたので即買いの一冊。思えば消費税増の前に買いだめして置けばよかったのは本だったか?そうそう、妄想といえば前回アップした奥田さんの「純平考え直せ」も画像化するなら先日放送されていた「クローズ」に出てた子がぴったりで、思わず一緒に見ていたがまだ本を読んでいない夫に表紙を見せてほらほら、ぴったり!と言ったほど。


「夢違」 恩田陸 角川文庫 ¥680
このタイトルを見ればどうしても夢違観音を思ってしまうだろう。もちろんそれが重要な役目を持ってはいるがそれは読んでのお楽しみ。さぁ、いらっしゃい、恩田ワールドへ・・・TVで「悪夢ちゃん」として放映されていたときは「お、原作は恩田陸なんだ」と思いながら主人公の小学生の「きゃー!」という悲鳴を毎週のように聞いていました。今回文庫化、しかも映画化(角川らしい作品だものな・・・)、とあり、即買いの一冊。しかし「夜ピク」も映画化されて勇んで行ったが反響は今ひとつだったみたいだから今回はどう仕上がっているかは見てのお楽しみ。さぁ、そして本書を読んでびっくり!こんなお話をTV化してたの?荒唐無稽な内容と言われればそこで終わりだが、長年の恩田ファンならこれははずせない一冊となった。久しぶりに味わう集大成の一冊。もちろん大人の童話として味わって欲しい。最初は面白くて一気読みだったが次第に終わるのがもったいなくて大切に読み、即夫に薦めるこの熱さ!ちょうど今頃が見頃かもの吉野の桜も舞台として出ており自分的にはそこも奇。「ネクロポリス」「ライオンハート」などなど今までの名作の空気がぎゅっと詰まった至高の一冊。今年のベストになるか?

3月27日(木)

あれ、なぜにこんなに間があいて・・・・?でも彼岸埼玉のこまち往復で読書量を稼ぎました!しかも購入したのが池井戸さん多し!「空飛ぶタイヤ」からの読者としたら今頃のTVブレイクは遅し、とも思うけどエンタの楽しみとしては良し。

「純平、考え直せ」 奥田英朗 光文社文庫 ¥580
池井戸作品たくさん買ったのに、秋田から持参したのは奥田さん。なので行きはこれから読みました。大ヒットした「電車男」のやくざ版と思って読むと、このタイトルの面白さもなるほど。「電車男」のほうは当事者も相談を公開することで変わってゆくが、こちらやくざ(の見習い)純平君21歳は周囲の呼びかけで自分が変わることは無い。ただ重大案件を抱えて(と書くとちょっと仕事っぽくてかっこいいけど・・・実は)実行までの三日間で怒涛のような出会いがあって心に変化は訪れる。「自分って孤独じゃないんだ」一気読みできる面白さと映画化しやすそうなまとまりだが、50年以上生きてきたおばちゃんから見たら、7年でも10年でも出所後案外うまく生きていけそう、と思ってしまうのが現代の若者犯罪増加の理由とも思えて微妙な作品でもある。あ、重要案件ばらしちゃった!でも面白いし、奥田さんらしいです。


「下町ロケット」 池井戸潤 小学館文庫 ¥720
夫が読みたいというので購入。私としては「空飛ぶ・・・」と同系列に見ていたのだが・・・去年大ブームになった半澤TV&本。そして本作で2011年直木賞を取っています。しかーし!私は初めて直木賞候補になった「空飛ぶタイヤ」(2006年読書日記にもあり)を図書館で借りて読み、池井戸さんの社会性、組織を描くうまさには注目していたのであーる。待ってたぜ、池井戸ブーム!そう、池井戸作品を好きな理由は、この組織の面白さへの興味が大いにあることは否めず、だから大企業に立ち向かう下町中小企業の話が面白いのはわかりきった話で、もちろんこれも一気読み。ただ本書は立ちはだかる大企業重役自身の昔の様子も描かれていて、戦後日本のものづくりへと思いを広げる楽しさもあるところが特徴的かも。


「不祥事」 池井戸潤 講談社文庫 ¥695
旬とは彼のことを言う。半澤ブームで火がついた彼の作品の中で杏主演で4月からの水10でドラマ化!話題を醸した「明日ママがいない」のあとで毎回胸のすかっとするドラマが展開されてゆくだろう。しかも8編の短編って連ドラにぴったりよね。ちなみに最終回まで見た前回の「明日ママ・・・」は初回でポストことまなちゃんが新しく入所したドンキに言った「ママがあたしを捨てるんじゃない、あたし達が(幸せになるために)ママを捨てるんだ」がテーマかな、と。大丈夫この作品はエンタとして楽しく学べますから。文庫とはいえ解説がすごく良質で嬉しい。そしてもちろん本作の前に刊行された「銀行総務特命」も購入。なお、「不祥事」が出された年に「最終退行」「オレ達バブル入行組」を刊行、「シャイロックの子供たち」も連載していたと解説にあったから、今頃読んだりテレビ化されたり、では池井戸さんにはごめんなさい、だ。そして、これほど買い続ける契機になった「シャイロックの子供たち」が池井戸氏自身も転機になった、とあるのも嬉しい。本書のどのシリーズでもヒロイン花咲舞の正義感と聡明さが光るが、少し毛色の違う「彼岸花」が、正義感ゆえ失脚という内容で、半澤直樹のその後みたいで少し哀しい。

3月1日(土)

今日から3月、来秋からの雪マークはともかく、今日だけは秋田も春の日差しのありがたさ。もうすぐ55歳卒業です。3月は別れの季節、夫が始まった送別会の挨拶で「坂の上の坂」を題材にした、とのこと。退職される方がまた歩き始める坂の前に、この本の帯には「55歳までにやっておきたい55のこと」と副題が・・・あと数日でどこまでやれるのだろう?坂上がる前に転げ落ちちゃう?今日は朝から白鳥が大挙して北へ・・・やはり春?


「歌舞伎町セブン」 誉田哲也 中公文庫 ¥686
面白くて、どんなラストで収束されるのかがもったいなくて、わざとゆっくり読んだほどの一冊。しかも解説にもあるように続きがあるような東警部補の登場は、やはり連載中だという「歌舞伎町ダムド」へのいざないか?カオスタウン歌舞伎町に生息?する人々の人間の部分を描く一冊。p167ソープで働くアッコが陣内に言う「こんなあたしでも、必要としてくれる人がいる(中略)・・・人間がね、一番つらいのって、たぶん、誰からも相手にされなくなることだよ。」ってわかっているアッコの精神(心)はまだ病んじゃいない。


「祈りの幕が下りる時」 東野圭吾 講談社 ¥1700
ドラマ化され、映画化もされた同氏の小説「新参者」のスピンオフでもあるような、でも現在につながるし、みたいな重い一冊。はまり役阿部寛演ずる加賀恭一郎のプライベートが別の哀しい事件とからみあって涙を誘う一冊。もしかするとこれまでのシリーズも映像より本のほうが味わいがあったのかも、と改めて思うほど東野さんの力を再認識できた作品。東野さん好きの友人Tさんより借り。これもまた本は友を呼ぶ、と言葉通り、、ドラマ化されてたときの話題で盛り上がったらそれ関連の面白い本があって加賀恭一郎の生い立ちが出てるよ、というところから回覧されてきた嬉しい一冊。お菓子と一緒に昨日返却しました。

2月5日(水)

一度消えた雪ですが今日からまたまた寒波で雪寄せ。それでも2月、暦だけは春に近づいていると信じて暮らす雪の国

「感染遊戯」 誉田哲也 光文社文庫 ¥640
ご存知姫川シリーズのスピンオフ。アクの強いガンテツが事件の真相に迫った、と思いきや・・・・テレビでは小出君演じた葉山が個々ではなぜかガンテツに気に入られ協力し・・・・15年の長さに渡り達成されてゆく復讐劇の構成が面白く、飽きの来ないさすがの一冊。


「ようこそ、わが家へ」 池井戸潤 小学館文庫 ¥695+税
Kさんより借り。ロスジェネといい、本作といい、続けて読むと、なんだか半澤のその後というか、銀行員のその後、という感じで銀行員の主人公も50代になっています。しかも家族もどんどん成長して、ストーカー被害にも家族で立ち向かってゆく。それにつけても構図としていつもある主人公の敵役。一瞬出向先の社長ぐるみで悪徳?かと思ったけどそこまでではなかったわね。読んでスカッとは半澤シリーズだけど、ストーカーも出てくるので少しミステリーとしても楽しめる一冊。そう、ここで感じるのは「お父さんは大変だ~」というご苦労様感。50代でそう思ってもらえるお父さんは、でも幸せなんだよね。

1月26日(日)

新年早々3回もアップできるとは!今年はいい本との出会いが期待できそう?珍しく2日続けて暖かく、雪が溶けてざくざくの悪路、近くまで来た除雪車、うちの前も通ったので窓を開けて眺めていたらスコップを上げたまま通り過ぎただけ、って何だよ!とあきれた昨夜。でも今朝からまた近所に来ているので期待。そしてこの雨で一度は溶けてくれることにも期待。県南の方たちの雪下ろしと除雪の大変さも心痛みます。

「ケルベロスの肖像」 海堂尊 宝島社文庫 ¥743+税
文庫化されたので買ったら帯に映画化ともあり。しかも役者さんはテレビの方で。しかも予習のためか?今クールからテレビで「螺鈿迷宮」やってるし。これを見たほうが映画や本書の背景がわかるし、深まりますね。「ブレイズメス」でもド派手な投資をしていたが、完結、というだけあって本書でも田口センセがド派手犠牲者に?高階院長の行く末は?そしてラストで心温まる嬉しい登場人物が・・・・果たして無事にド派手装置は設置できるのか?センター開設は?はらはらドキドキおすすめの一冊。


「いとみち」 越谷オサム 新潮文庫 ¥590+税
昨年公開された松潤と上野樹里ちゃんのロマンチックラブストーリー「陽だまりの彼女」の作者が描く津軽弁満載?のガールズストーリー。Sさんより借り。2冊読んで思うことは越谷さんはやはりファンタジー作家なのか?音楽+ガールというと誉田哲也「疾風ガール」と続編が想起されるが、本書のヒロイン16歳いとちゃんは引っ込み思案+地元青森県人にもわからない?こてこて津軽弁を克服のためメイド喫茶でバイト、というキャラ。で、もちろん新人さんというお得立ち位置と個性全開のおばあちゃん達に囲まれて、幼くして亡くした母を心に甦らせていとちゃんが強く成長してゆくストーリー。考えてみれば「陽だまりの彼女」も本作も死生観を考えさせられる、という意味ではファンタジー以上の深みがあると言える。映像化はあるか?乞うご期待の一冊。

1月15日(水)

一週間に2冊とは我ながらあっぱれ!これも面白い本を貸してくれる友人達との輪のおかげ。本は友を呼ぶ?と信じて今年もほんとの出会いを楽しんでいこうっと。

「スーパー嫁の汗と笑いの在宅介護」 バニラファッジ 主婦と生活社 ¥952+税
読みたくない人は絶対読みたくない両刃の一冊でもあるかも。こちらもOさんより年末に借りたもの。ずっと同居していたお姑さんを先年送ったOさんはこの方のブログで大いに力づけられた、とのこと。姑だけでなくその妹まで要介護状態で同居して子育てもまだ真っ最中で、と私やOさんより更にどたばた感が高そうだが、二人の老人の持つ潤沢な共済年金のおかげで昼は家政婦さんも入れているところが一般人とは違うところ。ご本人も「介護はお金(介護保険もいざ利用となれば先立つものはお金ですから)」と言っている。借りるときにOさんが「ラストで著者が子供たちへ、とあてた文で『是非認知症がひどくなる前に、入所させて下さい。でも自宅で介護するなら叱らない介護でお願いします』とあるのが哀しい(散々介護したのに自分のときには報われず、みたいで)」、と言っていた通り、この部分が本音なんだろうと読み終わってつくづく思う。どうなる我らが高齢化?日常を笑い飛ばさないと介護は大変。このラストだけでも読んで欲しい一冊。ただ50歳のファッジさんだから「ピンピンころりがいいわ」「70歳まで元気に生きられたら、もう死んでもいい」と書いているが、ちょこっと年上の私は、友人の親の喪中欠礼だけでなく本人の逝去もぼつぼつ始まってくると先に逝った友人達「まだ早いだろ!」と言っている自分がいる。60歳になったら70歳はすぐだで・・・・そのときにファッジさんのように「もう死んでもいい」と言えるかな?


「晴天の霹靂」 劇団ひとり 幻冬舎文庫 ¥495+税
なんとも風采の上がらぬ男が主人公なんだけど、そうだったのか、お父さん!という感動のラスト、なので是非最後までお付き合いください、とおすすめの一冊で、我ながらびっくり。p11の「普通」を手に入れる難しさは大人になるとわかる、とか、p55そもそも訪れるもんなのか、幸せって。違うだろ、その考え方がそもそも違うだろ。(中略)きっと、幸せってのは俺が思うことなんだろ。何でもいいから、俺がそれを感じたら、その瞬間が幸せなんだろ。何でもいいから、俺がそれを感じたら、その瞬間が幸せなんだろ。とかあたりまえだけど子供なんかにうまく説明できないフレーズもあり嬉し。

1月8日(水)

今年もよろしくお願いいたします。年末年始は実家でおさんどんと育児に追われていました。結局こまちの往復でページを稼いだ感じ。去年去年は心に響く文章をあまり見つけることができませんでしたが、今年は本とのいい出会いがあればなぁ、と思います。

「ロスジェネの逆襲」 池井戸潤 ダイヤモンド社 ¥1500
久しぶりに忘年ディナーできたOさんに借り。忙しい製作の合間にアンテナぴぴぴの高感度の読書をされていることにいつも感心してます。年末埼玉が楽しく過ごせた話題の一冊。バブル世代半沢が下の世代と共に出向先から結果的に自分の古巣を救う。巻を追うごとにどんどん上がっていく請負額だが、さて次の人事は?良い上司を見つける嗅覚も下の世代には大切と思われるサラリーマン縦社会がうまく描かれたおすすめの一冊。


「ユーミンの罪」 酒井順子 講談社現代新書 ¥800
これもOさんより。さすがでしょ?かつて女性シンガーの比較で原由子と比べてユーミンは「あたしの歌で泣きやがれ」とファンを引っ張るタイプ、と評されたことがあったが、本書でももちろんユーミンのカリスマ性に言及。ユーミンの歌は女性が抱える全てを肯定し、そのお洒落な存在が一般人にも「永遠に現在を(現役を)走れる」と思わせてくれたことが罪なのでは、と分析。加えて彼女の歌は「所属している」(会社、家庭、恋人などなどに守られている、という意味)女の歌、という分析も当たっている気がする。


「ハルさん」 藤野恵美 創元社文庫 ¥720
男手ひとつで育てた娘が嫁に行く、という感極まるラストまで娘との思い出を語る、というストーリーだが、日常ミステリーというほどのことはない日常生活が描かれた一冊。書店員おすすめということで新聞掲載されていたが、書店員たちは皆独身なのか?一番のミステリーは、娘が何故この人を選んだか?という疑問をずっと持ってたハルさんがラストで納得できたところ。「だからこの人を・・・」とあったが「だから」が謎の私でした・・・花嫁の父は複雑だねぇ・・・私は結婚は異文化交流だと思うけどね。


1999年の日記 2000年の日記 2001年の日記 2002年の日記 2003年の日記
2004年の日記 2005年の日記 2006年の日記 2007年の日記 2008年の日記
2009年の日記 2010年の日記 2011年の日記 2012年の日記 2013年の日記
2014年の日記 2015年の日記 2016年の日記 2017年の日記