RUMIKOの読書日記

2007年
カウンター設置 2003/02/11

 

12月15日(日)

「哲学塾〈畳長さ〉が大切です」
山内志郎 岩波書店 ¥1300
曝書なのをいいことにすっかりゆっくりしてしまいました。帯や見返しで親しみありげに落語芸の秘密、話を面白くする畳長さがコミュニケーションとシステムを支える、とあったので読み。落語といえば今放送のNHK「ちりとてちん」落語版スラムダンクと思って見ている私。でもさすが哲学者、考えるために考え、平易なことも難解に?専門用語も出てきてゆっくり味わう一冊。


「別冊太陽 井上靖の世界」
平凡社 ¥2200
「しろばんば」出井上靖を知ってから学生時代は井上か遠藤か、というほどはまっていた。結局書きやすさで遠藤にしたが。井上靖の硬質な文章も好きだった。久しぶりに全体論的な特集を読み、写真と説明に触れる一冊。


「仕事で遊ぶナンバ術」
矢野龍彦・長谷川智 ミシマ社 ¥1500
「ナンバ」で思い浮かぶのは陸上選手と介護の世界。でもここで出ているのは武豊と司馬遼太郎。「峠」読むべきでしょう。それぞれ世間の目でなく自分のペースを大切にしているから。
心強いのはp71「社会に出ると勉強が出来るとか知識が豊富ということが賢いことではない。自分のおかれているその場の状況に応じて行動できることが賢いということだろう。」と若者に言ってあげたいよね。随所に良いことが書いてある、なるほどの一冊。

11月20日(火)

「『綺麗な人』と言われるようになったのは四十歳を過ぎてからでした」
林真理子 光文社 ¥1400
「STORY」という雑誌も読んでないしもうすぐ50だけどこのエッセイは林さんの小説家らしい感性があちこちに感じられるとても良いエッセイだと思う。そしてあるある、共感できる文章の数々。
p91、「自分が好きで似合っていると思っていたものが、実はまるっきり違うとわかったときの悲しみ。」
p109、「わたしたちはたったひとつの人生しか生きることが出来ない(中略)。劇場へ行くと見せられるきらびやかな人生。(中略)あんなふうに生きたかったとおもうけれどももう遅い。仕方ないのだ。この人生を送るしかない、と思いながら帰路につく。」
p141、(今の四十代に対して)「今、外見が若くなっている分、中身は幼くなる一方だ。外見とは別に、中身で若い人の憧れとなるようなことがいくつできるだろうか?」
p218、「帰省して親の老いと向かい合う。これは親からもらう大きな贈り物という気がする。」
林さん、いい年の取り方してまっせ、と思う一冊。


「強運道」
清水克衛 総合法令 ¥1500
読書のすすめ、というユニークかつわかりやすいネーミングの本屋さんにしてNPO法人「読書普及会」理事長という本好きにはうらやましい著者のパワフル強運エッセイ。使い古された言葉だがp218「やってやれないことはない、やらずに出来るわけがない」って「成せば成る、成さねば成らぬ何事も、成らぬは人の成さぬなりけり」みたいでごもっともです。部活や受験でも言いますね、このセリフ。でもこれって前述した玄ゆうさんの言ってることに通じるかも。

11月2日(金)

「いのちの往復書簡」
玄ゆう宗久 岸本葉子 中央公論 ¥1400
仕事柄色々な形の最期に接していると誰にも公平に訪れる死であっても癌になった岸本さんの自問、煩悶を宗久さんに投げかける書簡を読むと急死ではないからこうして色々考え、言い残すことが出来るのはいいことなのかも、と思う。
心平かに日々を送る術を押し付けがましくなく語る一冊。
高校時代の友人でメール往復書簡をしているKさん(ちなみに前回読書日記「季節の旅」の著者のお嫁様でもある)、あなたもきっと読みたくなる!と個人的な訴えかけ。
この中で深く感じたのは人生の流れで考えるp41「労働などの行為によって満たされる『創造価値』、あるいはそれができなくなっても(リタイアしても、の意味か?)自然や芸術などを鑑賞したり人を愛することでもたらされる『体験的価値』がある。そしてたとえば寝たきりになり、電話ボランティアさえ出来ないような状態になったとき、(ターミナル、ということか?)その現実にどのような態度で臨むかという「態度価値』がある。【ヴィクトール・フランクル「態度価値」】というところは心しておきたい一文。
加えて人生を長いスパンで考えるのも大切だが、p180「而今」(明日より先のことは考えない)の態度の大切さもこの年になるとわかってくる。考えることのできる一冊


「忘れそうなモノ語り」
林えり子 グラフ社 ¥1300
なつかしいけど私が子どもの頃にはまだ現役だったモノ達にスポットをあてるALWAYSな一冊。箱庭に関するエッセイ(p188)で箱庭を愛する日本人のDNAが「電話とカメラとパソコンのミニチュアを寄せ集めてケータイという箱庭を作り出したのだと気づいたのだ」というところはいたく感心。


「屋上への誘惑」
小池昌代 岩波書店 ¥1500
詩人という資質を持つ作者が切り取った日々のヒトコマのエッセイ集。清々しくシュールで深い日常の一瞬。それでいて人生を深く示す一言
p108「他者や対象との出会い(衝突)がなければ自分というものとは出会えない」

10月16日(火)

「白蛇島」
三浦しおん 角川書店 ¥1900
平成13年の初版である。当時の新刊リストによると鈴木光司「りんぐ」「らせん」や瀬名秀明「パラサイト・イブ」などのホラーが席巻していた時代のようだ。作品的には恩田陸の主人公や設定とリンクしてしまうようなひと夏の冒険物語。


「季節の旅」
小出民子 東京四季出版 
友人のお姑さんの本が贈られてきた。仕事柄老々介護の暗い老後を多く見ている身には(昭和8年生まれというから要介護の方々と同年代ではあるのだが)退職後免許を取られた写真が趣味のご主人と、中年から始めた俳句を趣味とする著者の仲の良い老後(もちろんお二人は老後などとは思っていないはずだが)の楽しい俳句紀行文となっている。現代版「奥の細道」といったところか。行く先々で季節や食を楽しみつつ、p116「何処に行っても女はすぐ主婦の顔になる。」って向田邦子の文章みたい。ちゃんと巻末で発行にあたり協力してくれたお嫁さん(友人のこと)に感謝とかいてくれているのも嬉しい。目指せ老後は小出さん、という感じでこれからに温かな灯を灯してくれた一冊。秋田は2ヶ所掲載だが秩父や烏山など個人的に興味あり。

9月29日(土)

「奥様は料理がお好き」
邱永漢 実業之日本社 ¥1200
物価や家賃・給料のことを抜かせばs34の発行でも内容が古びていないのだからやはり文章上手、ということなのだろう。全編に流れる明るさが邱さんのタフさを感じさせる一冊。アウェイで暮らすってこういうことだよね、と共感できる一冊。


「農村の幸せ、都会の幸せ」
徳野貞雄 NHK出版 ¥740
タイトルが昔子どもに読んでやった「まちのねずみ、むらのねずみ」のようですが、内容もちょっと似ていて、それぞれの分をわきまえた暮らしをすることが万人の幸せ、でもこころにゆとりのある暮らしする、ということに重きをおけば村の暮らしにも軍配は上がるよ、という結論を平易に説明。一番の勝ち組は農家の長男公務員、というところは当たっていると思う最近の私。


「女性の品格」
坂東真理子 PHP新書 ¥720
今年売れました〜!元埼玉県副知事、現昭和女子大学長。ぱったり辞めた安倍元総理の推薦本「国家の品格」に呼応するかのように、でももっと女性向けに具体的に訴えかける自分磨きの一冊。娘B→母→私とまわし読み。さてこれから社会に巣立つ、そして一番読ませたい娘Aにも回さなくちゃ、の一冊。

9月10日(月)

「首都圏の中の秋田」
遠藤知子 秋田魁新報社 ¥1785
佐竹の名残ある台東区周辺、秋田の人の足跡を辿る東京と帯にあるとおり「ぶらり散策、思わぬ発見」の一冊。Mさんより借り。写真も多く読みやすい。秋田を離れた学生にも面白いかも。この本で東京を歩いてふるさとを知る一冊。


「魂の居場所」
白洲信哉 世界文化社 ¥2400
コスト的にも充実の一冊。白洲正子さんの次男の息子さん(白州さんの孫)で幼少の折はよくおばあちゃんと旅に行ってたらしい。いいおばあちゃんだよね、その行動力。私の好きな正子さんの旦那様の次郎さんの話が出ないのが残念だがきっと物心ついたときにはおばあちゃんが「白洲正子」になっていたからだろう、と著者の年齢を思いながら読み。正子さんと交流のあった人々との対談や作品を交えながら白州さんの旅は「旅することによって沈んでいた魂(日本人的な感性、とも思える)が立ち上がる再生の道だった」という形の思い出を語る一冊。白州さんの「隠れ里」という本があるが今後東北が日本の隠れ里になれば素敵、と思いつつ読了。そんなCMやってるし。

9月2日(日)

「だまし絵歌麿」
高橋克彦 文芸春秋 ¥1905
250ページまでは退屈だったがこのままで終わる訳がないと信じて?読んでいったら謎が解けてゆく過程がテンポ良く描かれてきてそれからは524ページラストまでスピードアップ。高橋氏の名を高めた「写楽殺人事件」のように江戸時代の画師と主人公の交流も面白い。秋田藩も出てくるし。


「愛を笑いとばす女たち」
坂東真砂子 新潮社 ¥1200
やはり「死国」だろうか?土の香りのする感性を抱いたまま今はタヒチに暮らす。作者が一番伝えたかったのは、ラスト4行の(p189)「文明社会の作り上げた、性を束縛するための仕掛けとしての『愛』を笑いとばすこと」という部分かも。タヒチの持つ楽園としてのエネルギーから(p80)「楽園はタヒチという土地に存在するのではない。楽園とは『今』しかないという特性、『今』という時間の中に存在するのだ」とは至言である。また、昨今の日本みたいだが(p20)「憤りや怒りは精神を緊張させる」ってくも膜下出血を起こしやすい人の性格分析みたい。(p21)「怒るだけでは、物事は解決しない。」も子どものしつけにキレる親たち(昔の自分を含め)が一歩進めなくちゃいけない考え方だよね、と思いながら読み。

8月20日(月)

「なつのひかり」
絵國香織 集英社文庫 ¥571
こんなに早く2冊アップできるのは家でよんでいたものと埼玉で読んでいたものがあるからであーる。タイトルが一見詩的な樹がするが実は上大岡トメの「しろのあお」の人名みたいである。私が手に取った本を見て「その本よりはこれがいいよ」と言ってこの本を貸してくれた娘。このシュールさが気に入っているのか?といぶかりつつ読み。キーワードは「兄への未分離な愛」でしょうか。刹那的に生きられる皆がすごすぎ!


「奥の細道、芭蕉を解く」
安原盛彦 鹿島出版会 ¥1800
著者は秋田県立大の教授で空間史、建築計画がご専門である。そのため本書で取り上げた松島と象潟の空間的対比、「奥の細道」での句たちを新しい視点から味わえる。中高の授業だけだったら多分西施の薀蓄で終始してしまったことだろう。
また、著者が考察する「場の支配力」と「場を得ることの大切さ」(平泉、壺碑)はすべての人に通じる考え方だろう。だれも輝ける場、生き生きできる場を持ちたいだろうから。そしてそれがp132芭蕉の持つ空間把握の確かさへと発展していく。場のエネルギーということも語りながら、p136で表日本、裏日本という表現があるのに少し驚き。だってもしかしたら雨の松島、晴れた象潟を見たら芭蕉の句も変わったかもしれないのでは、とも思うから。私的には昔一度だけ訪れた松島は雨、象潟も晴れた日に訪れれば7号線の日本海もいいもんだからね。

8月18日(土)

「『おじさん』的思考」
内田樹 品文社 
今回の選挙における自民党大敗にかこつけて借りたわけではないが「こつこつ働く正しいおじさん」の復権を願った一冊。成人することはできても人間として成熟することは難しい、といったところだろう。これって親になることは出来ても母になることは難しい、みたいである。
p205、未来は予測不能ということを頭に入れておいたほうが生き延びるチャンスが高い、はごもっとも。柔軟に生きろ、ということでしょうか。
p216、他人に分かち与えることでますます贈り主を豊かにする贈り物を蔵し、相手とまっすぐ向き合うこと、未来や他者にどれほど開放的になれるか、夏目漱石の「虞美人草」から引用して漱石は大人だった、いや大人のモデルになろうとした、と解釈したところにも共感。


「ちんぷんかん」
畠中恵 新潮社 ¥1400
これまたOさんから借りたすっかりおなじみの「しゃばけ」シリーズ。回を重ねるごとに少しずつ若旦那の周辺に変化が出てきており、、どの短編も哀愁のあるラスト。なじんでくると「鳴家」が完全にペット化してきて可愛く。


「氷の華」
天野節子 幻冬舎 ¥1600
これもまたOさんより借り。彼女はミステリー好きでもある。因果応報という言葉が何度も頭に浮かぶミステリー。そもそもことの発端は女子大時代の恋だったのだから。セレブ妻が殺人犯へと堕ちてゆく心の闇を追う一冊。でもあくまでもセレブ、警察なんかには捕まるわけにはいかないわ・・・

7月27日(金)

「まんまこと」
畠中恵 文芸春秋 ¥1400
しゃばけシリーズ作家の新作。もちろんこれを貸してくれるのはOさん。この本にはあやかしは出てこないけど「若いもんが町内の難事件や怪事件を解いてゆく様」が似ている。短編集ながら全編を流れる麻之助の心の奥ががタイトル通りの「まんまこと」を語ってゆく。


「今何してる?」
角田光代 朝日新聞社 ¥1200
奇しくも今回図書館から借りた5冊のうち2冊が角田さんの本。2003年のこれはエッセイ集。読書エッセイも後半についていて興味。
p165の2冊から若者へのメッセージ「未来のことを心配するひまがあったら、自分が自分であり続けられる何か(誇りだったり行動の規範だったり)を見つけなさい」は肝の座った角田さんらしい一言。

7月16日(月)

「さいでっか見聞録」
富安陽子 偕成社 ¥1200
月刊誌クーヨンに連載された童話作家のほのぼの日常エッセイ。心穏やかな時間がほしい人にお勧めの一冊。


「酔って言いたい夜もある」
角田光代 太田出版 ¥1480
魚喃(なななん)キリコ、栗田有起、石田千、長島有里枝との飲み会対談集。おっとりした印象の角田さんが意外に飲兵衛で過激な?一面も垣間見えて旬の人という感じ。4人4様の男性観を語り合う。
p62、いくら普段ラディカルなこと言ってても、実際はやっぱりいろんな意味で自分よりちょっと下がいいと思っている男がいるのは確か。(中略)若い時には「この人の下にいたい」と思う。でも30過ぎると、自分より下にいてほしいと思ってる男の人とはつきあえないな・・・って確かに本音。

7月11日(水)

「ぼくの複線人生」
福原義春 岩波書店 ¥1600
資生堂創業者の孫としての帝王学を受けながらメセナ活動で社会の中で企業は人はどうあるべきかを問いかる福原さんの自分史。人間性を深めることが自然と人脈を広げるというところが嬉しい一冊。


「シックスポケッツ・チルドレン」
中場利一 集英社 ¥1500
ご存知岸和田少年愚連隊の少年時代編。もちろん昔から子どものいじめや虐待はあったし、しょーもない親もいたはずだけど、(そしてそのしょーもない親は主人公ヤンチの父さんだけど)子どもを必死で守る親の心は伝わってくる一冊。
p32ヤンチが友人宅でチャーハンを作る描写が私が子ども時代に初めて食べた友人の手料理もチャーハンだったことと重なりなつかしい。

6月28日(木)

「プライド 処世術2」
藤原和博 新潮社 ¥1300
人生の教科書藤原さんの2000年の本である。文中自分の子どもが中学になる10年後には教育に携わっていたい、の言葉通り今彼は校長センセになっているからすごい。
文中にあるとおり(p62)小学生に参画意識を持たせた同期付けの教育をしているのだろう。
嬉しいのはp78、テレビや新聞の受け売りで経済を語る輩より、自分自身の身の回りで起こっている小さな事件から世の中の流れを読んでいく、いわば臨象経済ができる人材の方が現場に強く判断を誤らない、というところ。これって横丁のご隠居さんてことだよね。さてこの頃ご隠居がどれだけいるだろうか?


「女の気持W」
毎日新聞大阪本社学芸部 求龍堂 ¥1200
1993〜2004毎日新聞大阪本社のほうに投稿された作品を掲載。10年後、あなたの状況はどう変わったの?と聞きたいような様々な女性の暮らしが描かれている。
2004.7.22(p247)の「手を使ってごらん」はついつい「早く」とか「ちゃんと」とか行ってしまいがちな子育て中の女性には参考になる一文。

6月22日(金)

「渋谷の考現学」
鈴木健司 NHK出版 ¥1200
まさかこれを読んですぐ松涛の温泉(ニュースではスパと言っていたが)でガス爆発があるとはあまりのビンゴに怖くなった。最初は具体的なモノから街を見ていったが、さすがに最後のほうは種が尽きたのか?地形的に渋谷を見て行くのもまた楽し。読めば意外な渋谷を発見できるかも。そして私は知らずに感想で「松涛温泉とミニバスが面白いかも」と書いてしまった!旦那に言わせれば1500メートルも掘らなきゃ温泉出ないのは危ない、とか。うーん確かに秋田はあちこちに温泉ありすぎ!交通費が安ければ今の時代もっと秋田に気軽に温泉浸かりに来れるのにネェ・・・東京ホテルとのパックはめちゃ安いのにネェ・・・


「とりぱん」1〜3
とりのなんこ 講談社 ¥590
さすがアンテナぴぴぴ、のOさんである。これは漫画であっても立派なエッセイ。猫村さんが猫の独り言風なエッセイというならこれは作者と庭に来る鳥さんとの交流なのでもちろん鳥さんはセリフが言えないので作者の一人つぶやきがいい味のエッセイになってるわけで。そして季節の移ろいなどもほっこりと描かれていて盛岡?万歳!東京じゃ書けない作品。

6月10日(日)

「ツチヤの口車」
土屋賢二 文芸春秋 ¥1429
ご存知土屋センセの爆笑エッセイ集。絶対笑ってしまうのは
p142〜致命的欠点『正確な診断、診察料格安、高度な技術、通院至便アルマジロ専門内科医』『ハンサムで背が高くて金持ちで両親も居ない独身の男なのに寝小便をする』
p196〜脅し方の研究恋人同士編。最初のうちは「別れる」「死んでやる」だが、年を重ねる重ねるにつれて「毎日ずっと家にいるぞ」を経て、最終的には、寝たきりになって「長生きしてやる」


「ドラマデイズ」
吉野万里子 角川書店 ¥1300
2005年第一回新潮社エンタテインメント新人賞受賞者というだけあってテンポと文体で読ませてくれるOL小説。28歳の女性がこれからの人生に迷う姿がいじらしい。あっと読みの一冊。

6月6日(水)

「清貧の生き方」
中野孝次編 筑摩書房 ¥1300
「清貧の思想」がベストセラーになって心ならずも「清貧」どころか「富裕」になってしまったのでは?と気遣いながら?手に取った関連本。こちらは清貧な暮らしを実現、提言した先人を集めたアンソロジー。
安岡章太郎が1990年に旧かなで書いた作品ですでにp150「いくら医学が進歩して、人間の寿命が何割かのびたと言っても、そのぶん、私たちが余計に仕合せになったといふわけでもないだらう」と言っている。そしてそれを20年近くもひきずっている日本。ということはこの20年私たちはずっと不幸なの?
最後を飾るのは秋田県出身(でも夫は知らなかった)経済学者中村達也。そこで引用されたミレーの晩鐘の静かな空気がいとおしくなる。


「オバサン論」
大塚ひかり 筑摩書房 ¥1400
44歳になって改めて「若くはない」と思い至った作者がオバサン期=第二の思春期=どろどろで醜く精神不安定(p2)と言い切っているところから始まるオバナン復権論。古典エッセイストという仕事柄、古典に出る「オバ」を例にとって展開するオバサンへのエール。少子高齢化だもの、こんな本たちが増えるわけだわ。前回読んだ平安寿子さんの「あなパラ」の説明本てことで。

6月2日(土)

「あなたがパラダイス」
平安寿子 朝日新聞社 ¥1600
Oさん、読み終わりました〜!やはりいい味出してる安寿子節。アンチエイジング小説、と帯に銘打つだけあって主人公は50代。そしてパラダイスの「あなた」とは!?読んだ人のお楽しみにしましょうか?
安寿子さんと同年代の50代より30代を描いた他の作品のほうが生き生きと描いていたかな?と比べつつもしかしたらそれは世代の持つ勢いか?とも思い。
p72「そうなるまでに50年かかったけど、変われないまま死ぬより、何倍もましよ。」はいつもの安寿子ブレイクスルー。
p43「気持の通じない人間と相対すると、楽しくないだけではない。まるで相手がブラックホールで、際限なくエネルギーを吸い取られるような気がするのだ。」も至言。
p132「難しいな。親で、嫁で、娘。」
p270「未来か。その言葉が使えるのは30まで。更年期ともなると、そこから先は未来じゃなく、老後だ。そう思っていたが、来たるべき明日は常に未来なのだ。」
50代への厳しい現実とエール。もしかするとパラダイスは依存するもの、心のよりどころなのかも。そう男がしばしばアルコールやパチンコに依存するように。そして今の私のパラダイスは、サッカーか?それで元気が出るなら安いもんだ!

5月28日(月)

「運のつき」
養老孟司 マガジンハウス ¥1000
自分のことを語る養老さんは戦争、全共闘を語らずにいられないというのはどの本を読んでも。語らずにいられない、という感じで熱い。というよりそれだけ彼の人生に影響を与えたということ。
p213「日本人はストレスで胃潰瘍を起こし、アメリカ人はストレスで心筋梗塞を起こす。世間での適応ストレスが引き金のようだ。」というところは面白い考察。
p51宮本武蔵の「五輪書」の「我、事において後悔せず」を引用して、「やってしまった(なってしまった)結果に対して悔やむより、氏の結果が良い方に向かうように動いたほうが良い」というのは生き方上手の極意かも。


「エレガントな幸福論」
伊藤緋紗子 筑摩書房 ¥1200
エレガント、という言葉には程遠い日を送っているが、年を重ねる、ということは自分の好きな物を増やすこと、というところは嬉しいことだ。

5月23日(水)

「源内が惚れこんだ男」
野村敏雄 プレジデント社 ¥1900
これは平成5年の月刊誌「大衆文芸」掲載の作だそうだが、秋田の人でない東京の人が彼に光をあててくれたのが嬉しいじゃありませんか!
彼とは秋田蘭画の祖、「解体新書」の画家小田野直武である。
自分の仕事柄源内の急激な人格変化は若年性(ってもしかするとあの時代なら年齢的にはただの)アルツハイマーか?と新しく疑いつつ読み。それでも小田野への扱いと衰弱振りは哀しい結末。ただ絵師として彼の一生は一心に絵を書き続けた、という点では満足か?いやいやもう少し長生きすれば彼の画風もなどと複雑な感慨。
そして素朴な疑問は埼玉の人しか解けないかも・・・p114解体新書を開版(発行のこと)した須原屋ってまさか今浦和にある・・・?


「しあわせのねだん」
角田光代 晶文社 ¥1400
これって幸せになるのにいくら必要?ってな内容ではもちろんない。旅行エッセイも書いている角田さんが買ったモノたちとそれにまつわる日々の形。帯に曰く「お金を使うとき品物と一緒になにか別のものも手に入れている」がなるほどの一言。そして最終回のp188あたりの20代で自分の稼いだお金を何に使ったかで30代の基礎が出来、それが40代、50代でも同じ意味を持つ、というところも今となれば共感。車かエステかなどと言ってる娘にも言ってやりたい。


「帝国ホテル王道のサービス」
国友隆一 インデックスコミュニケーションズ ¥1600
当たり前のことだがやはり帝国ホテルの懐の深さと歴史を味わうことの出来る一冊。それぞれの仕事に誇りを持つ、ということはどの仕事にも通じる。ただしこれも正社員としての雇用あってこそ。今年は秋田国体、さて他県の皆様にどのようなサービスができるのか?県民力が試される。

5月15日(火)

「餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるのか?」
林総 ダイヤモンド社 ¥1500
タイトルを見てリクエスト。具体的な比喩で面白く読める会計の本。会社再生をわかりやすく指導してくれる手段に店が使われるのだ。さて、餃子屋と高級フレンチ、儲かるのは・・・なぜか実は在庫を置かない蕎麦屋!だそうで。(p107)それでも解説を加えるならビジネスの仕方が違うので比較にはならないという結論。その違いは不況のときにどれだけ損を少なくするかを考える中国人と、不況といえども圧倒的な差別化で顧客をつかむフランスの歴史の違いのようである。


「美智子さまの恋文」
橋本明 新潮社 ¥1400
スクープ的な題材を持ちながら文章で伝えることは難しいと思われる一冊。奥歯にもの、のような。皇族はあまりにもスターが多すぎて求心性にかけてしまったようだ。美智子様のことだけ、というわけにはいかず。
「犠牲」とは「幸福」に繋がる言葉ではないでしょうか、という帯の言葉に今どきの人の何人が共感するだろう?いや出来るだろう?


「あだ名の人生」
池内紀 みすず書房 ¥2600
思えば高校の頃が一番先生にあだ名をつけていたかも。偉人,奇人?が登場。
久しぶりに出ました、イエスの墓ある?青森県新郷村(p35)もっと昔なつかしテニスで通った哲学堂公園って実は井上円了作だったの?そう知れば行きたくなるじゃありませんか。(p109)大分湯布院観光の魁もあだ名で薀蓄。

5月7日(月)

「空飛ぶタイヤ」
池井戸潤 実業之日本社 ¥1900
小説ではあるが発端となるタイヤ脱落事件を覚えている人にはページをめくるのがもどかしい一冊。そして映画「バベル」のように大企業と中小もしくは零細企業を使って「二極化」を描いた一冊。知ってますか「バベル」のポスター「神は人を分けた」ですよ。多くの登場人物が出るがかっこいいのはここにしか出てこない(p418)刑事部長長瀬俊朔の鶴の一声。


「14歳の君へ」
池田晶子 毎日新聞社 ¥1143
2006.12.25初版のこの本の著者は2007.5月の今この世にいない。と言うことを知って読むとこの本が「14歳への遺言」のようだ。あまりにも昔に14歳だったわたしは今や頭が働かないので半分も理解できてないと思うが、p177「もし君が今自分は不幸だと思うなら、今すぐに幸福になることができる。自分は不幸だ、と思うのをやめることで、今ここで幸福になることが出来るんだ。」これを理解できるのって年の功。哲学の本のせいか君へのメッセージのせいか私はこう思う、という一人称が出てこない文体が独特。早く読もうとすると同じような言い回しが何度も出てくるようでぐるぐる頭が回ってしまうのでゆっくり読みましょう。

5月1日(火)

「家縁 大阪おんな三代」
今井美沙子 作品社 ¥1800
大姑、姑に仕え、って今の私じゃん、と思いつつ読み。でも著者は大姑とは2年で(30歳前には)別れているが。大阪女のしっかり者の大姑、家事より芸事京女の姑とタイプの違う姑に仕えた面白さが描かれていて楽しい一冊。ことわざで思い出を紡いでいるが、『恩封じは出世の相』のところがわかりにくい。がははは『姑の17、見たものなし』


「リーダーは95歳」
大久保隆弘 ダイヤモンド社 ¥2000
患者に対する看護師の割合が7:1になるように、と今や看護師は引く手あまたである。かつて周産のために2ヶ月ほど入院した秋田大学のナースたちも聖路加のナースたちは違うよ〜、と言っていた。その聖路加国際病院での医師やスタッフの取組みを熱く描いた一冊。もちろん95歳のリーダーは日野原重明さんである。

4月22日(日)

「In His Times」
増島みどり 光文社 ¥1700
確かにタイトルどおりNAKATAは日本のサッカーに彼の時代を作ったと思う。
NAKATAのプロ生活11年を見続けてきた著者が描いたNAKATA像。読んでゆくと彼がいわゆる世に出るタイミングや監督やチームとの出会いが「時代と寝た」女と言われた山口百恵とダブってゆく。NAKATAが時代をひっぱり、時代がNAKATAを走らせた、ってところ。
すべての人に必要な言葉p335「決断に後悔は似つかわしくない。心残りはいつだってあるけどそれを考えていたら前に進めない。」強いNAKATAここにあり。これをこの若さで言い切るところが強靭。
それでも好きな風景は「雲」というところはちょうど今風林火山で山梨が出ているが、盆地で雲の流れが速い町に住んでいた彼の故郷感を表しているようで好感。


「貧困の光景」
曽野綾子 新潮社 ¥1300
青年海外協力隊でアフリカに行っていた従姉妹が帰国後ストイックになっていたのを思い出す。○○に比べたら私たちは幸せ、と言うのは比較幸福論て言うんだよってたしかご自分の作品「太郎物語」で語らせてなかったっけ?昔の言葉で言えば「(上を見たらきりがない)下を見たらきりがない」っていうやつ。曽野さんが体験された貧しい国々も曽野さんご自身は移動手段や宿なども優遇されている感あり、でそのギャップに無力感を感じられたことであろう。厳しすぎる現実は結局終わりに近いp201「道徳が意味を持つのは、明日の食料、将来の生活の目安が立つ場合だけだ」となってゆく。そして日本は道徳の授業に力を入れてゆくらしい。現実の暮らしの貧困と衣食足りて礼節をなくした荒廃した心の貧困、この二つをクリスチャンとしても見つめてゆくことの難しさが本書から感じられる一冊。

4月15日(日)

「ねにもつタイプ」
岸本佐知子 筑摩書房 ¥1500
表紙を見てもしや、と思い借りたらやはり装丁はクラフトエヴィング商会(2006.2.13、2005.5.2にこの商会の本について書いており)。
えっせいというよりショートショート。筑摩、だから掲載しちゃうんだもんねー、と納得していますような文章。(ちょっとシュールで)
私にははじめての著者だがp114の小学館学習図鑑シリーズについて書いているところは同世代的でなつかし。
秀逸エッセイはp197「アイ・スパイ」で幼稚園時代の日常を大人の目線で描いているところ。「男は一歩外に出れば七人の敵・・・」ではないが子どもだって初めての社会生活、バトルだったんだよなぁ、と思い起こす。
恐ろしいのはp196「もしも死ぬときに最後に見る景色を事前に知ってしまったらどうする?」と言うフレーズ。もし海だったら怖くて行けなくなるだろうし(著者言)踏切だったら?崩壊するビルだったら?一歩も家から出られなくなるかも、と思いつつ、でも家の部屋だったら?それも怖い・・・さてちゃっちゃとこれを返してリクエスト本を借りに行かなくちゃ・・・

4月13日(金)

「気張る男」
城山三郎 文芸春秋 ¥1333
亡くなったための特集コーナーから借り。「西の渋沢栄一」と言う帯にも惹かれ。住みませんがたくさんの会社を興した実業家、ということだが、年齢的にか渋沢さんの後を追っていた感。関西商い言葉「お気張りやす」そのままに「走る走る」熱気の男。p132渋沢との一番の違いは「人の話をよく聞くかどうか(渋沢は聞く)」「仲間がいるかどうか(渋沢はいる」というところにも違いが。それでもp237「重太郎(主人公松本重太郎)のおかげでたっぷり遊学できた養子の彼によって導かれた息子。重太郎が蒔いた種が世代を超えて育った」と言うところまで読んでめでたしめでたし。その人の影響と言うのはどこで出るか分らない、から未来は面白いのかも。


「オニが来た」
大道珠貴 光文社 ¥1500
うーん、離婚した(いやこの本ではまだしてないけど)夫の親2名+それより高齢のお手伝いさん1名と同居するとしたら自分のポジションは「新しい女中」だな、と思いながら読み。なんたって世帯主の義父は元医者、主人公は無職だし。看取りも介護もこの3年の状態じゃまだとば口、と思う私の毎日って一体・・・一番いい思いしてんのは夫かよ、と思いながら読了。新聞に紹介されていたのでリクエストしたけど現実が小説よりすごいから共感できず残念。ちがう現実の人なら面白いかも。


「国家を築いたしなやかな日本知」
中西進 ウェッジ ¥1680
日本と言う国が今に至るまで様々な変化を受け入れ、または変革を起こしてきた様子を法律・生活・工芸など25項目たてて検証。大きな変換機を安土桃山と明治維新としてわかりやすい。

4月5日(木)

「役行者」
前田良一 日本経済新聞社 ¥2500
サブタイトルが「修験道と海人と黄金伝説」、高橋克彦みたいだなぁ、と思って借りたらまさにその通り。著者が新聞記者時代3年居住した吉野の修験道を取材したことをきっかけに黄金の古代史を考察。これは東北に舞台を移しても使えるストーリー。興味深かったのはp101とp372に秋田出身で♪篤胤信淵ふたつの巨霊と秋田高校の校歌で歌われている二人が出てくること。二人は修験道の果てに空を飛ぶ少年に質問し、鉱山にも興味を持っている。それが後年の東北鉱山史の礎になっているのかも。


「えびす童子」
高橋克彦 幻冬舎 ¥1700
・・・ということで高橋克彦を借り。因幡の白兎って実は・・・現代に甦った高橋版古事記。物語の面白さを味わえる一冊。

3月25日(日)

「こぼれ放哉」
古田十篤 文芸春秋 ¥1829
放哉の句は結構書家が好んで書くようだ。20代の自分だったらp420「すべての生活を破産させて文学のみが残った」詩人、として彼を見るだろうけれど、41歳で亡くなった放哉の年を越えてしまった今は×。東大を出て保険会社のエリートコースを歩む姿は現在の格差社会そのものだし、結局アルコール依存症だと思うとねぇ・・・生活人として長い今の自分からは共感できない部分も多々・・・p239(お酒を飲んでしまうと言うのは)「ご自分をもてあましているのですよ。」という言葉が放哉のすべてを表しているのかも。「咳をしてもひとり」この句の余韻に伝わる深い孤独感。


「定時に帰る仕事術」
ローラ・シュタック ヴィレッジブックス ¥680
今は文庫本も高いのねぇ、こんなタイトルの本を買ってくるのも残業代がつかなくなったからね、などと思いながら読み。サブタイトルが「有能なのにズボラなあなたへ」だから結構耳が痛い人が多いのでは?人生を楽しむためには結局片付け力と集中力のようで。

3月13日(火)

「日本のたたずまい」
高野進 彩流社 ¥2500
各地の懐かしい風景を写真で紹介。秋田は面影橋、砲術所跡、5丁目橋、天徳寺界隈の商家があるだけで増田の蔵とかがないのが残念。各地の古城、水関係の施設は面白かった。


「『江戸しぐさ』完全理解」
越川禮子 林田明大 三五館 ¥1300
前回の本同様これも日本がテーマだったが、内容コストを考えたらもし買うならぜったいにこちら。人間関係を円滑にする江戸しぐさのルーツは陽明学であり、心遣いである。「肩引き」「階段では昇ってゆく人が譲る」「傘かしげ」などなど。ときどきCMでもやってたけどいくつ身についているだろう。
江戸時代はこれらを9歳くらいまでにしつけてゆくようで。きっと10歳過ぎたら奉公に出たりするからね。
p39「学びが楽しみとなるとき、心の栄養になり、いついかなる時も自分を支えてくれます。他人とも上手に和を保ちながら成長していけます。学びで得た心の栄養こそ、人間の成熟を助け、生きる手立てとなるソフトなのです」って格好良く後進に言い聞かせたいもんだ。
p200「会釈のまなざし。江戸っ子は無気力、無表情を嫌いました。まなざしは人間性を表す鏡のようなもの」最近気になるのは防止を目深にかぶった中年女性。若者はおしゃれで防止をかぶっているけど日焼けや寒さ防止というよりいかにも表情をかくすために、目線を合わせないようにって感じのかぶり方、目に付きます。
さて、江戸しぐさは82個掲載。今年はこれを一つずつ身につけ自分のものにしたいもんだ。


「カーライルの家」
安岡章太郎 講談社 ¥2500
小林秀雄、漱石が出てくるから昔のエッセイなのかと思いきや2002のものである。この薄さと大きな活字で¥2500は団塊目当てか?と勘ぐってしまいそう。吉行去り、遠藤去り。残った安岡の変わらない文体を味わえる一冊。

3月3日(土)

「私のスフレ」
林真理子 マガジンハウス ¥1200
購入されてすぐ借りられた林さんの新刊である。
p117「背伸びをしなければ成長はない」と言うセリフ、うなってしまった今の私。そうそう、人って年取ってくるとやんちゃしなくなるものなぁ、努力しない、というか不満たらたらなんだけど一応現状満足というか、丸くなってくると言うか・・・
でもp171「そして中年になった私は傲岸に顔を上げ、「だからどうした」とつぶやいている。二十歳のわたしには決して口に出来なかった言葉だ。」ってこの2箇所だけで小説になってる林さんのフレーズ。
新刊なだけあってラストは秋田の畠山鈴香事件に言及。自分との共通点を述べ(ずぼらで片付け家事が苦手など)一つタイミングがずれれば作家でなく鈴香だ、と考えているところも深い。


「ひとり日和」
青山七恵 文芸春秋 ¥780
今回の芥川賞受賞作、ということで文芸春秋に掲載されていたのを友達Mさんから借りて読み。
初めて親元を離れたハタチの女の子が71歳の遠い親戚のおばあさんのところで暮らす一年の物語。村上龍、石原慎太郎絶賛、という鳴り物入りの受賞作。おばあさんが一人で達観して暮らす姿、駅のホームを効果的な舞台としつつおばあさんの家もの家も主人公のホームの役割になっていたのかな、と温かい心になり読了。仕事柄この年の私でも利用者さんから「若いっていいわねぇ」と言われる。23歳の女子(著者)から見た71歳ってこんな感じなのかぁ、と思いながら読み。一人暮らしになっても遠縁の子を住まわせて、というかたちが支持されているひとつになったかも。


 

2月27日(火)

「空海」
高木、元 岡村圭真 吉川弘文館 ¥2600
うぅ、ただ図書館にリクエスト本を借りに行くノルマの為だけにがんばって読み。空海が空海になってゆくことだけは理解できる(今まで多くの歴史書に書いてあったから)けれどやはり宗教的内容になると用語他難しい。興味深かったのは日本三筆と言われた空海の様々な字体と文字自身に宇宙を感じる空海の大きさである。あの勢いが空海たる所以ね、きっと。


「真っ赤なウソ」
養老孟司 大正大学出版会 ¥1200
これを書こうと最後を見たら大正大学サテライト教室の講義だから宗教が出てきていたのだ。養老さん、宗教のほうに行っちゃったのかと心配しちゃってた。
p60「若い人に城を明け渡す」=社会的役割を持たせる、って今見ている大河ドラマの父子の確執のよう。おっと高視聴率「華麗なる一族」もか?明け渡したくなくて若い人が沢山死ぬ戦争を起こしたって激しすぎ?
加えてp138「女性の平均寿命が延びたのは大正10年水道の漂白消毒が始まったから、は目からうろこ。
そして是非読んだ欲しいところはこれまた老若の確執なんだけどp158「俺が我慢したんだから、おまえも我慢しろ」という年寄りでなく「自分は思い切って生きてきたんだから、おまえたちも思い切って生きたらどうだ」と前向きに言うことが必要とは至言。たしかにこれはなかなかいえないセリフだよね。老のほうもこう言い切るだけの自己実現ができてないとね。

2月20日(火)

「強運な女になる」
林真理子 中央公論社 ¥1300
各雑誌掲載のエッセイをまとめたもの。97年出版なので以前にも読んでいたが、発行以来10歳自分も歳をとってくると内容が更に身近になってくる。ただし掲載誌のほとんどが30代女性が対象のようなので強運のほうはその方たちがつかむのね、と思いながら再読。
だからp29「一生懸命努力している女の子はそれだけで運がつかめるはずだというのが私の持論である」ということに。
p103和風コスメの項で金沢金箔脂取り紙のすごさは去年金沢に行ったときに私も体験、娘たちも購入しました。
林さんは10年前にp173「いま古風なことが新しい」と言っているが色あせていないと思う。


「節季の室礼」
小林玖仁男 求龍堂 ¥2000
前述林さんの「古風が新しい」とビンゴなわけではないがアンテナぴぴぴのOBAKOさんから借り。すごい本を見つけてきたもんである。「埼玉のお店が載ってるけど知ってる?」と言われ知らないのはあたりまえ、平成7年の開業では私は秋田人になっていたのだから。ここで営まれる季節のしつらえと料理、庭の写真その他を味わう好きな人には価値ある一冊。これで¥2000とはお値打ち。おあとは行ってみての感想だな。お借りしたとはいえおそらく自分も手に入れてしまうであろう一冊。

2月13日(火)

「あなたにもできる悪いこと」
平安寿子 講談社 ¥1500
「女子!」と呼びかける若手お笑いタイガー・リーだっけ?あえて今回の感想はこの言葉を使わせていただきます。なぜならこの人の作中人物の共通点は、たとえ不器用でも無愛想でも生きることに積極的な女子に尊敬をこめて(流れ的には感心してしまい、という感じだけど)「ついていきたい」と男子の方が言い切るところだと思うから。今回は男子が主人公でヒロインはあくまでクールなのだがやはりラストはそんな感じにまとまってくる。テンポ良いだまし(脅かし)のテクニックが面白く読める一冊。


「心にナイフをしのばせて」
奥野修二 文芸春秋 ¥1571
朝日新聞で出たときから読みたかったの、この本。貸してくれるOさんの相変わらずのアンテナの高さに脱帽!
少年Aは弁護士として社会復帰。東野圭吾ならここからストーリーが始まるところだが、ルポとしての本書はあくまでも被害者の家族のその後を追い、ラストで少年Aのその後を明かす、という形を取る。
タイトルの言葉は被害者の妹が言った言葉である(p261)少年Aに再会のその日まで心に云々、と言う形になる。それでも妹は事件から30年憎んではいても敵討ちのようなことをすると自分がそのときに引き戻され、犯人と同じレベルになってしまうのが悔しい、と続ける。対決より見下したい、と結ぶ。
しかし本書でそれ以上にすごいのは奇しくもその後を書いたことでエキセントリックな母子関係、というより母の姿に翻弄された父と娘のその後が書かれてしまった。昭和30年代の母親って・・・、とそちらの方に共通点を見出す40代後半から50代も多いのでは。ただし母親が最初からこうだったのか?息子を惨殺されてこうなったのかはわからないのが救いかも。


「ふりかえる勇気」
なだいなだ 筑摩書房 ¥1400
上の本とほぼ同じ値段、話題性なら「心・・・」だが何度も読み返すならこちらだろう。思えばこの人老人党なるものを結成していたからこの本を書いたのだ。かなり政治のことに言及しているから。熱い老人魂?が今の日本を鋭く批判する。

2月9日(金)

「雄気堂々」
城山三郎 新潮社 ¥2400
1月に読んだ「渋沢栄一を歩く」から借り。読むとここからの引用と言うか文体が似ている部分が多かったのに気づく。あまりにも大作(ページ数多く2段組だし、全集の中の一巻まるごとだし、ということで一冊読むのにこれだけかかってしまいました。
建白好きの栄一だが人の建白もよく容れたという人柄に関してp372「上に対しても下に対しても開いた心の持ち主」と表現しているところが一番よく彼を表しているようだ。
確かに明治新政府、お国柄の様々な人びとの中で貴重な存在だったかもね。そしてこの心のおかげで明治の元君江藤、西郷、大久保のように孤立することがなかった、というところはもしかしたら坂本竜馬になぞらえることが出来るポジションかもしれない。会社もいろいろ興しているし。
そのくせ長男を廃嫡した決断にもびっくり。ま、廃嫡と言っても裕福な暮らしをし、悠々自適に趣味を楽しんで生きていた様子がこれはこれで幸せな長男かも、と思ったりして。
全体としても印象派城山さんが歴史上の人物の人相を結構詳しく書いているのでもしかしたら結構「顔は人なり、というか男の顔は年輪」という気持の人なのかなぁと思って一人一人の特徴を辿ってみた。業績で辿るのとは違ったアプローチも小説らしくていいものかも。ビッグになって社会還元というか社会福祉のためにも尽力した晩年の栄一も読みたかったが妻の死、彼が43歳のところで終わっているのでちょっと残念。おいおい、43歳って今や自分よりずっと若い。のにこの仕事。ま、明治の偉人たちも結構若くして亡くなってるんだけど。

1月29日(月)

「打ちのめされるようなすごい本」
米原万理 文芸春秋 ¥2286
去年亡くなられた米原さんが文芸春秋に連載されていたものが一冊に。
いーなー、日韓ワールドカップVSロシア戦は通訳としてVIP席で見たのね〜(p106)と思いながら読む。(p150)日本人は団体行動は得意だが、実はチームプレイは苦手、というフレーズもどこかの監督のようなお言葉。
しかしp192癌の告白後の不安な気持があちこちに出始めてリアルタイムでこの原稿を書いてたんだろうな、と思う。
読書日記なので恩田陸はでてくるかなぁと思ってたら「ドミノ」のみ。読んでらっしゃる本の格調が高くてどこから手をつけていいのやら。
しかしp453、介護はドラマだ!の章「私の介護戦争」(宇野淑子)で自分も要介護4のお母様と暮らしている、と書いてある。このお母様を残して米原さんは逝ったのか、と思うと・・・合掌。


「僕たちの好きな村上春樹」
別冊宝島 宝島社 ¥945
出会う年代によって作品の受ける印象は違う。ということで何歳で春樹を読むかで当然感想も違うはず。ちなみに私は大人になっていました。
この本はデビューの時に同世代、もしくは感性を揺さぶられた人たちによって作られている。料理、音楽、旅など20のキーワードで作品の世界にふれられる雑誌である。
春樹ワールドばかりでなく、p107「主人公がいつも『僕』なわけ」の章などは全共闘世代の「我々」から湖心として生きてゆく「僕」への変化や、女性からはピュアな印象を受ける『僕』という用い方は現実とあまり深く関わらないデタッチメントか、という指摘も分析的で面白い。春樹ファンなら持っているであろう一冊。

1月23日(火)

「愛の保存法」
平安寿子 光文社 ¥1400
久しぶりに見つけた平さんの短編集である。そしてあるあるスバリのひと言。
これは今の私?でも主人公は20代だからもっと哀しい。20代で働きながら遊びもせず自由時間もなくもなく母の介護をしてきた丈彦。p66「感情のスイッチが切れていた。いつからそうだったか、もう思い出せない。何をやっても心から楽しめたい。笑ったり泣いたりしない。年の割に落ち着いていると言われ、会社では上司の受けが良かった」
そしてこれは気づいていない誰かのために。p117「言ってくれたら何でも手伝うというのは、たとえば溺れかけてる人に救命胴衣も浮き輪もオールもあるよ。要るものがあったらそう言って、と呼びかけているようなものだ。」
でもフラれた剛はいつもの平安寿子節で立ち上がる。p120「有子は母の死を、剛は一方的に断ち切られた想いの痛みを乗り越えなければいけない(中略)ちっくしょう。負けねえぞ。」
哀しくもタフな主人公たちがこっちを向いてにっと笑っているような短編集である。


「いい男の条件」
ますい志保 青春出版社 ¥1400
銀座で頑張って会員制倶楽部を成功させた若きママが癌闘病中、というので気の毒に思っていた。タイトルからして経験に裏打ちされた一冊。

1月18日(木)

「元気なまちのスゴイしかけ」
佐々木陽一 PHP ¥1600
24の町の活性化の秘策をまとめた一冊。ちょうどこれを読んでいるとき(たしか1月16日付だったと思う)朝日新聞にとうほくこれから活力あふれる町、みたいなテーマでランキングが。その一位に輝いたのがここに掲載されている山形県長井市。残念ながらこの本に秋田県は出ていないばかりかその新聞ランキングでも東北の県庁所在地最下位の32位。それを逆手にとってなにか奇策が出てくるのを待つ、しかないか?本に出てくる24の町はへぇっ?と知らない町だったりして読むのが面白かった。

1月14日(日)

「ふつうのおいしい」
大橋歩 マガジンハウス ¥1200
おいしいものを食べたい、というのは誰もが望むことだけど、良い食材、良いお店があれば9割はかなうわね〜。それが日常になってゆけば日常(ふつう)は「おいしく」なるはず。大橋さんの暮らしぶりが垣間見える楽しい一冊。


「渋沢栄一を歩く」
田澤拓也 小学館 ¥1900
帯に曰く「生きて居られたら誰よりもお会いしたい人」(城山三郎)だそうだが、私も会えるとしたら渋沢さんと白洲次郎さんね〜と思いながら借り。のんびり気風の埼玉は偉人が出にくいらしく私が子どもの頃から(多分今もかしら?)全県偉人地図とかあると塙保己一と渋沢栄一だった。でもなぜか芸能人は多いの埼玉。きっといろんな県の人が東京に出てきて結婚して家を建てるからかしら?91年の生涯、今の日本を支える幾多の事業を興し、経済や技術の発展に努めながら自分が得た巨万の富を教育や社会の福祉のために、というところを尊敬しつつ読了。150センチ台の身長というとこrも埼玉らしい。秋田から埼玉に行った娘たちが口をそろえて埼玉の人たちは背が低い(埼玉人の私の血が入ってる娘たちは自分たちも背が低い)と言ってました。ついでに言えば秋田の男子はすらっとしてるからそれだけで関東地区でモテる、とも。

1月7日(日)

「美しい国へ」
安倍晋三 文芸春秋 ¥730
去年はこの本も売れたでしょうね。私はOさんに借りました。いつもありがとうございます。年末年始どっさり楽しませていただきました。
安倍さん曰く、政治化には「闘う政治家」と批判の矢面に立とうとしない「闘わない政治家」がいて、自分は闘う派だ、と言っているが、どうなる日本?徴兵制とかなっちゃうんじゃ、と言う人もいるが・・・
p40,41そうか長州出身だったもんね。そしてチャーチルの決断力と先見性を指して彼の目指した安全保障と社会保障を自分もテーマとする、と言っているからそれを注目していれば良いということか。
年代が近いせいか私たちも読んで面白かった「エキスペリエンツ7」(堺屋太一)を話題にしたり(p91)「ALWAYS」について話したり(p219)と例示に親しみは持てる。読んでいて良く出てくる言葉「セーフティネット」


「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。」
遠藤周作 海竜社 ¥1500
タイトルはこれだったの?と驚くほどの長いタイトル。亡くなってちょうど10年の年にこの本が出たのがすごい。しかもこれはs35の作らしい(p231)。結核病床にあった氏が息抜きのようにこんな軽い感じのHOW TO本を書けただろうか(相手の心を動かす手紙の書き方の本であり、人間同士の心の配り方の本でもある)p216のあたりは後の狐狸庵先生を彷彿させているし。あらためて没後10年の自分や周りの年月の速さに驚いてしまった一冊。奇しくも去年は出身学校の学科40周年に参加。今なら卒論を遠藤氏にするのも自然になってきたかもね。

1月5日(金)

「しあわせ眼鏡」
河合隼雄 海鳴社 ¥1400
気づくと阪神大震災直後の作である。それなのにこの10年子どもを取り巻く問題が改善していかない日本てすごい。政治の問題とばかりは言えなくなっているかも、とかえってこの10年を考えさせられた一冊。エッセイとしてはもちろん面白い


「風林火山」
井上靖 新潮文庫 ¥514
今年のNHK大河である。早速夫が購入。井上靖は子どもの頃から大好きだが歴史小説より「しろばんば」一連の方が好きだったので一応読むのは初めてでした。内野聖陽がどのように山本勘助を演じるのか想像しつつ読み。もし内野クンとわかっていなければ小柄な感じ、気迫の点で香川照之かなぁ、とイメージ。これが30年代の作品と思えば歴史小説って古びないのね・・・とつくづく思う。さて視聴率は・・・?前作山内一豊もそうだが歴史の主役でない人を主役にすえる難しさがちょっと心配。


「という、はなし」
吉田篤弘 筑摩書房 ¥1400
読み終わると「最初にイラストありき」ということはあとで文をつけてるので全体がおそるおそる、な印象を受けてしまったのね。歯切れが悪いと言うか・・・宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のような感じのイラストもあり。でも著者は個性的な本を作るクラフトエヴィング商会を奥様とやっている。


「現実入門」
穂村弘 光文社 ¥1400
本当に偶然図書館で見つけたのだが穂村さんのゆるさは友人Kさんが大いに薦めていたものであった。見つけてしまうシンクロにびっくり!一女時代随一の才媛が「このゆるさが自分に似ている」と言い切っている。名言「経験値の低さ」が顔に与える「フケたノビ太顔」のボク。あったことはないけれどなんかのっぺりした感じが妙に納得。


「となり町戦争」
三崎亜記 集英社 ¥1400
第17回すばる新人賞だそうである。発想としては面白いが戦争が始まるきっかけが事業計画や予算で決められているから、というちょっと奇想天外な始まりなので共感できないままに読了。ただしこれは個人的意見で夫を始め、五木寛之大先生、井上ひさし大先生、高橋源一郎大先生は絶賛!


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