RUMIKOの読書日記

2024年
カウンター設置 2003/02/11


孫が雪で遊ぶために秋田に来ましたが今年の秋田は雪が少なく、犬っこ祭りに連れて行くのが唯一の雪体験となりました。雪頼みの業者さんには気の毒ですが温暖化の影響でこれからはこんな気候になるでしょうか。一般市民は運転、光熱費が助かるかな。

2月15日(木)

「ドミノ in 上海」 恩田陸 角川文庫 ¥960+税
主人公の心の動きや葛藤などが深く描かれているいつもの恩田さんの作風ではないけれど、すべての登場人物が「蝙蝠」と名付けられた名品の行方を追う、という集約的、テンポの良い作品。その中にパンダの逃亡劇、映画撮影現場も盛り込まれてラストまで飽きさせないエンタの一冊。


「オムニバス」 誉田哲也 光文社文庫 ¥800+税
解説にもある通り「ノーマンズランド」のサイドストーリー風な一編目を含め、ちょっと肩の力を抜いて楽しめる姫川玲子シリーズ。名作の第一弾「ストロベリーナイト」がドラマ、その他の姫川シリーズの映画化以来久しぶりの本作だが、最初の短編「読唇術」では「ドルチェ」の魚住久江が姫川班に異動、というところで期待値を高めて終わる。いつでもドラマ化してよ、と思うが姫川役は?と思うと涙。


「古本食堂」 原田ひ香 ハルキ文庫 ¥740+税
急逝した兄が残した神保町の古本屋さんをどうするか迷いながらとりあえず北海道から上京した珊瑚さんの恋心と日常を描いた短編集。従妹から借り。1タイトルに1食&作品という展開だが、女子大生の美希喜ちゃん(おそらく24歳?)の大叔母ということだから何歳の恋なの?と思いつつ読了。古本屋さん経営というとディレッタントな気がするが案の定店が入っているビルは彼の持ちビルなのであった。それにつけても魅力的なお食事処がたくさんあるぞ、神保町。


「まずはこれ食べて」 原田ひ香 双葉文庫 ¥730+税
きわめたいと卵焼き器まで買ってしまった去年の私だったが本作では筧さんがいとも日常的に絶品を作った他にも出汁の力、りんごのデザートからどれも真似したくなる家庭料理を出しながらスタートアップ企業の若者を癒し、まとめ、更に謎解きもあり、と盛りだくさんの内容である。テレビドラマにもなった「ユニコーンに野って」同様、若者だけの集団にミドルエイジ(もちろんシニアでも)が混ざることの良さを描いている点では今後の日本の働き方の姿でもあろう。本棚にしまうのではなく手元に置いて食事の支度の参考にしたい一冊。


「薔薇の中の蛇」 恩田陸 講談社文庫 ¥780+税
やっと来たぞ恩田ワールドにわくわくしながら大切に読み。全て与えられた理瀬ちゃんシリーズ、ここまでは二十歳、イギリス留学中に起こった富裕な一族の事件にどう絡むかを味わう作品。


「東京ロンダリング」 原田ひ香 集英社文庫 ¥540+税
ロンダリングと言うワードは「マネーロンダリング」というので初めて知り、どうしても「越後屋、お前もワルよのう」的時代劇めいた秘密感あふれるタイトルと思い買い。「母親ウエスタン」を読んだ時のあとがき解説者がお薦めしていた」都内の事故物件ボロアパートからタワマンをクリアにするためひと月毎に転々と暮らす珍しいお仕事のりさ子32歳の再生の物語。


「秋山善吉工務店」 中山七里 光文社文庫 ¥700+税
中山さんと言えば「さよならドビュッシー」ヶ鮮やかすぎて他の作品に手が伸びない程だったが本作はわかりやすいホームドラマ仕立ての家族再生物語に父親(善吉さん夫婦にしたら息子)の焼死の真相に迫るミステリーでもある。ラストは思いがけぬ真実が明かされるが昔気質で頑固一徹を絵に描いたような生涯現役善吉さんが羨ましい。


「虚ろな十字架」 東野圭吾 光文社文庫 ¥640+税
最近東野さんの「ある閉ざされた雪の山荘で」という映画を見たが、ストーリーに加えてキャストも〇であった。そして買ったのはこちらの方だったが、更に50年近くに及ぶ逃亡生活の果てにせめて死ぬのは本名で、と告白して世間を騒がせた過激派指名手配犯にもびっくりな現実。基本は内容を味わいながらタイトルの意味を知る形が好きだが、本作はタイトルの「虚ろな十字架」というワードが1回目の殺人のp174,2回目の殺人の引き金となった20年前の秘密のp338、p344と気付いただけで3kai 出てくるのが惜しい。刑務所での服役が無力である、という見解を軸に事件が新たな事件を呼ぶ。p175で再犯で娘を殺された小夜子の「人を殺せば死刑~そのように定める最大のメリットは、その犯人にはもう誰も殺されないということだ」という文章には納得。それにしても謎は解けたとはいえ娘と妻を殺された中山の心は果たして救われたのか?が気になる読後感。


1999年の日記 2000年の日記 2001年の日記 2002年の日記 2003年の日記
2004年の日記 2005年の日記 2006年の日記 2007年の日記 2008年の日記
2009年の日記 2010年の日記 2011年の日記 2012年の日記 2013年の日記
2014年の日記 2015年の日記 2016年の日記 2017年の日記 2018年の日記
2019年の日記 2020年の日記 2021年の日記 2022年の日記
2023年の日記